あきこの部屋

いつまでもあると思うなインターネット

Hydeparkapril87Speaker’s Corner April 1987

ロンドン中心部の公園「ハイド・パーク」の一角に、
「スピーカーズコーナー」というのがある。
そこに立てば、誰でも聴衆に向かって演説ができるという場所だ。

ほんの15年ぐらい前まで、
市民が大勢に向かって自分の意見を発表するには
メディアのちからを借りなくてはならなかった。

市民が不特定多数に向かって自分の見解を述べるには、
・評論家や作家などになる
・新聞記者になる
・街頭にビラを貼る
・同人誌を書く
などの方法しかなかった。
その以前はメディアすらなかった。

そしてその頃は逆に、他の人が何を考えているかも
それほどわからなかった。

インターネットがそれを変えた。

世の中では正しいとされているけど、
自分はおかしいと思うこと。
誰も見ていないけど、
みんなに注目してほしいこと。
今日食べたごはん。
ペットの犬。

最初のうち、そういう個人の意見は、
ネットのあちらこちらにひっそりとあるだけだった。
インターネットを使うのは教育機関や研究者など、
限られた用途と限られた人だけだったからだ。

だが技術の進化に伴うブロードバンド化、通信費用の低価格化によって
インターネットはマニアのものから市井の人びとにも開かれたものになった。

さらにSNSが登場して、自分の意見を開かれた場所に
書きのこし、伝達することが以前よりも容易になった。

旧メディアでは、発信できるのは限られた人だけ。
しかも検閲が入ったりして、自分の言葉をたくさんの人に
加工なしの生の状態で伝えられるなんて考えられなかった。
インターネット自体は何もリジェクトしない。
自分がアップロードするものを、
世界の人に向かって発信することができる。

だから我々はすごい時代に生きている。
バベルの塔でコミュニケーションが取れなくなって、
バラバラになった人類が、またひとつに戻るような時代だ。

さて、いざそうして自分の意見を発表する場が出来ると、
世の中はどうなったのか。

実はそんなに、そこまでとりたてて言いたいこともなかった。
個人を表明して、自分の意見を伝える事ができるようになったら、
さぞかし民主的な社会が作られるのではないかと思ったが、
見知らぬ他人と意見を交換し、ときに闘ったり、
仲間になったりするのは、ものすごくものすごく
しんどいことで、常人では耐えられない。
さらにそれを続けられるとなると、
そんな人、ほんとうのほんとうに、一握りしかいなかった。

いっぽうで、言いたいことは別にないけど、
なんかむしゃくしゃしてるから、何かやってやりたいという人がいる。
その一部の人は、何かを叩くことで自己を表現することにした。
そのほうが全然楽だし傷つかないからだ。
インターネットは自分を拒否しないし、
アップロードしたものをそのまま誰かに渡してくれる。
時に自分が書き込んだものが、ネガティブな方向であれ、
何かを変えると、自分に力があるように感じる。

そしてまるでもぐらたたきのように、
「これは叩いていいんだ」と世論が傾いたものを叩く人が増えた。
あら探しや誹謗中傷にものすごい労力を割いて、
何の面識もない人に苦痛を与える。
与える苦痛が大きいほど、自分の影響力が高い気がして、
喜びが増すのかもしれない。
それはまるで舞台の上でギターを燃やして叩き割るような
快感に近いのかもしれない。
お仕事の合間に、生活の合間に、それは彼らにとっても
貴重な時間なのだろうに。

■情報は貴重
そうしてなんかすごい方向に突っ込んでいく人が多くなった原因は、
インターネットの環境が整いまくったことだろう。
ブロードバンドになり、24時間同じ料金、しかも低価格で使えて、
いつでもどこでもアクセスできるようになった。
インターフェースが進化して、
ユーザーのハードルが下がって、年齢関係なく
使えるようになった。
情報を集めるストレスが格段に減ったのだ。

そうすると、いま得ている「情報」がいかに貴重なもので
あるかがわからなくなる。
この画面の向こうにいるのは、生きている人間で、
同じように傷つくのだということを忘れてしまう。
いまや誰も、ガスや電気に誰も感謝しないように、
情報を得ることができるということ、
遠い誰かとコミュニケーションできるということを、
なんとも思わなくなってしまう。
本当はものすごく貴重ですごいことなのに。

かつて民主的な社会を作るために、
女性の選挙権を獲得するために、
闘ってくれた人のことを思い出す。
その方々には本当に申し訳ないけれど、
投票率は最低を更新し続けている。

我々の手元にあるツールは、
本当はこの世界が一新するくらい素晴らしいものだ。
それを忘れて、悪魔の道具にしてしまって、
自滅しあったり、いつか、バベルの塔みたいに
取り上げられる日が来るかもしれない。
そうなる前に、早くみんなに正気が戻り、
平和で進歩的なインターネット界になってほしいなと思っている。

■最近読んだもの
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ゼログラビティはどんな環境で見ても超いい映画だから見てほしい

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今年まともに映画館で見た唯一の映画。
IMAXの3Dで見て、確かに顔以外はほぼCGという映像も
俳優の演技もすごかった。
でも「アトラクションみたいな映画だからIMAXで見ないと意味ない」
みたいな意見をよく聞くけど、全然そんなことはなくて、
脚本が素晴らしいのでiPhoneで見ても
この映画の素晴らしさは失われないと思います。
冗長だったキュアロンの脚本を、息子がガスガス添削して
説明的な描写を省きまくって極々シンプルな映画にしたんだとか。


以下ネタバレ

あらすじ
主人公は、心に傷を負っている女性宇宙飛行士(medical engineer and Mission Specialist)ですが、生命の危機に瀕する事故に遭遇し生き延びる努力をしますが、一旦は生存をあきらめます。
 しかし、神の御業とも思えるような事象(赤ん坊の泣き声、夢など)により、生きる意欲を取り戻して無事生還することができます。


で、一番スゴイなと思ったのは
「神の御業とも思えるような事象」のところで、
死んだと思ったジョージ・クルーニーが宇宙船に入ってくるところ。
これによって彼女は希望を取り戻して生き延びる決意をします。

結局彼は幻だったのですが、このシーンで
「人は一人では生きていけない」
→彼の存在がなかったら生きることを諦めていたから
っていうのと、
「人は死んでも人の心のなかで生き続ける」
→彼の幻は、彼の人格をシミュレーションしたもの。
たとえ命がなくても、その人の人格は他人のなかで生き続ける。

っていうことかなと思って一人で超号泣してました。

WWDのブログで、「受け継ぐということ」というタイトルで
昨年上司を失ったCHIZURU MUKOさんがこう語っています。

「山室さんと同じことはできない」というプレッシャーに襲われた時は、こうしました。自分の考えを一旦横に置き、「山室さんならどうするだろう?山室さんならどう考えるだろう?」と想像するのです。

http://www.wwdjapan.com/editorsview/muko/2014/03/16/00010748.html

ゼログラビティも、
「彼だったらこうするだろうな」っていうことで、
彼が存在していたということに
励まされて生き延びる決意をしたんですよね。
そういうのってすごいと思う。

「人は一人では生きていけない」、
「人は死んでも生き続ける」
ってこの映画が教えてくれました。

ぜひ見てみてください〜


めんこい

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カトリックの聖職者は結婚できない。
天の国のために結婚しない者もいる。」
って聖書に書かれているからとか、
神のために身を捧げるという精神かなんかとかで
シスターも神父さんも独身でなければならない。
プロテスタントは結婚できるのになんでだろうと思っていた。
神のために身を捧げるっていうのは家族がいたって
両立できるんじゃないかと思ったからだ。
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魔法なんて信じない。でも君は信じる。

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このまえ、漫画家さんに2年ぶりくらいに会ったときは、漫画家さんが泊まっている渋谷のホテルに朝迎えに行った。ホテルのロビーで漫画家さんは待っていて、我々を見ると立ち上がって挨拶した。ホテルのロビーで待ち合わせとか、なんか昭和の文豪みたいでいいなと思った。この漫画家さんは漫画だけじゃなくて音楽もやる。あと映画館でバイトをしてイベントを企画するし、自分のサイン会もするし、チェキ会もプロデュースする。そして自分でポッドキャストをやるくらいお話がものすごく上手で、何のジャンルの話を振ってもとうとうと面白いことを話してくれるので、お話するたびにずっとゲラゲラ笑っている。
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静止する暴風雨

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むかし、イベントのためのビジュアルが待てど暮らせど
来ないことがあって私は焦っていた。
ものすごく忙しいデザイナーさんにすごく安価で引き受けて
頂いた仕事だったので、締め切りを急かすのも
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世界には超えていいラインとダメなラインがある

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さっきのピザ屋さんでカプレーゼを頼んだら、
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なぜなら2週間ぐらい前にチェーン系の居酒屋で
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人間の良心というものを問う衝撃の事件だった。
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ピザうまい「Frey’s Famous Pizzeria」

thaの阿部さんのインスタによく出てくる
ピザ屋さん「Frey’s Famous Pizzeria」に
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