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今週末、テキサス州オースティンで開催されるビッグ・フェスティバル「SXSW interactive」に行ってきます。

SXSW interactiveとは


SXSWは27年の歴史を持つお祭り。もともと音楽のイベントでしたが、現在はIT関連の「インタラクティブ」、映画関連の「フィルムズ」、音楽関連の「ミュージック」の3ジャンルに分かれており、それぞれ講演、ライブ・パフォーマンス、パーティなどを行っています。人口20万人のオースティンに、毎年5万人以上の人が集まるビッグイベントなのです。

今回私が参加するのは「インタラクティブ」。その内容は、ファウンダーやジャーナリスト、クリエイターらによるプレゼンテーション(講演)のほか、1500以上のブースで企業が各々をPRする「トレードショウ」、革新的なスタートアップサービスのアワード「SXSW Interactive Awards」などなど。かつてtwitterやpinterestがこのショーで紹介され、ブレイクのきっかけになったと言われているほど影響力のあるイベントです。

SXSWで圧倒されるのは、何と言ってもイベント自体のボリューム。なんと、5日間の会期中に行われるSXSWオフィシャルの講演、ワークショップ、パーティの数は1400以上。これに、街の至るところで行われている非公式のイベントを加えるともう把握しきれません。世界中からスタートアップの企業やクリエイター、ミュージシャンや音楽ビジネス関係者らが一同に集う、刺激に満ちたお祭りなのです。

日本からは真鍋大度、菅野薫らが講演


SXSW interactive 2013では、CBCNETでもブログを連載されているアーティストの真鍋大度さんと、電通のクリエイティブ・テクノロジスト菅野薫さんによるプレゼンテーション「Creative Collaboration Using an Open Source Model」が行われます(3/9の3:30PM – 4:30PM、Omni Downtownにて)。Perfume「Global Site Project」を手がけた真鍋さんと、本田技研工業インターナビ「CONNECTING LIFELINES」を手がけた菅野さんによる、オープンソースとクリエイティブにまつわるトークです。いったいどんなことをお話されるんでしょうか?菅野さんに聞いてみました。

菅野薫に聞くSXSWの見どころ


0118–sxswは何回目の訪問ですか?
2012年に次いで2回目です。昨年は大度くん、石橋(素)さん、千房くん(エキソニモ)、電通アメリカのECDの佐々木康晴さんと一緒に行きました。

–2012年に参加した感想は?
イベント個別というよりも、SXSW全体に対する印象が強烈でした。まず、パワーが凄かったです。音楽とフィルムとインタラクティブが一緒になっている時点で、日本にはまだないカルチャーだな、と思いました。文化があるというか。日本では、大度くんも、澤井(妙治)くんも、徳井(直生)くんも、ぼくもなんですが、音楽がルーツにあって、インタラクティブな領域に関わっている世代が存在していると思っているのですが、そういう文化感が自然に存在している感じでしたね。うらやましく思いましたし、日本でもそういうものが欲しいね、とみんなで話していたんです。

–その時にはどんなことを話しましたか?
2012年は、「日本のメディアアート最前線」というテーマで、日本発のメディアアートを紹介しました。

–sxswでは何が楽しいと思いましたか?
やはり出会いでしょうか。人とも文化とも出会えますから。世界中から、著名人も「これから打って出るぞ!」というスタートアップまで、たくさんの人が集まっているんです。

–今回は何について話すのですか?
大度くんは、Perfumeのプロジェクトや、テレビ番組の仕事などの事例を紹介しながら、アートを起点にして、大規模なエンターテインメントへの仕事の領域を広げている、昨今の仕事で考えていることを。僕は、広告起点でどう広告の枠を超えて取り組むか、ホンダやTOKYO FMなどの事例を交えて、世の中への訴え方の視点の違いを話したいと思っています。どちらも、データをオープンにして世の中の巻き込むという視点においては共通しているので、その点にも触れられれば。

–sxswで感じる、日本と海外の違いというのはどんなところですか?
先ほど言ったのと同じようなことですが、海外のほうが、インタラクティブで起きようとしていることに文化として世の中が期待している感じがします。

–日本のどんな人がsxswに行くといいと思いますか?
ビジネス志向のスタートアップの方も、インタラクティブにおいて、いま何がホットなのか知りたい方も、様々な人に会ってお酒を飲みたいという方にもおすすめです。かなり距離はありますが..

–今回、楽しみにしていることはありますか?
変な人と知り合いたいですね(笑)。


注目のプログラム


それではわたくしの独断と偏見による、SXSW interactive 2013の注目のプログラムをご紹介。なんせ1400以上ものイベントがあるので、タイトルをチェックするだけでアメリカの広さに打ちのめされています!

[グリッチ・アートとは何か?] 3月9日 11:00am
シカゴのアーティストJon Satromらによるグリッチグループ「GLI.TC/H」を通してグリッチシーンについて語る「2012: Year of the GLI.TC/H」。Jon Satromの作品はかなりイカれていておすすめ。

[9歳の大学生らのパネルディスカッション] 3月9日 1:30pm
7歳で大学に行ったアメリカの少年Tanishq Abrahamくんを始めとした、子供〜ティーンネイジャーの研究者、ファウンダーらによるパネルディスカッション「Generation Change: A Lesson From Junior Innovators LIMITED」。12歳で教育ツール「Enzoology Education」のファウンダーとなったEnzo Monfreくんとか、すさまじい進化を遂げる新世代の意見を聞けるチャンス。

[インフォメーションダイエットとは] 3月9日 5:00pm
昨年出版した書籍「インフォメーション・ダイエット」が話題になったClay Johnsonによる講演「The Information Diet」。情報過多の時代に「効果のある情報収集能力」を身につけることについて。

[Deadmau5☓リッチー・ホウティン!] 3月12日 5:00pm
「EDMのDJはボタンを押しているだけ」という発言などで物議を醸した、EDMの騎手Deadmau5と、DJとしていち早くトラックを分解しコラージュするプレイスタイルを確立したリッチー・ホウティンによる対談「Talk. Techno. Technology.」。この組み合わせはかなり楽しみです。


その他、初音ミクの講演「Miku: The Open-Source Girl Who Conquered the World」(3月11日 12:30pm)、デザインブログ「Swissmiss」、同名デザインスタジオを運営している、ティナ・ロス・アイゼンバーグによる基調講演(3月10日 2:00pm Austin Convention Center)、MITの伊藤穣一、Google VenturesのKevin Roseが偶然のインスピレーション「セレンディピティ」についてディスカッションする「The New Serendipity?」(3月10日 5:00PM Austin Convention Center)、地元テキサス出身のSF作家、ブルース・スターリングによる、フェスのフィナーレを飾る講演(3月12日 5:00PM Austin Convention Center)など。音楽のイベントだけあって、ミュージシャンのニック・ケイヴの講演「A Conversation with Nick Cave」(12日 11:00am)のほか、「necomimi」でお馴染みのneurowearさんも出展されるそうです。

次回は、会場から続報をお伝えします!


http://sxsw.com/interactive

会期:2013年3月8日〜12日
会場:Austin Convention Centerほか