フォルマント兄弟 (Formant Brothers)」は、三輪眞弘(兄)と佐近田展康(弟)2000年に結成された作曲・思索のユニット。そんな彼らによる企画『フォルマント兄弟のプレゼンテーション道場』がIAMASで開催される。
この企画は「メディアアートにおける“音楽”」をテーマに作品を公募し、佐々木敦、椹木野衣、畠中実という3名の批評家・キューレーターが選考し、選抜された作品の作家自身によるプレゼンテーション、さらにフォルマント兄弟と選考委員を交えた公開ディスカッションが行われるというもの。
既に入選した3作品はウェブで公開されている。(入選作品)
『メディアアート』という言葉が再定義される必要性の是非も含めて、日本では最近そういった話題を多く聞くようになった。
今回、サブタイトルの『メディアアートにおける”音楽”』というテーマは、音楽と美術、またはメディアやテクノロジーの関係性を根本的に問い直す意図がある。
アート制作や批評を志すすべての人びとに、現代の芸術・メディアアートにおける問題意識の共有、作品の掘り下げた分析と解釈、そして多面的な議論を提案する、とても期待したい試みである。
以下、入選作品とプレゼンテーションの日程となっている。
28日にはIAMASのアーティスト・イン・レジデンスで滞在中のアーティストによるライブも開催される。
Information
『フォルマント兄弟のプレゼンテーション道場』http://www.iamas.ac.jp/mam/
1.プレゼンテーション道場 畠中実セレクション
水本賢興 『Potential of a computer as an instrument』
11月28日(日)
開場:14:40
開演:15:00
出演:水本賢興、畠中実、フォルマント兄弟
今年度のレジデンシーアーティストの展示、コンサートもあります。
詳細
http://www.iamas.ac.jp/J/INFO/iamasevent.html
2.プレゼンテーション道場 佐々木敦セレクション
松本祐一 『twitter音楽』
12月11日(土)
開場:17:40
開演:18:00
出演:松本祐一、佐々木敦、フォルマント兄弟
3.プレゼンテーション道場 椹木野衣セレクション
ワラビモチ愛好会+山路製めん 『ワラウドン』
12月18日(日)
開場:12:40
開演:13:00
出演:ワラビモチ愛好会+山路製めん、椹木野衣、フォルマント兄弟
※いずれも会場はIAMAS、入場無料
選考委員(あいうえお順)
佐々木 敦(批評家)
椹木 野衣(美術批評家・多摩美術大学教授)
畠中 実(NTTインターコミュニケーション・センター主任学芸員)
ナビゲーター フォルマント兄弟(三輪眞弘+佐近田展康)
アドバイザー 吉岡 洋(美学者・京都大学大学院文学研究科教授)
フォルマント兄弟とは?
http://formantbros.jp/j/top/top.htmlフォルマント兄弟 (Formant Brothers)」は、三輪眞弘(兄)と佐近田展康(弟)という父親違いの異母兄弟によって2000年に結成された作曲・思索のユニット。テクノロジーと芸術の今日的問題を《声》を機軸にしながら哲学的、美学的、音楽的、技術的に探求し、21世紀の《歌》を機械に歌わせることを目指す。
また作品と一体となったテクノロジー論/芸術論の言説でも注目を集め、東京藝術大学、ロンドン・グリニッジ大学、東京大学などで講演発表・シンポジウム等を行う。
企画制作:IAMAS RCIC
平成22年度文化庁メディア芸術人材育成支援事業 メディアアートにおける”音楽”の現在
2 Comments
[…] 、選ばれた3作品を全3回の講演に分けて公開ディスカッションを行う「フォルマント兄弟のプレゼンテーション道場(CBCNET内記事)」。 第一回の「畠中実セレクション」が11月28日に行 […]
[…] 第二回目の「フォルマント兄弟のプレゼンテーション道場(CBCNET内記事)」は、批評家の佐々木敦さんを迎え、IAMAS(情報科学芸術大学院大学+岐阜県立国際情報科学芸術アカデミー)にて12月11日に開催された。フォルマント兄弟(三輪眞弘+佐近田展康)と佐々木さんとのトーク、入選した松本祐一さんの『twitter音楽』の上演が行われた。 フォルマント兄弟と佐々木さんによるトークは、メディアテクノロジーの発達と関連する音楽作品やシーンの変化について、90年代〜00年代の電子音楽の流れを例に紹介。また、ミュージシャンを美術館に取り込んだ「サウンドアート」企画とその後の状況などから、「メディアアートと音楽」の問題にも迫った。 右からフォルマント兄弟三輪さん(兄)、佐々木さん、佐近田さん(弟)。 松本祐一さんによる入選作『twitter音楽』は、テキストの品詞を分解して、その種類を音程に、単語の長さを音符の長さとしてメロディを作る前作『アンケート・アート』で使った手法を、twitterのつぶやきに応用して構成したものだ。 ハッシュタグを使ってつぶやいた6人分のテキストを使って音楽が作られる。音程や音色もハッシュタグで変更できる。 Ustreamの画面を見つめる松本さん。 上演後、松本さん、佐々木さん、フォルマント兄弟による作品講評とトークが行われた。アドバイザーの吉岡洋さん(京都大学教授)は、今回はUstream中継越しでトークに参加。 今回の応募作品は、さまざまなタイプの作品があったが、それぞれ狙いがはっきりしていて、「メディアアートと音楽」というテーマについてよく考えられたものばかりで良かった、また、松本作品は審査の際の作品説明ビデオがとくに秀逸だったと佐々木さん。前作「アンケート・アート」は政治的な問題を扱う、メッセージ性の強い作品だったため、同じシステムをベースにしたこの作品には、そのコンセプトへの質問が多くあった。 「エンターティメント、というものへのあこがれがある。今回はtwitterのもつリアルタイム性と参加性を重視し、楽しんでもらえる作品を目指した」(松本)。 今回も、表彰状とフォルマント兄弟特製のTシャツと高音キン(#)による、コブシの効いた「おめでとう」メッセージが贈られた。 #高音キン/フォルマント兄弟が「せんだいめでぃあヲどり」プロジェクトのために制作した人工音声キャラクター Photo: Tsukamoto Mina Text: Kobayashi Keiko […]