dotFes』は、株式会社毎日コミュニケーションズの月刊誌『WebDesigning』と株式会社クスール主催により、2008年からWebを中心とした「ものづくり」の魅力を再認識してもらうことをコンセプトに、最先端のデザイン、アート、表現などが一同にあつまるイベントだ。

これまでに、京都や沖縄といった場所でも開催されおり、今回は、『dotsFes2010@3331 Arts Chiyoda』と題して、2010年11月14日に開催された。
イベントの様子を写真と動画と共に簡単に振り返ってみる。




今回のdotfesの特徴は、いままではカンファレンスやセミナーが中心だったものが、展示を中心に、その展示作品の具体的な背景や技術的な面などをカンファレンスで話す、というところだろう。3331 Arts Chiyodaでの開催もそうした意図のある会場選びだったようだ。

会場の1階は「作品展示」、2階では各デザイナーや開発者たちの「プレゼンテーションカンファレンス」という形式となっていた。展示がメインとなっていたこともあり、来場者と出展者の交流が多かったようにも感じる。

3331 Arts Chiyoda」はご存知の方も多いと思うが、かつて学校だった建築物をリノベーションしたアートスペース。そのためか、どこか懐かしい印象がありながらも、様々な『作り手』が集まる雰囲気があった。実際に、大型のキャンパスにエアブラシで絵を描いている光景や、同時開催のイベントで秋田県の農産物の直売会などもあった。

アーティスト日比野克彦による「3331 クレーン・ペインティング」も同日に行われていた。




1-10 design「CREATIVE IS PHYSICAL BATTLE」

中に入って、早速目に入ったのは、1-10 designによる「CREATIVE IS PHYSICAL BATTLE」彼らの自社Webサイトでも馴染みあるキャラクターを操って戦う対戦格闘ゲームのようなコンテンツだ。サンドバック風のコントローラに向かってパンチやキックをすることで、キャラクターが動く。2人対戦ということもあり実際に白熱している様子が伝わってきた。

IMG SRC/NON-GRID「たのしいiPhoneミュージックプレイヤー:MUTA(ムタ)」

IMG SRC/NON-GRIDによる「たのしいiPhoneミュージックプレイヤー:MUTA(ムタ)」iPhoneやiPad用に、独自に開発されたアプリケーションを楽しむ事が出来る。いつもやる気のないキャラクター「MUTA(ムタ)」に音楽を聴かせてあげたり、落ちてくるオブジェクトをタッチしたりこすったりして、ムタを喜ばせたりするコミュニケーションアプリ。ご飯などをあげると大きくなったりする。



(株)ココノヱ「撃墜王ゲーム」

展示作品では、特に会場を賑わせていたのは(株)ココノヱによる「撃墜王ゲーム」専用のカードに戦闘機を書いてモニター上のフィールドに置く事で、バトルが繰り広げられるというゲーム。画像認識も非常に精度が高く、実際に書かれた絵が本当に画面上を飛び交う。さっそく、CBCNETもバトル。結果は、2位とかなり好成績の様子。色の数と左右対称のシンメトリー具合でキャラクターのパラメータが決定されるようで、超音波やホーミング弾、そして波動砲なんてのも用意されているらしい。



BOW「名前を付けて削除」

大きな機械の正体は、BOWによる「名前を付けて削除」という作品。オートマティックにマウスが操作され、ある一定の時間になったらなんと、HDDが破壊されるという異色のメディアアート作品。普段、デスクトップで制作されたファイル達がゴミ箱に入れて削除されている行為がリアリティある形で再現されているように感じた。

以下が作品の紹介文。

彼はとても義理堅い男だったので、仲間たちの遺言、「中身を見ずに葬り去ること」はしっかり守った。
しかし、問題は彼が義理堅い男であると同時に、極めて疑り深い人間でもあったということだった。
約束を果たす一方で、彼自身が「遺言」を託すに足ると思える友人は誰一人としていなかったのである。
そうして彼は、「信頼に足る友人」を作り始めることにした。





Team Lab「TEAMLAB HANGER」

Team Labは、TEAMLAB presents 『COORDINATION』展でも記憶が新しい、ファッションコーディネートの新しい提案「TEAMLAB HANGER」を展示。気になった服を手に取るとディスプレイ上に雑誌の写真のようにモデルさんの着ている様子の映像が流れるというもの。デジタルサイネージも最近何かと話題になっているから今後の実際の店舗で使われる日も遠くないかも?


2階スペースではメインとなる、体育館を利用したカンファレンス会場。ここでは、1階で展示している作品の作者によるトークや、スポンサーでもあるアドビシステムズによるAdobe MAXのレポート、デジタルステージ・ウェブコンポーザー学校の特別課外授業などが行われた。

ココノヱさんによる『撃墜王ゲーム』の解説 

アドビシステムズ太田さんによるAdobe Maxや最新の動向について

神奈川電子技術研究所「僕は森世界の神になる」

かわいいゲームを発表していたのは、神奈川電子技術研究所。「僕は森世界の神になる」という新作ゲームを展示。小さな生物の生態系を表現したゲームは、独特の引き込まれる世界観だった。マウスをクリックすると小さな生物が沢山生まれて、上からやってくる大きな敵をやっつけていくというような形で進む。となりには、その敵が骨になった実物大の模型も展示されていた。

くるくる研究室「もうかったーとLEDOLL」

くるくる研究室は「もうかったーとLEDOLL」というタイトルのガチャガチャデバイスを利用したガジェット作品。ガチャガチャ端末はLANケーブルで繋がっており、Twitterでガチャガチャのつぶやきが発言されていく(がちゃったー)。ガチャガチャの中身も「LEDOLL」というブレッドボードに刺さったかわいいキャラクター達が入っている。電子工作に興味がある人から、これからはじめたい人へ向けたプレゼンテーションであった。

エキソニモによるライブ

エキソニモは、Macとマウスを操作しデスクトップ上でDJのように音を作り上げていくパフォーマンス。マウス自体の挙動をプログラムでシーケンスを組んでおき、MAC自体が勝手にライブをするというもの。マシンの状態によって毎回演奏のクオリティーに差が出ることもあるという。『マウス』というテーマで様々なアプローチをしてきた彼ららしい作品となっている。


エキソニモ「Wearable Web」

エキソニモによる「Wearable Web」。CBCNETの記事に詳しく紹介したのでぜひそちらも見てほしい。
展示だけだとあまり何かわからない人も多かったかもしれないが、この作品はとても『インターネット』を表現している作品に感じ取れた。


(ボケボケですいません。中央付近に光ってるのがiPhoneやiPadたち)

ライゾマティックス
「頭上カメラからのモバイルデバイスキャリブレーションを行う習作1」


iphoneをコントローラにしたブロック崩し風ゲーム「FREE ARC(フリーアーク)」を展示したライゾマティックスは、同社の堀氏による『頭上カメラからのモバイルデバイスキャリブレーションを行う習作』と題したパフォーマンスを実施。タイトルに『習作』があるように、まだ試作段階の作品であったが、概要としては頭上の天井に設置してあるカメラで、事前に指定のアプリを入れたiPhoneやiPadを検知し、デバイスお音や光を操るという、マスゲームのようなもの。
今回はネットワーク上の問題なのか、スムーズには行かなかったが、いくつか反応していた。もしうまく機能したらとても興味深いビジュアルになりそうだ。ただ、反面、あそこまで制御できるのと改めてコワいデバイスだな、とも感じた。




当日の模様は以下から、デジタルステージによるUSTでも見ることもできる。
http://www.ustream.tv/recorded/10844743
http://www.ustream.tv/recorded/10846572
http://www.ustream.tv/recorded/10849354


ざっと紹介したが、あっという間の1日となった。会場の雰囲気も相まって、とてものどかなイベントであった。
最近ではUstreamやTwitterなどの普及によってイベントの形も変わってきてる。小さなイベントがたくさん増えた一方で、やはりウェブ制作、インタラクティブ制作関連のデザイナーや開発者が全国から集まれる機会というのはなかなか無い。
そういった意味でも今後もぜひ続けてほしいイベントのひとつだ。

Text by Hirokazu Kawana ( http://www.gekitetz.com/ ) and Yosuke Kurita

Information

『dotFes 2010 @3331 Arts Chiyoda』
http://dotfes.jp/2010tokyo/index.html

概要
イベント名 :『dotFes 2010 @3331 Arts Chiyoda』
開催日時 : 2010年 11月14日(日) 12:00〜17:00(予定)
開催場所 :3331 Arts Chiyoda
 〒101-0021 東京都千代田区外神田6丁目11-14
主催:dotFes 2010 @3331 Arts Chiyoda実行委員会
運営:株式会社 毎日コミュニケーションズ、株式会社 クスール
入場料: 一般:4,500円(税込) 定員420名
*前売り券はdotFes公式サイトより発売中

Web Designing
http://book.mycom.co.jp/wd/

インターネットの潮流から技術、戦略面でのソリューションまでを扱う、Webクリエイティブのためのトータルデザイン誌です。2001年5月創刊。毎月18日発売。

株式会社クスールについて
http://www.cshool.jp/

「ひとづくり / ものづくり」を合言葉にWebの制作と学校の両方を行う小さな会社です。「ひとづくり」の学校では、技術を教えるだけでなく「ものづくり」に必要な考え方や、発想を教え、「ものづくり」のWeb制作では多くの人と一緒に作業することで、みんなが集まる「ひとづくり」の場を提供していくことを目指しています

主な出演者

IMG SRC / NON-GRID
エキソニモ
くるくる研究室
株式会社ココノヱ
チームラボ株式会社
BOW
株式会社ライゾマティクス
株式会社ワン・トゥー・テン・デザイン

協力・協賛

アドビ システムズ 株式会社
株式会社デジタルステージ
loftwork
株式会社ライブドア
Fly sound