山口情報芸術センター[ YCAM ] では11月13日(土)に、アーティストの視点から地球環境と情報環境を観測する展覧会「polarm [ ポーラーエム ] 」を開催する。

本展は、世界的に活動を続けるカールステン・ニコライ(ドイツ)とマルコ・ペリハン(スロヴェニア)の2人のアーティストがコラボレーションし、10年に1度、それぞれの時代の最新の情報技術から、空間/時間への感覚の変化を捉える環境観測の方法を提案し、インスタレーション作品として展示するものである。2000年には、展覧会「polar[ポーラー]」が日本で初公開され、「情報としての地球」「環境への眼差し」を強調する先見的なアイデアは、「アルス・エレクトロニカ」(オーストリア、リンツ)にて、ゴールデン・ニカ(大賞)を受賞など、国際的にも高く評価された。

それから10年を経た本展では、高度情報化が浸透した社会を探索する方法として、放射線データに着目し、人間社会に留まらないすべての存在を、放射線データとの関係から描き出す独自のプラットフォームを提示している。映像やサウンドによって可視化する作品は、情報が組織する新たな環境への体験をもたらす。


「polar」とは、対極・極点を示し、本展においては、現実の空間と情報ネットワーク空間を関係づける、地球の電磁場や磁極を意味する。さらには、地球環境、情報環境を10年おとの長周期で定期観測し、未知なる極地としての環境を探索する意図が含まれている。2000年に行われた初のインスタレーション「polar」(2000年/キャノン・アートラボ企画展)は、体験者が特殊なインターフェースによって収集した作品空間の情報(周囲の映像、音、温度、重力加速度)をもとに、光、映像、音がダイナミックに変化するインスタレーション作品であった。

新作インスタレーション「polarm [ ポーラーエム ] 」では、現在における最新の情報技術を応用しつつ、自然環境、社会環境、情報環境の関係性を考慮する新たな表現への方法を試すものとなっている。たえず変動する環境創造のプロセスを、地球の電磁環境、生態系から捉えるため「放射線データ」に着目し、これまでとは異なる新たなアイディアによって、インスタレーションを構成している。

山口までなかなか簡単には足を運べない方もいるかもしれないが、シンポジウムやコンサートもあるので、合わせて観にいくもの良いかもしれない。


Information

カールステン・ニコライ+マルコ・ペリハン 新作インスタレーション「polarm[ポーラーエム]」
http://www.ycam.jp/art/2010/03/-polar.html
日付/時間 : 2010-11-13(土)-2011-02-06(日)10:00-19:00
休館日 : 火曜日(祝日の場合は翌日)、12月28日-1月4日
場所 : スタジオA /
料金 : 入場無料

山口情報芸術センター
http://www.ycam.jp/

753-0075 山口県山口市中園町7-7
TEL: 083-901-2222
FAX: 083-901-2216


日独交流150周年記念事業 国際シンポジウム「アートから環境へ」
11月13日(土)13:00-16:00 入場無料
出演:カールステン・ニコライ、マルコ・ペリハン、アンドレアス・ブレックマン(ドルトムントU館長)ほか
モデレーター:四方幸子(ゲストキュレーター)、阿部一直(YCAM)
※逐次通訳あり

YCAM sound tectonics #8 オーディオビジュアルコンサート「raster-noton evening」
11月13日(土)19:00開演(30分前開場)
出演: cyclo.[カールステン・ニコライ+池田亮司]、byetone[オラフ・ベンダー]、nibo
ゲスト:クリストファー・ウィリッツ
料金:前売 一般3,000円/any 会員・特別割引2,700円 当日 3,500円(オールスタンディング/300名限定)
詳細/チケットのお求めについては、sound tectonics #8 オーディオ・ビジュアルコンサート 「raster-noton evening」をご覧ください。

アーティストプロフィール


カールステン・ニコライ|Carsten Nicolai
http://www.carstennicolai.de/
ビジュアルアーティスト、作曲家、ミュージシャン

1965年東ドイツ生まれ。現在、ベルリンとケムニッツを拠点に活動。ビジュアルアートと電子サウンドといった異なる領域の表現をハイブリッドツールとして用いる作品で知られる。その表現は、物理現象、生命現象、カオス現象などにもおよぶ。サウンドパフォーマンスでは、記号的なコードを視覚化し、ポストテクノ音響のみならず、現代美術やメディアアートでも国際的に高く評価されている。ミュージシャンとしては、notoおよびalva notoの名で、数々のアーティストとコラボレーションをおこなうほか、池田亮司とのユニットcyclo.としての活動でも知られる。2005年には、光と音と建築の共生体となるインスタレーション「syn chron」をYCAMにて発表。

マルコ・ペリハン|Marko Peljhan
コンセプチュアルアーティスト、メディアーティスト

1969年スロヴェニア生まれ。現在、カリフォルニア大学サンタバーバラ校教授、同校芸術研究所の共同ディレクターを兼任。1995年には、アート&テクノロジーのオーガニゼーション「Zavod Projekt Atol」を設立。オープンソースおよび戦略的メディアを基盤とした技術開発のためのグローバルなネットワーク「PACT Systems」を開始。このほか、音楽レーベル「rx:tx」を主宰。1997年より、テレコミュニケーション、気象観測システムなどにフォーカスした極地移動ラボプロジェクト「Makrolab」を実施。ユーリ・ガガーリン宇宙飛行士トレーニング・センター(モスクワ)とMIR協会 (Microgravity Interdisciplinary Research) との共同プロジェクトのコーディネーターも務める。

クレジット


主催:財団法人山口市文化振興財団
後援:山口市、山口市教育委員会
助成:スロヴェニア共和国文化省、カルフォルニア大学芸術研究所
協賛:株式会社資生堂
製作協力:カルフォルニア大学サンタバーバラ校メディアアーツ・アンド・テクノロジー・プログラム、ZAVOD PROJEKT ATOL
機材協力:財団法人高輝度光科学研究センター (JASRI)
技術協力:YCAM InterLab
企画制作:山口情報芸術センター[YCAM]

日独交流150周年記念事業 国際シンポジウム
共催:ドイツ文化センター・大阪

YCAM sound tectonics #8「raster-noton evening」
平成22年度優れた劇場・音楽堂からの創造発信事業

キュレーター:四方幸子(ゲストキュレーター)、阿部一直(YCAM)