東京都・府中市のアーティスト・ラン・スペース「merdre」にて、気鋭のメディア・アーティストらの企画展「hARTsuden 発電するアート」が開催中。大城真、菅野創、堀尾寛太、芝辻ペラン・ステファン、矢代諭史らが参加し、”電気を自給自足できる作品、自ら発電する作品”というテーマのもとにさまざまなアプローチで新作を発表している。

この展示は、merdreのオーナーであるアーティストの芝辻ペラン詩子の発案によるもの。震災後の東京で、いままで当たり前に消費するだけだった電気についてもっと積極的に考えていきたいという思いから始まった。各アーティストがそのテーマをどう取り入れ、もしくはどうはぐらかしているのかが見所だ。


矢代 諭史「Untitled」
自走するスピーカーのパフォーマンスユニット「Motallica」や、東京都墨田区の廃工場を改装したスペース「八広HIGHTI」のオーガナイズなどでも知られるアーティスト、矢代諭史。一見空っぽの箱だが、ハンドルを回すと鑑賞者は奇妙な感覚を味わうことになる。


菅野 創「Untitled」
第15回文化庁メディア芸術祭において、山口崇洋とともにアート部門の新人賞を受賞した菅野創。太陽電池の電力を用い、超音波を使用した指向性スピーカーの音が回転するパネルに当たって室内に飛び散っていく。


堀尾 寛太「重さの立場になって考える」
日常的な物質に電磁石やモーターなどを組み合わせた自作デバイスを国内外で発表する堀尾寛太。室内にぶら下がる紐を引っ張ると、張り巡らされたロープが思わぬ仕掛けを引き起こす。2011年1月に20202で行われた個展の発展版とも言える内容。


大城 真「Strobe Composition」
電子機器やジャンク・身近な素材を組み合わせて制作した楽器によるライヴ・パフォーマンス、インスタレーション作品を手掛けるアーティスト、大城真。太陽電池と使い捨てカメラのフラッシュを組み合わせた作品。


芝辻ぺラン ステファン「Human Battery」 
自作楽器を奏でるノイズミュージシャン、パフォーマーの芝辻・ぺラン・ステファン。芝辻ペラン詩子と市販の動く犬のぬいぐるみを改造した人形を使ったパフォーマンス「人間ドッグ・オーケストラ」を行う。この作品では自らの唾液、血液などの体液と銅板、アルミ板を組み合わせて発電している。

会場のmerdreは、府中競馬場からほど近い、広々とした日本家屋を改造したオルタナティブ・スペース。都心からはちょっと時間がかかるが、足を伸ばしてみる価値のある充実の内容だ。会期は1月15日まで。是非お見逃しなく。


参加作家
左から:堀尾寛太、菅野創、矢代諭史、大城真、芝辻ぺラン ステファン

Text & Photo by Akiko Saito (A4A)

Information

hARTsuden 発電するアート
http://uma-merdre.com/blog/2011/12/18/hartsuden/l
日時:2012年1月7日〜15日 ※11日休廊
10:00a.m.−6:00p.m.
場所:artist-run-space merdre(東京都府中市矢崎町1-9-4
連絡先:info(a)uma-merdre.com
料金:無料