2003年11月の開館以来、メディアテクノロジーと身体をめぐる新しい芸術表現を追求、発信し続けるけてきた山口情報芸術センター[YCAM]。そんなYCAMから、2003年〜2008の活動をまとめた記録集「Creativity Seen/Unseen in Art and Technology A compendium of media art and performance from YCAM: 2003-2008」が発売された。

YCAMはアーティストの構想とその実現を担う専門性をもち、それらを地方から発信する視点と、地域の文化に対する眼差しとともに生み出された作品の数々は、世界各地で巡回を続けている。

これまで、坂本龍一+高谷史郎「LIFE – fluid, invisible, inaudible…」、 池田亮司「datamatics」、ダムタイプ「Voyages」、三上晴子+市川創太「gravicellsー重力と抵抗」、カールステン・ニコライ「syn chron」、渋谷慶一郎+池上高志「filmachine」、エキソニモ「WORLD B / 意識を裏返し、B面をPLAYせよ」などそうそうたる作品たちを発表してきたYCAM。本書では開館から5年間にわたって制作・発信したオリジナル作品33点を中心に、その活動の全貌を紹介している。

アートの現在が、新たなメディアを創出する技術とどのように関わるのか、テクノロジーと社会との関係に、どうやって批評的に対峙するのか―。本書を通じ、次代に続く、創造の「環境/創発/公共性」のあり方を問いかける。

活動、作品紹介の他に、坂本龍一、藤本隆行(ダムタイプ)、岡田利規、アンドレアス・ブレックマンへのインタビューや、大友良英、佐々木敦、内野儀、阿部一直(YCAM)によるエッセーも収録。

また、特別掲載のフォトドキュメント「展覧会ができるまで」では、2008年にYCAM全館を使用して行われた大規模なインスタレーション「大友良英 / ENSEMBLES」展の制作過程や展覧会の裏側が当時の写真とともに紹介されている。

YCAMに限らずインスタレーション型のアート作品のアーカイブは依然として難しい部分があるなか、
こうして一冊の本にまとまることでとても貴重な資料として役立つことだろう。
240ページと分厚く、かなり濃厚な内容となっているので、ぜひ、手にとって読んでみてほしい。

購入はAMAZONもしくはYCAMの通信販売で可能となっている。

YCAM「Creativity Seen/Unseen in Art and Technology A compendium of media art and performance from YCAM: 2003-2008」
山口情報芸術センター[YCAM](制作)
山口情報芸術センター[YCAM]
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Information

山口情報芸術センター[YCAM]
記録集「Creativity Seen/Unseen in Art and Technology」

http://www.ycam.jp/news/creativity-seenunseen-in-art-a.html

<インタビュー>
坂本龍一
藤本隆行(ダムタイプ)
岡田利規
アンドレアス・ブレックマン

<エッセー>
大友良英
佐々木敦
内野儀
阿部一直(YCAM)

<特別掲載>
フォトドキュメント「展覧会ができるまで」

価格:3,675円(税込)


企画:山口情報芸術センター[YCAM]
制作ディレクション:山口情報芸術センター[YCAM]、ART iT
編集:廣田ふみ(YCAM)、福田幹(YCAM)、小崎哲哉(ART iT)、阿部謙一
アート・ディレクション:尾原史和
デザイン:スープ・デザイン

※本書に掲載している展覧会/作品のデータ、略歴、所属は、2009年3月時点の情報に基づき、構成されています。