角川書店より、写真家新津保建秀による写真集『\(バックスラッシュ)風景』が4月に発売となり、これを記念したイベント「\風景」が原宿VACANTにて3/15~17の3日間、開催される。

2007年春、都内近郊のある土地を訪れた新津保は、その翌年、乙一の小説『GOTH/モリノヨル』(角川書店)のための写真を撮り下ろしたことをきっかけに、その磁場に引き寄せられるように、継続的に撮影を行ってきた。

この写真集はそれ以降に制作した、不可視の情報空間を流動する膨大な情報の流れを抽象化した作品「Binaural-Scape」(2008-2009年)、相対性理論+渋谷慶一郎のトリプルシングル「アワーミュージック」(commmons)のアートワークのための写真(2009年秋)、雑誌「FREECELL」(角川書店)に発表された地図とデスクトップ上のキャプチャー画像によるシリーズ(2010年初夏)、同誌のためにやくしまるえつこのポートレートとともに撮影された風景写真(2010年晩夏)、そして東京大学知の構造化センターpingpongプロジェクトの岡瑞起、橋本康弘による地図画像とのコラボレーション作品などによって構成される。

本作はこれまで断片的に発表してきた写真と新作を統合し、風景について新しい解釈をなげかけるものとなっている。新津保は、風景とは、その空間の現在のありようと、その場における人の営みの痕跡が堆積したものとの総体であると捉え、その場に内在する人の行為の集積によって生成されたレイヤーを写しとろうとする。
そこに写っているのは、さまざまな風景写真とともに、情報工学的に生成された地図や、デスクトップ上に展開された極めて個人的な視線の集積によるアーカイブなどであり、堆積する記憶はネットワーク上の不可視の視線と連なっていく。

タイトルのバックスラッシュには、プログラムにおいて後に続く概念を無化する働きがあり、『\風景』はさまざまな「境域」を改めて「風景」として捉え直した、近年の作業の集大成となる写真集になっている。

また、電子書籍版の写真集『\風景』も5月10日に発売が予定されている。

原宿VACANTでの展示&イベントでは、写真集の制作過程とリサーチで生まれたさまざまな副産物、共同作業から成る展示と、本作にゆかりのあるクリエイターによる「風景の記述」を主題としたプレゼンテーションとトークイベントを展開していく。こちらも合わせてご覧頂きたい。



Information

新津保建秀写真集『\風景』

リリース:
http://www.torchpress.net/2012/02/23/event-新津保建秀写真集『\風景』発売記念イベント/

VACANT
http://www.n0idea.com/?id=49

【写真集概要】
タイトル:\風景
著者:新津保建秀
テキスト:東浩紀
発売日:2012年4月10日予定 予価:4700円+税
仕様:A4ヨコサイズ/上製/110ページ
デザイン:田中良治(セミトランスペアレント・デザイン)
発行:角川書店 発売:角川グループパブリッシング ISBN978-4-04-110194-0
※電子書籍版の写真集『\風景』は5月10日発売予定。

【「\風景」プレゼンテーション】
会期:2012 年3 月15 日(木)- 17 日(土)13:00 – 18:00
会場:VACANT 2F 入場料:300円
参加者:池上高志、岡瑞起、ほか
※電子書籍体験版をフリーダウンロードしていただけます。

【「\風景」3夜連続トーク】
各日時間:19:00開場/19:30開演
予約方法:〈booking@n0idea.com〉までメールにて予約をお願いします。
件名「\風景」、本文に希望日とお名前・人数・連絡先をご記入ください。

☆第1夜:3月15日(木)「\風景とデータフロー」入場料:1,000円
池上高志×岡瑞起×新津保建秀

☆第2夜:3月16日(金)「\風景と音楽プログラム」入場料:1,500円
2部制: 渋谷慶一郎×伊藤直樹×新津保建秀/evala×清水幹太×新津保建秀

☆第3夜:3月17日(土)
詳細が決まり次第発表いたします。

VACANT
150-0001 東京都渋谷区神宮前3-20-13

Profile

新津保建秀:
1968 年東京都生まれ。写真家。多領域のクリエーターとの共同プロジェクトも多く、「きこえる? School & Music」プロジェクト(文藝春秋/東京大学知の構造化センターpingpong project)、複雑系科学の研究者・池上高志と発表した〈Rugged TimeScape〉などを手がけている。〈Rugged TimeScape〉は第 14 回文化庁メディア芸術祭審査員会推薦作品となり、ドルトムントでの「文化庁メディア芸術祭ドルトムント展2011」アート部門に展示された。また『思想地図β vol.2 震災以後』での福島県の浪江町での撮影から音楽家の渋谷慶一郎と制作した映像作品「Namie0420」は、「堂島ビエンナーレ2011 Ecosophia—アートと建築」に出展されている。
著書:『Spring Ephemeral Binaural-Scape 3.17』『記憶』(フォイル)、新津保建秀+ 池上高志『Rugged TimeScape』(フォイル)ほか。
関連図書:『Tokyolife:Art and Design』(Rizzoli New York)、『季刊 Inter Communication 音楽 / メディア』(NTT 出版)、『建築と写真の現在』(TN プローブ)、『‘ おいしく食べる ’ の科学展』(科学未来館)など。
http://www.kenshu-shintsubo.com/