photo by Takumi Ota

毎年10月の東京はファッションやデザインの祭典がひしめくお祭りムード。そのなかでもDESIGNTIDE TOKYOは毎年様々なジャンルから集まったアーティストたちによる先鋭的なプロダクトが集結し、たくさんの刺激を与えてくれるイベントだ。

7年目となる今年は、メイン会場の東京ミッドタウンにて作品プレゼンテーション「タイドエキエキシビション」、アーティストがデザインなどについて語るトークイベント「タイドテーブル」、招待作家による展示「タイドフォーカス」、プロダクトをデザイナー本人から購入することができる「タイドマーケット」を開催。また都内約30カ所のサテライト会場にて「TIDE Extension」を合わせて開催している。

それではメイン会場のレポートをお送りする。

Text by Akiko Saito

photo by Takumi Ota


タイドフォーカス





ロンドンを拠点に活動するアーティスト、Vahakn Art & Design Studioによるプロジェクト「フルーツシティ」。Vahaknはプロダクト、オンラインのプロジェクト、パブリックアートなど幅広く手掛ける若手作家。フルーツシティはロンドンの公共の空間に存在し、誰でも食べることができる果樹をgooglemapに記載し、情報を共有するプロジェクト。これを制作したきっかけは、イギリスが大量の果物を輸入する一方で公共の場所にたくさんの果樹があり、そのほとんどを廃棄していることに気づいたこと。プロジェクトはロンドンを飛び出し、イギリス北部にも広まっている。




真鍋大度と石橋素による「16-forms」。2011年6月に青山スパイラルで開催された「KAITEKIのかたち」で発表された「16-forms」のアップデートバージョン。3Dスキャンしたダンスのデータを3Dモデリングし、3Dプリンタでプリント。円形に並べ、LEDの光を定間隔で照らすことでゾエトロープ・アニメーションのような効果を産み出す。


タイドエキシビジョン


エマニュエル・ムホー「toge」


東京在住のフランス人建築家・デザイナー、エマニュエル・ムホーによる「toge」。彼女が創りだしたのは、ウニのようなトゲトゲを持つカラフルなプロダクト。白とカラフルな500個のtogeを絡ませて1着のウェディングドレスを創り上げた。幻想的な仕上がりが素晴らしい。

コリン・シェーリー「コン. テンポラリー・ファニチャー」



ここまでたったの2分!木材なので軽い

スイスのアーティスト、コリン・シェーリーによる「MADE HERE Project」。コリンはフライターグでグラフィックやパッケージデザインを手がけていた人物。MADE HERE Projectは、木材を原料とし、組み立てに釘もネジも使わない持ち運び可能な家具。大きな机もたった2分で完成してしまう。このプロジェクトは世界中で行われているが、制作コストを抑えるために、それぞれの販売国の職人にコンタクトを取り、現地で制作を行っている。「被災地などに良さそうですね」と聞くと、「もちろんだよ」と答えてくれた。

黒河内真衣子「mame」


デザイナーの黒河内真衣子による、ウィメンズ向けのラグジュアリー・ブランド「mame」の作品。「現代女性のための戦闘服」をコンセプトにしたクラッチバッグは、パーティの話題の的になりそう。

DMY Berlin「Berlin Products」

ベルリンで毎年開催される大規模なプロダクト・イベント「DMY International Design Festival Berlin」を開催するDMY Berlinが今年も参加。なおDMY Berlinは2011年11月5日(土)には宮城県仙台市のTRUNKにてTOHOKU DESIGN CONFERENCE「ベルリンの事例から学ぶ地域クリエイティブ産業の発展とは」を開催する。

rabbit hole「apple」

デザイナーの鈴木篤、木工・家具デザイナーの竹内秀典、写真家/グラフィック・デザイナーの大西正一のチームrabbit hole。鉛筆を削ると削りカスが皮のように飛び出してくる鉛筆削りがキュート。

高橋良爾、田中章愛/ Vitro「Dew」

デザイナーの高橋良爾とエンジニアの田中章愛によるユニット「Vitro」。削り出した真鍮にLEDの明かりを付け、水滴が落ちることで光の輪が広がる照明器具。

藤原敏嗣「BLOCTOOL」

プロダクトデザイナー藤原敏嗣による「BLOCTOOL」。巨大なブロックを自由に組み合わせ、スツールやテーブルを作ることができる。

un-do design「ハンガーツリー」「カタンコトン」

インテリアデザインユニット、un-do design。ハンガーを組み合わせて洋服掛けを作ってしまった「ハンガーツリー」、江戸時代の玩具からヒントを得た、赤い紐で箱を繋ぎあわせた「カタンコトン」。小さな工夫でまったく新しいものが生まれた。


タイドマーケット



タイドマーケットではいろいろな掘り出し物がたくさん。アーティスト高橋理子による人気プロダクトブランド「ヒロコレッジ」のグラフィカルな「ORIGAMI FOR CRANE -鶴を折るためのおりがみ-」。


セメントプロデュースデザインによるペーパークラフトによる繊細な栞、「SEE OH! Ribbon」。


大日本タイポ組合が手掛ける、動物名の綴りがその動物を形取るガチャガチャ「ア°クリル」(アクリル アニマル)も出現。


昨年福島で採取された種を販売するプロジェクト「seeds」。東日本大震災によって作付けや販売が困難になり行き場のなくなった種子を、装いも新たにパッケージし直して製品化した。

これらたくさんの作品を展示するため、毎年メイン会場では気鋭の作家が会場構成を手がけている。2008年と2009年は建築家の谷尻誠、2010年は建築家の中村竜治に続き、今年はプロダクトデザイナーの中坊壮介が抜擢された。半透明の生地で会場を仕切り、背面から照明を当てディフューザーのような役割を果たすことで展示作品が美しく見える効果もある。展示作品、会場構成、クリエイターによるトークなど見所たくさんのDESIGNTIDE TOKYOは11月3日まで。

Information

DESIGNTIDE TOKYO 2011
https://designtide.jp/

会期:2011年10月29日(土)~11月3日(木・祝)
メイン会場 : 東京ミッドタウン・ホール
エクステンション会場 : 東京都内各所

時間 :
10月29日(土)~11月2日(水)11:00~20:00(最終入場19:30)
11月3日(木・祝)11:00~17:00(最終入場16:00)

入場料 :
¥1,500(学生 ¥1,000) / 1日 
¥3,000(学生 ¥2,000)/会期中3日 
*学生割引は学生証提示の場合のみ