TOPIC > Feature > 「見えない世界のみつめ方 BEYOND THE NAKED EYE」展関連企画

東京都写真美術館 映像をめぐる冒険vol.4
「見えない世界のみつめ方 BEYOND THE NAKED EYE」展 関連企画

市川創太×小阪淳×鳴川肇 メール鼎談
『新しい世界像にむけて』

第0回:『鼎談を始めるまえに』山峰潤也

November 11, 2011(Fri)



今年の12月から東京都写真美術館で開催します、「見えない世界のみつめ方」展を企画しています、学芸員の山峰と申します。この展覧会の開催に向けて、この展覧会のアーティスト、doubleNegatives Architecture(以下dNA)の市川創太さん、小阪淳さん、鳴川肇さんのメール鼎談を進めていきたいと思います。市川さん、小阪さん、鳴川さん、よろしくお願いします!

この展覧会は、写真美術館映像部門の5つのコンセプトを毎年一つずつ取り上げ、写真美術館の収蔵作品と現代作家の作品を展示する「映像をめぐる冒険」シリーズ企画の第4弾としてスタートしました。去年は、3D映像の原理である「立体視」というかなり限定的なテーマだったのですが、今年は一転して「拡大と縮小」という漠然としたテーマからスタートしました。その言葉から、マクロな世界からミクロな世界までを一望できる映像作品、チャールズ&レイ・イームズの『Powers of Ten』が思い浮かび、「人間の見ること、知ることの出来る世界の拡大」と解釈しなおして進めて行こうと考えていました。

このテーマは「世界像の拡大」とも言いかえられると思います。ただ、企画を進めていくなかで、今、私たちが思い描く世界の広がりというのは、マクロな世界とミクロな世界をシームレスにつなげるような単純な世界だろうか?という疑問が挙がってきました。というのも、インターネット上の世界や放射能線などの見えない物質の世界など、重層化していて複雑な世界の広がりの中で自分は生活しているなって感じたんですよね。映像の世紀と呼ばれた20世紀の最後にインターネットが出来て、情報インフラが一気に広がった結果、情報が溢れかえって色んなことを知ることが出来るようになった半面、自分で情報を取捨選択して相対的に情報の信頼性などを判断しないといけない時代になりました。でも、自分ではなかなかそれが出来ない。似たり寄ったりの大量な情報を比較しないといけないストレスや閉そく感とどう向き合おうって考えていました。そういうことを考えるうちに、これまで自分の思いもよらなかった視点で世界を見ることで、世界が新しい形で見えてこないかな?というように思い始めて、そこから、「視点をシフトさせることで見えてくる新しい世界の広がり」を見つけていく展覧会にしていこうと思いました。(こういう考えに至ったのはご三方との対話のおかげですね)

そういう考えをベースに、新しい世界地図の描画方法《AuthaGraph》を考案した鳴川肇さん、新しい空間の記述方法などを組み合わせたプロジェクト《Corpora》プロジェクトを展開するdoubleNegatives Architecture、デザイナー・美術家でありながら相対性理論を解説本や科学雑誌『Newton』への寄稿など科学と表現の領域を行き来している小阪淳さんの展覧会を実現したら、何か新しい世界像が立ち現れるんじゃないかと期待して進めています。

加えて、これは全くの偶然だったのですが、ご三方とも東京芸大の建築科を卒業されていて、もともと知り合いだったんですね。だからこそ、このメンバーで鼎談をやれると面白いなと思って企画しました。

それでは、一応便宜的にでもフレームがあった方が進めやすいと思うので、以下のルールでメール鼎談進めて頂ければと思います。

■今回の展覧会に参加いただくにあたって思うことと、ご自身作品や考え方についてお話頂く。
※1回目のみ。
■前の順番の人から来た質問に答える。
■次の順番の人に対して持っているイメージをお話いただく。
■次の順番の人に対して質問をして頂く。



それでは、まず、市川さんにご自身の活動やこの展覧会に参加いただくにあたって思うこと、そして、その次の小阪さんに対して持っているイメージや質問などをお話頂ければと思います。

それでは、市川さんどうぞよろしくお願いします!

山峰潤也


映像をめぐる冒険vol.4
見えない世界のみつめ方

会 期: 2011年12月13日 ( 火 ) ~ 2012年1月29日 ( 日 )
休館日:毎週月曜日(休館日が祝日・振替休日の場合はその翌日)
料 金: 一般 500(400)円/学生 400(320)円/中高生・65歳以上 250(200)円
( )は20名以上団体、東京都写真美術館の映画鑑賞券ご提示者
小学生以下および障害者手帳をお持ちの方とその介護者は無料/東京都写真美術館友の会会員は無料/第3水曜日は65歳以上無料
http://www.syabi.com/contents/exhibition/index-1452.html

Archive

Links