こんにちは。CBCNETスタッフのtadahiです。
先日、飯田橋・文明にて行われた「サロン・エコゾフィー #1」に行ってきたので、軽くフォトレポートをお届けします。

「サロン・エコゾフィー」はキュレーターの四方幸子さんが始めたトークシリーズ。「情報環境を介して精神・社会・自然環境がつながっていく世界の新たなランドスケープを探索する」というコンセプトのもと、未来に向けて先験的なヴィジョンのもと実践を開始している方々をゲストに招き、ともに考え語る場、として始まりました。
第一回目のゲストはマルコ・ペリハンさん。

マルコさんは、テレコミュニケーションや自然環境のリサーチを通して、アートと科学、社会を結びつけるプロジェクトを展開し注目を集めるアーティスト。
日本で始めて発表した作品は、カールステン・ニコライとの共作 “polar” (キャノン・アートラボ、2000)、その後、「open nature」(ICC, 2005)、「ミッションG:地球を知覚せよ!」展(ICC, 2009)に参加、また、2010年にはYCAMにて”polar”の発展バージョン “polar m [ポーラーエム] ” を発表しています。




会場となった文明は、CBCNETでもおなじみの思い出横丁情報科学芸術アカデミーのお二人も運営に携わるアーティスト・ラン・スペース。ロゴがかわいい。


右側の方がゲストのマルコ・ペリハンさん。
トークでは、たくさんの写真スライドとともに、初期のプロジェクトから現在に至る流れを、当時のスロベニア、ヨーロッパの社会状況と絡めて話してくださいました。

マルコさんは90年代初頭からラジオと演劇のプロデューサーとして活動を始めました。その頃のヨーロッパはベルリンの壁崩壊に象徴されるように、大きな社会変動があった時代。

そんな中で初期のパフォーマンスシリーズでは、共産主義、社会主義のどちらかではなく、既存の社会から独立した中間的な領域が可能なのではないか、またその中で個人がどういう振る舞いを行えるか、という問題意識をもって演劇を展開していたそうです。

実際には、社会から切り離された第三の場所(自己完結されたシステム)のようなコンセプトのもと舞台を設計・制作し、そこで個人のあり方を問うような演劇を作っていました。



そういった、社会から独立した独自のシステムという考えの延長線上に、マクロラボや現在の活動が展開されているそうです。

マクロラボについてはICCの「open nature」展でも紹介されているので、以下ICCサイトから引用

基地「マクロラボ」を世界各地の自然の中に2-3ヶ月設置し,テレコミュニケーション,気象,渡り鳥の移動などマクロな情報環境をリサーチするぺリハン/パクト・システムズ.


社会からは独立した、独自の観察システムによって地球を客観的に把握する事で、今までになかったアイデアを逆に地球に対して提案する事ができるのではないか、といった考えのもと展開されているそうです。



また、現在進行中の「API(北極パースペクティヴ・イニシアティヴ)」の活動についても紹介してくれました。
APIは、極地圏に住む遊牧民など現地の人々の為に、オープン・オーサリングやコミュニケーションのインフラ開発を目的に活動している超国家的な非営利のグループ。

APIの活動のひとつで、北極を大きな記録装置にするというプロジェクトが現在進行中で、これは、遊牧民など文字を持たない人たちの為に記録装置を作るというもの。

北極の至る所に気象データを取得するセンサーや音声記録装置を設置し、それをメッシュネットワークで繋ぐ事で、遊牧民が移動しながら、いつ、どこで、何を語ったかという事が記録される。

ここで重要なのは、このプロジェクトはあくまで、現地の人がそのデータを利用できるようにという事でやっているのであって、部外者が研究目的でやっているという構図ではない。
なので、必ずワークショップなどを行い、現地の人が持続可能な方法を提案する。

このような活動の背景には、科学技術など近代化の中から生まれた方法論と、伝統文化など彼ら独自の方法論との間のインターフェイスを作りたいという思いがあるそう。

他にも、極地圏でFM放送局を立ち上げたりなど、現地の人と共同で様々なプロジェクトを展開しています。



ざっとではありますが、話の流れとしてはこんな感じでした。
ustreamの録画が残っているので、詳しく知りたい方はぜひこちらもチェックしてみてください〜。

おまけ


打ち上げでお花見をしに靖国神社へ行きました。屋台がたくさん。


たこ焼きを買うマルコさん。うれしそう。


桜、満開でとても美しかったです。。。
四方さん、マルコさん、すばらしい会をどうもありがとうございました。
今後の「サロン・エコゾフィー 」の展開にも期待しています。

tadahi