こんにちは。CBCNETスタッフのtadahiです。

先日、大阪の名村造船所跡地で「NAMURA ART MEETING ’04-’34 Vol.04 臨界の創造論」という2日間(26時間連続)のイベントが開催されました。
わたくし、準備のお手伝いを少し&インスタレーション中のパフォーマーとして参加してきました。



NAMURA ART MEETING ’04-’34は、「2004年から2034年までの30年間を芸術のひと連なりの現場ととらえ、芸術活動と隣り合う社会や個人が、<出来事>を共有しつつ未来を創造する」という実験的なプロジェクト。2004年から始まり、今回が4回目。これまでの歴史はこちらを参照してほしい。

全体としては、展示、ライブ、トークが26時間の間に各所でおこなわれるという凄まじいイベントだった。写真と共に、ざっとイベント全体を振り返りたい。


ヤノベケンジ《THE STAR ANGER》屋外インスタレーション

全体がミラーボールのような反射する素材でできていて、回ると反射した光が周辺に散らばる。ものすごい存在感を放つ象徴的な作品だった。


クワクボリョウタ+梅田哲也 《ほとんど事故に気づかない》インスタレーション

昼間の空間はこんな感じ。


クワクボリョウタ+梅田哲也 《ほとんど事故に気づかない》インスタレーション
撮影:長谷川淳

夜になると、雰囲気は一変。ここはかつて造船所だった場所ということで、床に図面のようなものが残っている。それを浮かび上がらせるという作品。昼間は普通の床だったのに、夜、ライトの光によって見事に変身する床。。写真では分かりにくいかもですが、めちゃ雰囲気がでててテンション上がります。

こちらの梅田さんのブログでもふれられているが、前日の朝までまったく違う作品を作っていて、前日に方向転換して今回の作品に落ち着いたらしい。端で見ていて、その方向転換力や瞬発力、それを実現させる力など、もろもろさすがだなぁと思ったし、結果的に場所の特異性や26時間の展示という枠組みを生かした作品になっていたと思う。



ルンバ?的な動きで床を照らすロボ君もいました。


雨宮庸介+梅田哲也 《壁の間に卵を立てる》 滞在制作によるインスタレーション+ライブ・パフォーマンス
撮影:長谷川淳

この作品はイベント中(26時間)ずっと雨宮さん、梅田さん含む何人かでパフォーマンス?というか何らかの作業?が行われているというインスタレーション?と言えばいいのか。2回程ライブとしての時間が設けられていたが、それ以外の時もずっと何かが行われていた。

2012.10.17 雨宮庸介+梅田哲也 / AMEMIYA Yosuke + UMEDA Tetsuya from adanda on Vimeo.


上の映像は滞在制作中に撮られたものだが、こんな感じで展示空間では、壁を押す人、床掃除をする人、キックボードで走る人、ボールを転がす人、ゆで卵を作る人、卵を床に立てる人、ある規則に従って歩く人、モールス信号で外の人と交信する人、などなど、常時10名程度の人たちがそれぞれ何かをやっている。

私もパフォーマンスに参加していたのだが、いくつか部屋の中でのルールや、やる事が決まっていて、やっている最中に実験的に新しいルールが加わったりもする。休憩したいときは、観客に混じってパフォーマンスを見ていてもよい。限りなく、パフォーマーと観客、作品とそうでない空間の境界が曖昧な状態で、刻一刻と状況が変化していく。


雨宮庸介+梅田哲也 《壁の間に卵を立てる》 滞在制作によるインスタレーション+ライブ・パフォーマンス

最後の方には、ナマコのような形の黒いゴミ袋が窓から飛び出してきたりもしました。
こちらに、雨宮さん、梅田さんの滞在制作の様子が毎日映像で上がっているので、興味のある方はチェックしてみてほしい。


宇治野宗輝 《THE BALLAD OF EXTENDED BACKYARD》 インスタレーション

大量生産・大量消費社会を象徴する既製品を組合せ、独自のシステムを内蔵させたサウンドスカルプチャー。ものが勝手に動いてビートを刻む感じは、奇妙な面白さがありました。


撮影:長谷川淳

宇治野さんによるライブ。もの凄い迫力。





真夜中ミーティング NAMURANITE「現代表現群の系譜-1」の様子。左から、水田拓郎氏、服部滋樹氏、宇川直宏氏。
トークもイベント中、何度か行われていた。中には深夜1時〜3時半に行われていたものもあった。


DOMMUNE/Rubber(()Cement ライブパフォーマンス
(ユタカワサキ氏が急遽コラボレーション)



Rubber(()Cementは、米サンフランシスコのユニットで、6000年光年彼方の原始未来からやって来た突然変異廃品サイバー・ロボット「A-Gene-rack」と「CIMEVOX 30084」という二台が奏でる電子ノイズの崩壊と狼藉を展開。舞台装飾はなんと、この日の為に作った特別セット。とにかく凄まじいライブでした。。
Rubber(()Cementは、ユタカワサキ氏の大ファンとの事で、この日、共演を果たしてました。


「BREAKFAST FAST」DODDODO ライブ
撮影:長谷川淳

2日目の朝には、「BREAKFAST FAST」というイベントが行われた。
「BREAKFAST FAST」とは、日曜日の午前中に、朝食を楽しみながらライブやプレゼンテーションに参加、観覧するイベントで、大阪を中心に不定期で開催されている。今回はNAMURA版の特別プログラムとして、関西を中心に活動するミュージシャンやパフォーマーが出演。2日目の朝10時から、眠気も吹っ飛ぶ熱いライブが繰り広げられた。


「BREAKFAST FAST」手ノ内嫁蔵 ライブ


「BREAKFAST FAST」アキビンオオケスストラ

江崎將史主宰による空き瓶吹奏集団。淡々とアキビンを吹く感じや動きがどこかシュールで、思わずニヤリとしてしまう。


「BREAKFAST FAST」PHIRIPさんが作ったモーニングセットワラビ

PHIRIPさんは1997年からワラビモチ愛好会を始動して、ワラビモチと関わる様々な活動をしている方。
実は以前にCBCNETにも登場していて、(『フォルマント兄弟のプレゼンテーション道場 vol.3 椹木野衣セレクション』レポ参照)かなりユニークな活動を展開している。

この日は、朝の体操をレクチャーしてくれた後に、手作りワラビモチをふるまってくれた。
PHIRIPさんの活動拠点が名古屋(モーニングが有名)で、「BREAKFAST FAST(通称:朝ごはんイベント)」ということで、この日は、珈琲ワラビ、普通のワラビモチ(主食)、卵ワラビ(実験的)でモーニングセットワラビを作ってきてくれた。


「BREAKFAST FAST」”うずはち養蜂園” による蜂の子料理ワークショップ

「BREAKFAST FAST」では、ライブだけでなく、食に関するワークショップも平行して行われていた。
上の写真は、参加者が蜂の子を巣から取り出している様子。


「BREAKFAST FAST」O:NIKU Station によるワークショップ

鶏をとさつして、料理するワークショップ。精肉以前のこういう過程を見るのは、結構衝撃的だった。


という事で、準備+イベント2日間に渡って、NAMURA ART MEETING ’04-’34に参加させて頂きましたが、本当に濃厚な体験でした。。
ある部屋では26時間ずっとパフォーマンスをしていて、真夜中にはトークをして、朝になればライブが始まり、浴びるようにノイズをきいて….と絶えず何かが巻起こっている状況…とにかくもの凄い出来事ばかりでした。。

NAMURA ART MEETING ’04-’34はこれからも数年おきに継続して行われる予定(おそらく、2034年までは続くのかな?)とのことで、今後も要注目していきたい。


Information

NAMURA ART MEETING ’04-’34
Vol.04 臨界の創造論

http://nam04-34.jp/

2012年10月20日(土)16:00〜21日(日)18:00(26時間連続)
名村造船所跡地(大阪市住之江区北加賀屋4-1-55)