THE .PSD SHOWは Adobe PhotoshopのファイルであるPSDを作品としてダウンロードできるオンライン・エキシビション。初回はアーティストやフォトグラファー、リタッチャーなどが8名が参加している。それぞれのPSDは今回のために制作され、ファイルは大きなもので800MBほどある。

アーティストにはImage Objectsというオフラインの展示とオンラインで見られるイメージを交差させながらリアリティの再認識を誘発させる作品でも知られるArtie Vierkantも参加している。
プロジェクトのオーガナイザーは自身もアーティストとして参加しているJoshua Citarella


参考:Image Objects
Image Objects -Artie Vierkant


ABOUT文の冒頭には以下のようにある。
“Adobe Photoshop is now the vernacular of contemporary images.”

さて、このVernacularという聞きなれない単語をどう訳したらいいのだろうか。
辞書だと『その土地の固有のもの、固有の様式であること。また、そのさま。「―ランゲージ(=現地語)」』となっている。

この単語はOlia LialinaのDIGITAL FOLKLOREの第一章「A VERNACULAR WEB」という箇所でも登場する。そこで挙げられている例として「Under Construction (工事中)のサイン」や「MIDI」、「FRAME」、「WELCOME TO MY HOME PAGE」などがあり、これらは今は無きGeocitiesを筆頭に90年台半ばにインターネット上では通例となっていた様式たちだ。

ふむ、なんとなく”Vernaclar”の感触はつかめた気がする。その土地、この場合はインターネット、特有の様式。「民藝」というのも近いかもしれない。[インターネット アート これから] でも出てきた、インターネットが日常化したことに対して使われていた “Banality”とは意味合いが違う。

さて、なんでもインターネット特有のものにVernacular感を与えていくのもVernacular感が漂ってる気もしなくはないが、実際にPSDを落としてみると、そこには単体のイメージにはない様式は確かに感じられた。特にPhotoshopを長年使っているひとはそれぞれの使い方があるので、使い慣れたPSDという形式でも作った人間の存在や違和感が感じられる。

そこまでインパクトのあるプロジェクトではないが、こうした最近のインターネット関連アート?を表す際に使われる単語から何か切り口があるかもしれないと感じられた。


さて、長くなってしまったので次のはさっくりと。



http://joyofgif.tumblr.com/


ロンドンの”The Photographers’ Gallery”によって開催されているGIFアニメーションのプロジェクト「BORN IN 1987」。GIFアニメーションが生まれたのが1987年とのこと。
先に挙げたOlia Lialinaを始めdump.fmやOK FOCUSなどでも知られるRyder Rippsなどなど20名以上のアーティストが参加しているとともに、一般の投稿も受け付けている。GIFアニはオンラインではTumblrを使ったサイトにアーカイブされ、 The Photographers’ Galleryにある大画面のモニタにも流されているとのこと。

応募は簡単で、Tumblrの投稿に#bornin1987というタグをつければOK。

いまやGIFアニを見かけない日はないほど流行っているが、Photographer’s Galleryがこうした企画をやるところがナイス。
日本の写真関連のギャラリーや美術館もぜひやってほしい。