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Report : APMT2

2006年6月17日18日
http://www.apmt.jp/
会場:スーパーデラックス

Presenter : CBCNET, 株式会社グランドベース
Presenting Partner :
アドビシステムズ株式会社
Sponsors :
Mozilla Japan
株式会社デジタルスケープ 
Supporters :
PRINTEM
SuperDeluxe
Medicom Toy

Media Supporters:
WebDesigning
TokyoArtBeat

SPECIAL THANKS:
VJ SUPPORT: FLAPPER3


Posted at : August 28, 2006

APMT2 Report ONE

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APMT2 Report ONE
Text by Yosuke Kurita
Photo by Grandbase inc, Jun Okamoto(withD)

CBCNET主催のカンファレンスAPMT2から既に2ヶ月が経過した。
先月発売のWebDesinging8月号にAPMT2特集が6ページにわたって掲載されおり、またwithDにもAPMT2レポート #1APMT2レポート #2 と詳しくレポが掲載されているのでぜひチェックしてほしい。
正式なレポートとしてはそちらをご覧いただくとして、2ヶ月経った今、改めて主催側的な視点でレポをしようと思う。写真メインで数回に分けてお届けする。

【APMT2】
APMTとは去年5月からスタートしたデザイン・アートカンファレンス。
今回のイベントは6月17日、18日に六本木SUPERDELUXEにてカンファレンス、17日から7月2日までの2週間、代官山にあるGALLERY SPEAKFORにて展示会、そしてワークショップという構成で行われた。

勉強のためではなく、創作意欲に結びつく刺激をもらえるようなイベントにしたい、というのが僕らCBCNETの目的であった。表現の可能性を推し進めているオリジナリティ溢れるデザイナーやアーティストを世界中から呼び、いろんな話が聞けて、ビールが飲めて、楽しくみんなと話して、「さて明日もまたがんばって何か作ろう」と、そんな気持ちになれるイベントになるよう心がけていた。また制作者でなくとも楽しめる、デザイン・アートのエンターテイメント性も出るようなイベント構成も意識していた。

今回APMT2に出演してもらったアーティストはグラフィックデザイン、イラストレーション、モーション、インタラクティブ、メディアアート、ストリートアートなどの分野でオリジナルな色を持っている人たちばかり。やっていることは違うかもしれないが、それぞれが創作に向かうスタンスは何か似ている気もする。名前がわからない人もいるかもしれないが、彼らの作品を見れば必ず伝わるものがあるだろう、そう自信をもって言える出演者たちであった。


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カンファレンス一番手で登場したのがRINZEN。オーストラリア出身の5人組のチームで、現在ドイツを拠点に活動するRillaとSteveが来日した。
数年前に彼らはグラフィックに加工を加え次々に色んな人に送っていく「RMX」というプロジェクトで世界中のデザイナーとコラボレーションをし、大きな反響を呼んだ。
プレゼンテーションでは彼らの膨大なポートフォリオがプロジェクターへ次々と流れた。ロゴワークス、ペイント、プロダクト、個展などなど。それでも彼らに聞くと「あれでもセレクトするのに大変だったんだ」と簡単に答える。

日本には9度目の来日。2年前にたまたま出会うことができ、それ以来仲良くしてもらっている。CBCNETのデザイン自転車プロジェクト「16st Design Project」にも参加してもらった。彼らは海外に行く際、ポストカードサイズのポートフォリオを携帯している。全部で数百枚あるのを2冊も。会うたびに何かポケットから出して、プレゼントしてくれる。本当に子供のような遊び心に溢れている。いっぱい作って、お金を稼いで、いっぱい使う。そんないつでも楽しそうな二人だった。


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続いて登場したのはMarcos Weskamp。正直、出会う前は彼がこんなに背が高い人だと思ってなかった(笑)。Marcosの名前は以前からずっと知っていて、僕らの中でちょっとしたアイドルだった。アルゼンチン出身だが日本に住んでいることを知り、APMT2へ出演してもらいたくコンタクトを取った。
彼はnewsmapflickr graphなどビジュアライゼーションの分野で世界的に知られている。視覚的にも最初は「?」なものも、それが既存の情報から生み出されている。分析に興味があるのではなく、情報の見せ方を変えることで、印象そして情報の質も変わる。そしてそこに気持ちいインタフェースを付け加える。
そうしたコンセプトが彼の作品には一環して見ることが出来る。
今後の新作も期待したくなるプレゼンテーションとなった。
marumushi.com

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ni9e-Evan Roth
1日目のプレゼンテーションの最後に登場したのはni9e。CBCNETを頻繁に見てくれている人ならば、僕らが以前から彼に注目していたのはわかるだろう。常に彼のやってる得体の知れない、飛び抜けているプロジェクトにネットを通じて感銘を受けていた。「こいつヤバイって」みたいな。
昨年、僕自身がトロントでのFITCを個人的に見に行った際、運良く彼のプレゼンテーションを見ることが出来た。FITCはFLASH関係がメインのイベントではあるが、その観客を大いに沸かせていた。
僕らが呼ばなかったら、おそらく誰にもこの人は呼ばれないだろう。またこういう手法は日本からは出てきていない。既存の手法で表現する人間とテクノロジーとの仲介役。ただ繋げるのではなく、工夫をし、その既存の表現が新たなレベルに到達するための創造的な仲介役だ。

そういう僕らの思いがあり、会ってから1年経ってメールを送った。初めての日本らしく、大変喜んでくれた。実は、僕らが提供した日程の倍を日本に滞在してくれた。

Graffiti Analysis
彼の代表的なプロジェクトはこのGraffiti Analysisプロジェクト。グラフィティー分析。NYCのストリートで多く見られるタギングのグラフィティーに着目し、そのペンや手の動きをコンピューターに取り入れられるデバイスを自ら開発。そしてその取得したモーションをビジュアル化し、プロジェクターを使い街の壁に投影するというものだ。
街⇒コンピュータ⇒街というプロセスを通り、グラフィティというものが持つ「動き」、「時間軸」などを表現している。
もう一つ紹介しておきたいのが、LED Throwies。APMT2で開催したワークショップでは実際に彼が道具を揃えてくれ、その制作も行った。
これは普通にどこでも買える、LED、ボタン電池、マグネット、テープを利用する。作りは極めて単純でLEDひとつに電池をつけ、テープで一回巻き、次にマグネットを挟み、またテープで巻く。完成。
これを鉄の物体に投げると当然ペタっとくっつく。簡単に壁も汚さず、新たな手法が生まれている。
制作方法のドキュメントはオープンソースになっており下記URLで見ることができる。
LED Throwies
面白いのは、実際このドキュメントを見て世界中で同じようなLED Throwiesを作る集会が開かれているということ。実際にみんなで作って、投げると本当に楽しい。ワークショップの模様もまたCBCNETでレポートするので、お楽しみに。

このプロジェクトの発展版としてJESUS 2.0というものもある。これは有名なストリートアーティスト、マークジェンキンスの立体人形の中にLEDをいれ、町中にある十字に人形をかけるというもの。

他にもたくさん紹介したいプロジェクトはあるが興味ある方は彼のサイト、または彼がメンバーでもあるGraffiti Research Labにて見てほしい。

彼の活動を見ていて思うのは、発想や行動力も重要ではあるが、しっかりしたドキュメントを残す、ということをやっている点が素晴らしいと思う。特にこのような活動の場合、映像ドキュメントは大きな意味がある。僕自身これが無ければ彼を日本に呼んでいなかったかもわからないからだ。


これで初日のプレゼンテーションは終わり。夕飯を挟んだ後、1日目の最後の他社比社が登場する。ここで若干、お客さんが帰ってしまったのは残念でならなかった。

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ライブペイントのパフォーマンスをしてくれたのは色んなことが「謎」な他社比社。a.k.a イセネヒヒネエ、a.k.a isenehihinee。グループ?何やってるの?何人?ってか誰?なにもわからず、彼らの活動は2003年ごろから目にしていた。いつもその謎が気になっていたが、自分からそれを目にしたくてもどこで見れるのかもわからなかった。
そんなとき、たまたまある映像をみる機会があった。彼らのライブペイントの映像だった。まさに未知の領域だった。どうにか彼らにコンタクトが取ることが出来て、初めて会うときは恐い人が出てきそうと勝手に思い込んでいた。完全に、、その逆だった。初対面にも関わらず親切にしてくれて、出演してもらうことができた。
ライブペイントというものは色んな方向性を持っている。その中で彼らは独自の手法を確立している。そしてそれは想像以上の計算、企画、設計そして労力が背景にある。実際、あのパフォーマンスには10名近くのスタッフが関わっていた。
実際に見みないと彼らのパフォーマンスは伝わらないので、ここでは何も書くことが出来ない。ネット上でも探せばその映像は出てくるが、彼らが謎にこだわるように、面白いものはそんなに手が届きやすいところにない。そんな楽しみ方も改めて感じさせてくれたアーティストであった。
イセネエヒヒネエ(他社比)-X3X-

そんな濃密な1日が過ぎた。
この日のラインアップは僕らが過ごすこの時代において、小さくともちょっとは意味を持つと思っている。彼らに共通しているのは、最終的なアウトプットが情報にする仕組みとしてしっかり考えられていることだ。もちろんオリジナリティがあるのも共通している。

良いものを作らないとダメではあるが、モノを作るだけではなく、その成果物をどこまで自分で運び、どの時点でコミュニティーに渡すのか。
どうしても儲かるシステムが出来上がると、そのシステムに乗せるだけで社会的には満足してしまう。
APMT2もそういう動きがもっと必要なのだなと考えさせられた一日でもあった。

そして2日目へ進んでいく。