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Matzu MTP

July 6, 2005 3:17 PM
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Matzu MTP

ニューヨークBROKLYNのBEDFORDはマンハッタンから地下鉄で15分ぐらいのところにある。イメージしていたNYとはまるで違う、のんびりとした雰囲気の町並みだった。ここはアーティストやデザイナーが多く住んでいることでも有名で、GH、KAWS、FUTURAなどストリートワイズな人たちならわかるであろう名前がいくつも挙がる。

そんな住宅街にMatzuさんの自宅兼アトリエがある。最初にMatzuさんと出会ったのはCBCNETで取材したBe.BikeのSHIFT EXHIBITIONを通じてだった。彼があのメンバーを揃えたことからもNYでの濃密な時間がうかがえる。まだ挨拶程度しかしてしてない間柄だったが、再開の際、向こうから歩いてくるMatzuさんを見たとき何か安堵感とうれしさが沸きあがってきた。「ちょっとビールでも買っていこうか」と近くのコンビニに入り、「よう、調子どうよ。あ、また俺からボッタくろうとしてんだろー」、店の人と何気ないやり取りが今まで接した日本人にはないほど現地に馴染んでいる印象を受けた。

Matzuさんは小学校から中学一年まで西海岸オレンジ・カウンティーに住んでいた。英語はもちろんそのときに学んだもの。飛騨高山出身で、いきなりのアメリカは大きなカルチャーショックだったらしく、そのとき熱中したスケートボードが多大な影響を与えていくことになる。「スケートを通して多くのものを見てきた」。そのとき大人気であったマーク・ゴンザレスなどスケーターであり、アーティストでもある人たちがリアルタイムで活躍していて、同じ価値観でアートやストリートに接することができたのは、その後日本に帰ってきてからの微妙な違和感に繋がったのかもしれない。

「日本に帰ってから、アメリカにまた来るまでにはどういう経緯があったのですか?」
「日本の中高に行って、みんなが乗っかるレールに乗って大学も普通に卒業したんだよね。
デザイン絡みのことはやってたんだけど、就職の時ちょっと違うなと。
グラフィックデザインで僕が感じたジレンマがあって。デザインではしょうがないんだけど、自分が一番いいと思ったやつが選ばれないのがやっぱり耐えられないってのと、いくつも作らないといけないというのが納得いかなくて。一個だけいいものを作りたい。クライアントに『ここの色をちょっとこうして、』、とかが耐えられなくなっちゃって。
自分の好きなもんだけ書いていたほうが良いものができる、世の中のためにもなるなと。それで気づいたらここに。」

より自分らしく。いや、普通にやってたらこうなった、という感じだろうか。そんな自然体が僕にあの安堵感を与えてくれた気がする。 ビールを片手に、部屋にある作品やブラックブックに書かれた数々のアーティストのライティングを見ながら話はアメリカでのアートカルチャーについて進んでいった。
Matzuさんは西海岸やカナダなどで多数の展覧会や個展をおこなっている。「アートを買う」という習慣がまだ薄い日本では難しいのは確かだった。

「アメリカには結構アートコレクターみたいな人がいて、何千ドルっていう作品も売れる。プリントだって結構でるしね。西海岸の方がこういったアートはありがたく受け入れてくれるんだよね。だからサンフランシスコではよく展覧会をする。別にアメリカにこだわってるわけではないんだけど、こっちだと個展の話だって普通に来るしね。いきなりメールで、キュレーターから『どこどこでやるんだけど出ない?』とかね。」 

歩けばギャラリーに当たる。「あ、ここ良さそう」とサクッと入れる感覚。また、若いアーティストをどんどん出すべく、キュレーターという職業が確立しているのも大きい。新しく、フレッシュなアートを人々は常に待ってる。日本で使う「アート」とは違う受け入れやすい「アート」。
「だってこっちだと展示会のオープニングとかに40歳のおっちゃんがブラックブック持ってくるんだよ!しかも子供連れて。それで『お前なんて名前でやってんだ、ちょっと書いてくれよ』とか。」

素直に表現をしたい人にとっては、こういったフィードバックが心地よく、過ごしやすいのだろう。
日本だと、展示でスポンサードを見つけるのも一苦労であるし、都内であれば箱代で一週間2,30万はする。

「愛がないと。横流しだと育たないよね。これから作っていこうよ。」

大げさに言うのではなく、帰りのBEDFORDは着いたときとはちょっと違って見えた。当初あったNYのイメージも変わりつつあった。
アメリカのこういったシーンの第一線で、活躍している日本人がいることは大きな誇りである。と同時に、日本の現状への違和感、その責任も感じるようになった貴重な時間であった。

TEXT by YOSUKE KURITA

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Matzu MTP
(TOMOKAZU MATSUYAMA)
飛騨高山生まれ、東京都出身。現在アメリカ・ニューヨーク州ブルックリン市在住。 2001年、前衛/現代アートの発祥の地であるNYに活動拠点を東京から移しブルックリン市にスタジオを構える。
NYプラットインスティテュート美術大学院にも在籍し、主席で卒業。東京、大阪、バンクーバーと国際的にも発表の場を広げ、2004年度だけでも6つの展覧会を開催。「相反するアメリカと日本の二つの文化のボーダーラインを絵画を通して取り除く」というコンセプトをベースに制作された作品は、現代的でシャープなデザイン性とほのかに伺える日本人として根底にある和の感覚が、全く新しい形態でブレンドされ、高い評価を呼ぶ。
リーバイス・ジーンズとのコラボレーション共同プロジェクトとしてNYのソーホーで3ヶ月におよぶ長期個展の開催や、阪急百貨店での個展、またアメリカ東海岸で最も大規模な芸術祭ブルックリンDUMBOアートフェスティバルにおいてライブペインティング作家として選ばれるなど、多岐にわたる芸術活動を行う。

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