Home > Article > Interview

Interview with Josh Keyes

March 25, 2008 5:27 PM

josh_008.jpg


Josh Keyes の描く世界はとても不思議だ。彼が描く断片化された世界には自然と人間の世界の様々な要素が散りばめられている。海底で静かに眠るホッキョクグマ、都会に迷い込んだキツネ、ベルトコンベアー状の世界を走るバッファロー・・・。一見ポップにすら見える作品には文明と自然、人間と動物、その間にある関係性や問題を映し出し、我々に問いを投げかけている。ニューヨークでの個展を控える彼にメールインタビューをお願いした。


Text by Yosuke Kurita
Translation by Shinjiro Tahara



Q: こんにちは,Josh。今回が最初の日本語のインタビューだと思うので,まだ知らない人のために簡単な自己紹介をお願いできますか? 

josh_portrait_02.jpg
Josh: Josh Keyesです。38歳です。カリフォルニア州オークランドで生活しています。ワシントン州タコマで生まれて,5歳からスケッチや絵画を始めました。両親が二人ともアーティストだったので,続けるように助けて,アートへの情熱と関心を育んでくれました。 シカゴ美術学校で学んだ後,イェール大学で絵画と製版の修士号を取得しました。それから12年間,この仕事を続けています。今は2008年の展覧会に向けて作品制作に励んでいるところです。


Q: 自分の作品について,そしてその作品を通じてどういったことを達成したいか、について説明してもらえますか? 

Josh: 私のアートワークはたくさんの多様なアイディアの組み合わせから成っています。私の今一番はっきりとした発想,もしくはアートワークが指向するのは,現在の環境・ヒューマニズムの危機の多様性に対してです。私の作品はそうしたアイディアを舞台に物語や,政治的な言説を表現しています。

私の作品には二つの特徴がありますが,両方とも図形と,断面化されている風景に根ざしています。こうした科学的かつ客観的な描写は,多くの企業や政府の自然界の捉え方を説明するメタファーになっています。我々が世界を所有し、操っているという認識を誇張して、超越的な視点で描いているものです。

私は作品をこの文脈に則り,動物の民話や神話を,現在の政治・社会的な問題を構成する言説と織り交ぜてつくっています。この二つの側面は,互いに交差して,思いがけない物事や新しい物事を生み出すことがあります。私の作品は,現実の事物と幻想的な物語や個人的な神話とを結びつけているわけです。


Q: あなたの作品をいくつか、その背景を解説してもらえますか?

Josh: いくつかの作品は特定の物語を持っていて,暗示的な意味や意図があったりもしますが,他方では作品をニュートラルに,または詩的につくっています。「Weaving」 というタイトルの絵画は,後者の例になります。この作品のアイディアは突然湧いて来たもので,塗り終わるまでまったく計画することもなく,意味を理解してもいませんでした。完成後も,作品のイメージと意味そのものはまだ完結していなく、作用し続けています。この絵画については,そのメッセージや意味についていろんな解釈をされてきました。「対立」,「友情」,「情報・思考の交換」など......。でも、私は作品がこうした解釈に開かれているという事実が好きなんですよね。

josh_016.jpgWeaving


josh_002.jpgThe Changing of the Guard

「The Changing of the Guard 」は,ある物語や,暗示的なメッセージ,つまり個人的な意図を持つ作品の例と言えます。私は民間軍事と傭兵における世界的な事象と発展,そしてその利用に関する文献を読み進めてきました。その中で,どんな政府や企業,個人でも財力を持ってさえいれば,傭兵を雇って通常の軍規なしに戦争を起こせるという事実に,非常にショックを受けました。志願兵制への反動は凄まじいものだったということです。こうした民間契約業者への外部委託のコストは医療保障と合衆国の帰還兵や負傷兵への補償に,多大な財政負担を生み出しました。PTSD(心的外傷後ストレス障害)に苦しむ兵士の多くが医療保障費を削減されたり,受けられなかったりしています。これは複雑な問題で,作品ではこの問題を言語とイメージにすることを試みています。

この悲劇的で危機的な状況に対する私の感情を,南北戦争のモニュメントを引き合いに出すことで表現しようとしました。モニュメントには落書きがなされていますが,私の作品での落書きは若者と公民権を奪われた人々の声を表現への反映になっています。ショッピングカートの張り紙には"Homeless Vet" (ホームレスな老兵)と書かれ,買い物カゴにはアメリカの大型量販店は"Target"のロゴがあり,直訳すれば兵士が標的になったとも言えます。 "Homeless Vet" は未だ星条旗を抱えており,兵士が命を捧げた国の象徴となっているわけです。そして21世紀の,新たな兵士が掲げる旗は,会社のロゴになります。それはもはや他国に戦争を仕掛けてまで守るべき国家ではなく,裕福な企業でしかありません。


josh_014.jpgTreadmill


josh_portrait_01.jpg
Q: 作品の制作の過程を説明してくださいますか?

Josh: 自分のスケッチブックにたくさんのメモや絵を見て,読んで,書いていきます。いろいろな物事に興味があるので,ペインティングのアイディアはニュースの見出し,街中の散歩,言葉からも見つかることがあります。一度アイディアを決めると,情報とイメージを収集します。拾ったイメージも使うし,参照するために自分で写真を撮ったりもしますね。時々対象に特定のアングルやライティングが必要な場合がありますが,その時は実物をモデルにしながら絵を描きます。次はしばらく構図,配置を考え,すべてがきちんと収まるまでスケッチを続けます。その後,大きな範囲に色を塗っていき,最終的に細部,仕上げにかかります。



Q: 普段の生活はどういう過ごし方をしていますか?

Josh: たいていは絵画や新しい作品のアイディアを調べることに費やしています。週に一度は休みをとって展覧会に行ったり,公園を散歩します。今年はすごく忙しいけれど,来年は旅行やハイキングに時間を割けるといいですね。


josh_001.jpgAt The Edge


Q: Joshが参加した展覧会で印象に残っているものを教えてください。

Josh: "Drift" は,私が2003年にカリフォルニア州バークレーの Nexus Gallery で開いた展覧会です。Nexus Gallery は巨大で美しい貸しギャラリースペースで,レンタルもしていたので自分で借りて展示することも出来ました。その頃他にもたくさんのギャラリーに交渉していたけれど,どこも私のやっていることに興味を持ってもらえませんでした。それでもそのイベントのためにお金を貯めてギャラリースペースを借り,ポストカードを印刷して,すべてのマーケティング業務をこなしたのは今となってはいい思い出です。二つほど作品が売れて,たいした利益にはならなかったけれど,イベントとオープニングの企画の経験はかけがえのないものでした。残念ながらもう Nexus Gallery は存在しませんが私にとってあのイベントの企画は,アーティストとしてのキャリアにとてもよい経験となりました。もしあなたが若い,または新進のアーティストで,まだギャラリーに関心を持ってもらえていない時は,借りられるスペースを見つけて一週間だけ自分のギャラリーに変えてしまうというのが良いと思います。


Q: 今一番関心のあることはなんですか?

Josh: 今取りかかっている作品のアイディア以外では,次の大統領選挙がものすごく気にかかっていて,興奮しているし,注目しています。


Q: これからのプロジェクトは? 近い将来の予定はありますか?

Josh: 今年は二つ大きな展覧会を予定しています。ひとつはニューヨークの新しい Joshua Liner Galleryで,もうひとつは,ワシントン州シアトルの OKOK Galleryで開かれます。今は彫刻に関してブレーンストーミングの真っ最中です。お楽しみに!


Q: このインタビューは日本語に翻訳されます。日本の読者にメッセージはありますか? また,日本に来たことはありますか?

Josh: たくさんの友人が日本に行って,人々や,街並や,神社仏閣,風景,そして食べ物に心酔しているよ。ぜひ近いうちに訪れて日本で展覧会を開催できればいいね!


Thank you Josh!


josh_009.jpgSprout


josh_015.jpgWatcher #3


josh_017.jpgTighten


Working Space


josh_012.jpg

josh_011.jpg


josh_010.jpg


Detail

Josh Keyes
http://www.joshkeyes.net/

CBCNET:WORK

PNRM WEBSHOP
CBCNET WORK



PAGETOP