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“Cash rules everything around me C.R.E.A.M. get the money, ダラダラ ビルヨ〜”

ご存知、アメリカはニューヨーク州 スタテンアイランドのヒップホップグループ、ウータン・クラン

今年の夏に20周年を記念したアルバム「A Better Tomorrow」のリリースが控えているが、今回発表されたのはそれとは別の新アルバム「The Wu – Once Upon A Time In Shaolin」。ダブルアルバムで31曲が収録されているというこのアルバムだが、そのユニークなリリース方法が話題となっている。それはこのアルバムはたった1部しか販売されない点。

British-MoroccanのアーティストYahya氏によって作られた銀箱に収められたこのアルバムは、ひとつのアート作品として販売される。Forbesの記事によると、まずこのアルバムは美術館やギャラリー、フェスティバルにて一般の人が厳重なセキュリティーのなか聞くことができるツアーに出るという。そしてその後、数億円以上になるであろう値段で1部のみ販売される。現代美術のマーケットにも反響があるだろう。
そして、購入した者は無料配布するのか、一人で楽しむのかは自由だという。

昨年、サムソンが50億円で支払い、リリース前に100万枚を売ったJay ZによるMagna Carta Holy Grail の記憶も新しいが、こうした新しい音楽ビジネスとしての流通・販売方法が注目されており、これもひとつの事例となるだろう。Spotifyもrdioも使えない日本ではあるが、音楽の購入や接し方は大きく変わった。「アルバム」という概念もどんどん希薄になり、作り手・買い手ともどういった仕組みが今後スタンダートとなっていくのだろうか。

はたして、どこかの億万長者、もしくは大企業が買うのか、それともツアー中にあっさりリークされ、すぐにネット上にアップされてしまうのか。(事実、Jay Zのアルバムもサムソンユーザー優先の無料配布だったが、すぐにリークした)
上記の記事でもプロジェクト自体が失敗してしまう可能性も十分にある、とプロデューサーの “Cilvaringz” も認めている。既に賛否があるようで、音楽ビジネスの未来についての議論も活性化してるよう。

またこのプロジェクトは一枚だけで終わらないようで、今後も1部だけのエクスクルーシブなアルバムを販売する「The Carmen Clandestine Experience」というサービスとして続くという。


より詳しい情報はRZAやプロデューサーの”Cilvaringz” のインタビューも含まれているForbesの記事をどうぞ。

Jay ZのMagna Carta Holy Grailの件は以下にまとめられている。

※追記 2014/03/29
早速、youtubeで良識な反論。「音楽はアートだと信じてる。でもなんでギャラリーで一回聞くのに最大50ドルも払わなきゃいけないんだ、yeezusはプロモーション無しでリリースされた、Jay ZのPicaso Babyも音楽的なアートだった。そして、共通点は富裕層からそうでない人にも、誰にでもアクセサブルだったことだよ」



こういう戦略は作家性やマスへの印象で左右されやすいですよね。ウータン・クランのポジション的にこれの手法はアリ?カニエ・ウェストだったらもっとネタっぽくなってる?どうなんでしょうか。


※追記:2014/04/18

さて賛否両論のウータンのエクスクルーシブな新アルバム、RZAによると既に500万ドルほどの購入オファーがあるとのこと。

そして、それを受けて、ファンたちが購入できる金額を集めて一般に配布する目的でKickstarterプロジェクトが立ち上げたとのこと。このプロジェクトの主催たちは一切の利益をもらわず、集まった金額はすべて作品を競り落とすために使われると言っている。支払いは1ドルから任意の金額。500万ドルはなかなか高いハードルで、現時点で1500ドルほととあまり集まってないようですが、どうなるのか。。

via The Verge




「俺の周りは金がすべてを支配している」C.R.E.A.M.


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