こんにちは。CBCNETスタッフのtadahiです。
この度、2013年末から年明けにかけて2週間ちょい、インドネシアのジョグジャカルタ(通称:ジョグジャ)に行ってきました。
ジョグジャはジャワ島の古郷として知られていて、王宮があったり、周辺にはボロブドゥール寺院やプランバナン遺跡といった世界遺産があったりする都市です。首都ジャカルタが東京だとしたら、ジョグジャは京都といった感じです。(調べてみたら、京都とジョグジャは姉妹自治体関係にあるみたいです。)ジャカルタから飛行機で1時間程で行けます。

位置的にはこの辺です。

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今回の旅は、長期滞在だった事もあり、事前にあまり計画せず、とりあえずジョグジャに行って、気ままにアートシーンを探索したり、作品のネタ探しができればいいなくらいの感じで出発しました。実際には、急遽パフォーマンスをする事になったり、日々出会う現地のアーティストと交流したりと、とても充実した旅となりました。ということで、2回にわたり、旅の模様をかいつまんでレポートしていきます。
今回は、滞在先とお世話になったスペース&メディア系施設2つをご紹介します。

そもそも、何でインドネシアに行くことになったのかというと、友人でアーティストの地主麻衣子さんが約1ヶ月半、映像作品の上映会などする為に滞在することになり、そこに便乗する感じで行ってきたわけです。

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photo from Ruang MES 56 facebook
左の方が地主さんです。右は私です。写真はRuang MES 56というスペースで、地主さんとやっている朗読バンドのdodgeのパフォーマンスをやった時のものです。

KUNCI Cultural Studies Center


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ここが滞在させてもらっていた、KUNCI Cultural Studies Center
KUNCIは1999年に設立されたインディペンデントな組織で、リサーチャー、キュレーター、アーティストが集まって運営しています。文化芸術的なリサーチ活動や、展覧会の企画、本の出版等も行ってるようです。以前クリエイティブコモンズの本を翻訳して出版したという話を聞きました。

レジデンスできる部屋も2部屋あって、そこに宿泊させてもらいました。
KUNCIは、王宮などがある中心部から徒歩で10分程度のところにあって、近所にスーパーマーケットや安くて美味しい食堂の他、観光客が利用するようなホテルや飲食店、旅行会社が集まる通りもあって、快適に過ごすことができました。

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KUNCIのライブラリ。引っ越したばかりで、まだ整理途中の状態でした。

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内部は広々としています。奥は半野外みたいになっていて、ダイニングとキッチンがあります。さらに奥にはバスルームとトイレがあります。

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左から、KUNCIに住んでいるアーティストのWok The Rock(通称:ウォーウォー)さんと、KUNCIのメンバーでアートプロジェクトの企画やリサーチ活動を行うSyafiatudina(通称:ディナ)さん。滞在中、バイクに乗せてくれて、いろいろなところに連れて行ってくれたりと、大変お世話になりました。

ウォーウォーさんは2013年に黄金町のレジデンスで日本にきていて、その時に初めて出会いました。見た目はいかついけれど、親戚のお兄ちゃんみたいに優しい方です。
彼はアートと音楽を横断するような活動を行っていて、YES NO WAVE MUSICというネットレーベルを主催したりもしています。

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KUNCIは日々、様々な人が訪ねてくる場所で、上の写真はシンガポール大学のメディア専攻の学生が20人くらい来た時の模様。
右から3番目の緑ズボンの方が、KUNCIの創設メンバーの一人、Antariksa(アンタリクサ)さん。インドネシアの文化芸術研究の他、日本植民地支配下の1940年代インドネシアのアートを研究したりもしていて、日本にも何度か訪れています。昨年、黄金町でのトークに参加していました。

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アーティストやキュレーター、リサーチャーなど様々な人々がふらっとKUNCIに訪れて、こんな風に夜な夜な集まって話をするみたいな事もしばしばありました。滞在していた身としては、いろいろな人と出会えて本当に素晴らしい環境でした。

KUNCIには2012年にもジョグジャのアートシーンを調査するという目的でアーティストの井出賢嗣さんが2ヶ月間派遣されていて、その記録が「Indonesia Contemporary Art Diary」というブログに残っています。興味のある方はぜひ。

Ruang MES 56


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Ruang MES 56というアーティスト・ラン・スペース。
主に写真や映像表現を行っているアーティストが集まって運営していて、展覧会やワークショップ、イベントを開催したり、アーティスト・イン・レジデンス・プログラムも行っているようです。
ここで地主さんの作品上映会と、朗読バンドdodge(地主さんが朗読担当で私がサウンド担当)のパフォーマンスも行いました。

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1階はギャラリースペース。

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2階は通常オフィススペース&MES 56のメンバー2人が住んでいる部屋もあります。

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MES 56メンバーのお三方。
左から前述のウォーウォーさん、MES 56のディレクター&創設メンバーの一人で、アーティストのWimo Ambala Bayang(通称:ウィーモ)さん、MES 56に住んでいて写真作品等を作っているアーティストのAndri William(通称:アブ)さん。
MES 56がスペース運営を始めたのは2002年からですが、それ以前にもアーティストグループとして活動していたそうです。
メンバーの入れ替わりなど経て、MES 56 facebook情報によると、現在10名程度のメンバーがいるようです。

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地主さん作品上映会の様子。photo from MES 56 facebook
クリスマスくらいに告知を初めて、年明け1月3、4日にイベントを行ったのですが、短い告知期間にも関わらず、会場がいっぱいになるくらいの人々がやってきたのでびっくりしました。ネットワーク力すごい。
上映会とパフォーマンスの写真はMES 56 facebookにアップされています。

HONFablab


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HONFablab
メディア系の施設が2つあるから行って来なよと言われて、着いてからはじめてFablabやん!と気付いたのですが、ジョグジャにもあったんですね。

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中はこんな感じ。レーザーカッター、3Dモデラー、電子ミシンなど、機材も一通りあるようです。機材一覧

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HONFablabは滞在中に開催されていたジョグジャカルタ・ビエンナーレの会場のひとつになっていました。この作品はMobiusというドバイをベースに活動するデザインスタジオとHONFとのコラボレーション作品。コンセプトの詳細までは把握できなかったのですが、パネルにレーザーカッターで刻まれたっぽい地図のようなものが確認できました。

HONFablabにはさっくりとしか訪問できなかったのですが、後で調べてみたところ、どうやらジョグジャにあるニューメディアアートのラボラトリー「The House of Natural Fiber (HONF)」が運営しているようです。

さらに調べてみると、HONFは2011年のトランスメディアーレに「Intelligent Bacteria」というバイオアート系の作品を出品していました。



LIFEPATCH


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LIFEPATCH
ジョグジャにあるメディア系の施設2つ目です。アート&サイエンス、テクノロジーのラボ。
バイオアート方面に力を入れているようで、微生物の研究や、ラボ内でワインを作ったりもしていました。
また、日本からのアーティストも何人か参加していた、東南アジア4カ国で実施された展覧会 「Media/Art Kitchen」にも参加していたようです。LIFEPATCHの作品写真はこちら

突然訪ねていったにも関わらず、快く中に通してくれて、いろいろ説明してくれたのが上の写真左の男性、Nur Akbar Arofatullah(通称:アクバル)さん。彼は、バイオ系の研究者で、2009年には茨城大学でも研究をしていたそうです。
2年前にトランスメディアーレに参加したと言っていたんですが、先に紹介したHONFのプロジェクトに関わっていたっぽいです。

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ラボ内部。

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フラスコなど、理科室的なアイテムが並んでいました。

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webカメラで作る、DIY顕微鏡の実演も見せてくれました。作り方はオープンソースにしているらしいです。
水の中の微生物が動いているのが確認できました。

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古い機械のコレクションもありました。写真左のつまみがたくさんついているものはDIYアナログシンセサイザーらしいです。

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別の日に、LIFEPATCHでヨーグルトを作るワークショップをやるからきなよ、と言われて、参加してみました。会場は、お母さんと子どもたちで大にぎわい。説明はインドネシア語でしたが、隣にいたご婦人が時々英語に訳してくれて、とても助かりました。
マスクとか消毒とかちゃんとしていたけれど、結構カジュアルな感じでヨーグルトって作れるんだなぁと思いました。

「WE HAVE ALWAYS BEEN BIO-HACKERS」というポスターの前で、お母さんたちがヨーグルトを作っている光景、なんだかすごいよかったです。

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photo from lifepatch website
最後に集合写真にちゃっかりまぜてもらいました。
LIFEPATCHでは、こういうワークショップも時々行っているようです。

という事で、インドネシア・ジョグジャカルタ滞在記 その1はここまでです。その2につづく…