昨日、「君と僕とインターネット」ネットラジオに参加いただいた大日本タイポ組合の塚田さんから彼らの新しいプロジェクトの話を聞かせてもらったので、ここでもご紹介。

TDC賞2013にも入賞しているこの研究プロジェクトですが、縦書きからスタートした和文書字が、現在ではコンピューター画面上の表記や英文との組み合わせのために横書きで使用されることが多くなっており、もし横書きが前提としてあった場合、形状は違うものになっていたのではないだろうか?というところから出発している開発・研究だ。


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国際的なタイプデザイン・カンファレンス「ATypI Hong Kong 2012 」のときのプレゼンテーション資料が公開されており、上は英語音声・日本語字幕の20分ほどの動画。

PDF版の資料もあり、じっくり読みたい人はこちらのほうが良いかも。
http://shinsekai.type.org/horizontal_kana/ShinsekaiTSD2012_horizontalKana.pdf

「横書きかな」では、縦書き漢字の簡略化から生まれ、縦のストロークがが意識されている「かな文字」に焦点をあて、もし「かな文字」が横書き文字として変異していったらどのような形になっていくのだろうか、という趣旨で研究・開発している。本資料は、かなの成り立ちから横書きかなのスタディ事例、開発の途中経過がまとめられている内容になっています。
プロトタイプで作られた書体を見ると一瞬「ん??」となりますが、確かにその成り立ちから考えるとこうなっていく可能性もあるんだなと。見慣れないのもあり不思議なストロークの流れを感じますね。今後の展開も楽しみです。
TDCのトークもあるとなのでこちらもぜひ。

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様々なスタディから生まれたプロトタイプ書体「HorizantalSOUGANA」

Inforamation


「横書きかな」の開発
http://shinsekai.type.org/?p=34

参加メンバー(50音順):
岡澤慶秀(ヨコカク
塚田哲也(大日本タイポ組合
秀親(大日本タイポ組合


新世界タイポ研究会 マニフェスト
http://shinsekai.type.org/

これまで「大日本タイポ組合」は、文字を使った独自のデザインとして複数の意味や形を結び付けた「一見ありそうもない文字(のようなもの)」を数多く作成してきました。それは既存文字のパロディにも見え、また文字本来の意味を問うようなことでもありました。が、それらは考え方としては面白いものの、グラフィック一発芸、あるいはタイポグラフィと言うには汎用性の低い(あるいは無い)ものであったのも事実です。

今回、「新世界タイポ研究会」と称し、これまでのグラフィカルなアイデアをより本格的なタイポグラフィの世界と関連付けることにしました。現在のタイポグラフィ環境のマエストロ達と組み、より専門的な見地から「一見ありそうもない文字(のようなもの)」を発掘・検証・開発をし、また数々のワークショップを通じて「いまを生きている文字」を体感することで、本来メインストリームにあるタイポグラフィの輪郭がより明確になってくるかもしれません。