グラフィティーライター “Katsu”。
NYCを拠点に活動しており、Evan Rothとのプロジェクト( Graffiti Analysis) などにも参加していた。
今回は彼のビデオをいくつか紹介したい。なかなかヴァンダリズム的な要素が強いので、嫌悪感を感じるひともいるかも知れない。

上のビデオはOFF THE WALL.TVというサイトでの「CRACK&SHINE」というシリーズの最新エピソード。ほかにもパリ、アムステルダム、ロンドンのシーンなどを巡っているビデオもある。(http://offthewall.tv/show/crack_shine_trailer

このビデオを見るとKatsuのグラフィティーライターとしての意識を垣間見ることができる。グラフィティーはアートではないと主張し、あくまでタギングにこだわり、デコラティブなグラフィティーを否定している。そして「グラフィティーライタはーグラフィティーを愛すべきである、一般にいる人達は嫌うべきだ。」と締めくくられてる。
また、最小のエフォートで最大のインパクトを出す、とも述べているが、これは以前ICCで話した「インターネット・リアリティ」の話にも多少繋がる。

グラフィティーはアートやファッションとの接続によって、大衆からもそのカルチャーは認知されているが、ヴァンダリズムとしてのGraffitiの存在はいまだに強烈なインパクトがあるのも事実である。

そんなKatsuだが、こんなオシャレなビデオも出している。
「THE POWERS OF KATSU」、文字通りあの有名なチャールズ&レイ イームズによる「Powers of Ten」をKatsuのスケールで表現されているビデオ作品だ。



また昨年、ロサンゼルス現代美術館 MoCAで開催された大規模なグラフィティー展「Art in The Streets」の入り口に、参加作家ではない彼が消火器を使い大きなタグを描いた、このビデオは大きな反響を呼んだ。



Youtubeでグラフィティーライターたちのビデオが話題になるのも珍しくなく、むしろそういう発信方法を意識して積極的に活用しているのがこの数年の傾向だろう。

たとえばフランスのKIDULTはさらに強烈だ。
AGNES BやKENZOなどの有名なブティックやショップのウィンドウに消化器を使い瞬時に巨大なタギングをしてしまう。そしてその様子のビデオをもうひとつの「作品」として巧妙に編集し公開している。
そうした動画や画像がTumblrで出まわったり、すごいスピードで世界中へ拡散されていく。
以下のビデオはKENZOによる新しいフレグランス「FLOWER TAG」を受けてのKIDULT。



この二人のライターの活動は気になっていたのだが、
友人で、いまNYに滞在中のエンリコくんがさらにこの二人について詳しく書いている。
・Fire Extinguisherの美学—-KIDULTとKATSU
・ヴァンダリストたちの新しい息吹
とても面白い内容なので興味あるひとはぜひ読んでほしい。

http://10plus1.jp/monthly/2012/01/enq-2012.php#1664