[北京アートレポート1] ニューメディアアートの国際展『translife』
CBCNETスタッフのtadahiです。
この度、北京の中国美術館で、ニューメディアアートの国際展「translife」が行われるという情報を得まして、オープニングの日に行ってきました。ということで、「translife」を中心に、2回にわたって北京アートレポートをお届けします。
王府井(ワンフーチン)
北京の中心部にある繁華街。大きなデパートやお店が建ち並び、かなりにぎやか。日本で言うと銀座のような感じ。
中国っぽいお土産が買える通り。
「translife」が開催されている美術館の外観。
城みたいな立派な建物で、この中でメディアアートの国際展をやっているのか!?と思うと、そのギャップにワクワクしてしまう。
位置的には故宮や王府井からそう遠くない位置にあり、北京の中心にある美術館という感じ。
エントランス。
中国語で「ニューメディア」=「新媒体」
そのままなんですね。
オープニング
オープニングの日はアーティストや報道陣、関係者などたくさんの人々で賑わっていた。
展示は4つのテーマで構成されていて、ボリュームとしては、全体で50作品程度あり、かなり大規模な展覧会となっている。
テーマごとに、ざっと作品を紹介していきたい。
最初は、「Sensorium of the Extraordinary」ということで、知覚の拡張を試みるような作品ゾーン。
三上晴子+市川創太「Gravicells: Gravity and Resistance」
おそらく、唯一日本から参加しているのアーティスト。ICCやYCAMで展示されていたので、ご存知の方も多いだろう。
インタラクティブなインスタレーション作品で、パネル上を歩くと、体験者の体重や傾き,動きの速度に反応して床に投影されたラインが変化する。
普段は意識しない重力の存在を再認識させるような構造になっている。
現場の裏話
聞いたところによると、「Gravicells」は到着が3日遅れ、間に合うのか!?という状況になったらしいが、現地スタッフの設営技術が高かったおかげで、なんとか間に合ったらしい。確かに、作品・設営の完成度は全体的に高かった。中国のメディア系設営スタッフ侮れませんな。
Lawrence MALSTAF「Nemo Observatorium」
2009年度のメディア芸術祭アート部門・優秀賞を受賞していた作品。筒の周りを白い微粒子がビュンビュン舞う。瞑想のためのマシン。
WANG, Yuyang「Artificial Moon」
中国人アーティストの作品。
これは、見た目がすごいし、熱も結構放っていて、かなりインパクトのある作品。まぶしい。
Marnix de Nijs「15 Minutes of Biometric Fame」
アームにカメラがついていて、自動的に動く。観客の顔をスキャンして解析しているっぽい。
ゴツくてかっこいい
WU Juehui「Brain Station」
Brain-computer Interfaceを使って、脳波を解析しているっぽい。ヘッドフォンをつけて体験する。
作品ページにイメージ図が載っているが、良い意味で怪しい感じで気になる。
WU Juehui「USB Organs」
前の作品「Brain Station」と同じ中国のアーティストの作品。
中国語のタイトルは「USB 器官」。
USBカメラやマイク、スピーカーで体の諸器官機能を置き換える、といったような作品。
コンピュータむき出しで背負っている状況など、体験している姿がいい感じ。
Edwin van der Heide「Evolving Spark Network」
真っ暗だったので、映像が微妙ですが、雰囲気だけでも伝わればと。
広い真っ暗の空間があって、天井に並んだデバイスが強い光と音をバチバチ発する。
音が結構大きくて、ものすごく響く空間だったので、連続してバチバチする瞬間は一瞬耳鳴りがするくらいの感じで、今までにない音響体験だった。
続いて、「Sublime of the Liminal」ゾーン。
人口生命に言及している作品や、バイオアートなど。
Julius Popp「Bit.Flow」
銀色のボックスから伸びた細い管の中を、オレンジ色の何かがスルスル通る。
完成度高すぎて、良い意味で若干気持ち悪い。ゾワゾワしてくる。
コンセプトシートを読んでみると、古来の神話が関係しているらしい。
Mari Velonaki「Fish-Bird: Circle C – Movement B」
2つの車椅子が動く、インタラクティブなインスタレーション。
車いすにはレシートのような紙が出てくる装置が取り付けられていて、床に吐き出された紙が散乱している。
見た目、結構シュール。
「The Fish-Bird Series」というシリーズの一つ。
Ruairi Glynn「Performative Ecologies」
アームの先にLEDのついた棒がついていて、それが回ったりする。
目のようなもの(WebCam?)に映るものによって動きが変化しているっぽい。
Guto Nóbrega「Breathing」
植物に設置されたデバイスに息を息を吹きかけると、下の方の光ファイバーのついた骨の部分(傘の骨を改造して作ったと思われる)が広がる。
「Breathing」のキャプション
絵がいい感じ。
わかりやすいですね。
パート2につづく。