Home > Article > Interview

Kohei Yamao a.k.a BAKIBAKI Interview

August 17, 2007 2:11 PM
:

山尾光平。 Doppel名義での日本各地でのライブペイントや、ナイキや楽天などへのアートワークの提供など、様々な分野を横断して活動するアーティスト/ペインターである。そんな彼の初となる個展「Stand by Me」が今年5月に開催された。ストリートアートという広義なジャンルの中を幅広い作風で横断的に活動する彼の過去から今に至るまでの回顧展となった。

そして今回、個展を終えた今の心境や、展示に至った背景を聞くべく、今回はHuovaでも共演しているペインターのQuestaにインタビューをお願いした。一見、変態的にも見える一連のアイドルをモチーフにしたアートワークや"BAKIBAKI"ラインがアウトプットされた背景を聞くことが出来た。


第1部、スタイルやその背景について。

bakibaki_02.jpg


CBCNET:
まずは簡単に自己紹介をお願いします。

BAKIBAKI:
山尾光平です。"BAKIBAKI"という名前でアーティスト/ペインターしてます。

CBCNET:
そもそも絵を描き始めたのはいつごろからですか?

BAKIBAKI:
普通に幼稚園くらいからすかね。
いわゆるクラスに一人はいた「漫画がうまい少年」。の生き残りですね。

CBCNET:
その頃はどんな絵を?

BAKIBAKI:
小学校の時に一番始めに描いた精密デッサンが、ゾイドのゴジュラスだったのを覚えてます(笑)

CBCNET:
ゾイドの精密って(笑)。小学生は普通描こうと思わないですよね・・

BAKIBAKI:
今もそのときの集中力に近づく意識はしてますね。

CBCNET:
あはは。確かに子供の頃に何かする時って夢中ですよね。(笑)
山尾君の作品からは、そういった子供の頃からの肉体的な記憶を感じるんですけど、そのへんって意識してますか?

BAKIBAKI:
そうですね。
最近、意識的に記憶を辿るみたいな事を制作の芯にしてます。
思い出しながら描くとか、手が覚えてるラインとか。

CBCNET:
体で覚えてた蓄積ってことですね。その頃に影響受けた漫画家っていますか?

BAKIBAKI:
そらもう...鳥山明とか井上雄彦とか。あの頃(幼少時代)のジャンプは義務教育のときに学校の机にずっと落書きしていたので大体通ってますね。月曜にジャンプを見たら、火曜の朝にはその号の悟空をソラで描いてた。めちゃくちゃ集中して見てたんすね。ある意味ジャンプが義務教育みたいな。(笑) 大人になるにつれていろんな絵の知識がついたけど、結局あの裏・義務教育の特訓にはかなわへん気がします。

CBCNET:
そのまま独学で今に至る感じですか?それとも美術系の大学とかへ・・?

BAKIBAKI:
京都市立芸術大学ってところです。うちの大学はちょっと変わってて、入学してから専攻を変えれるので、彫刻>構想設計>版画と転々としました。どれか一つに絞る気は無かったつーか、とにかく在学中は学校の設備を使ってできることはなんでもやってみようと。あと、今に繋がる友達や人間関係の構築って感じっすかね。

CBCNET:
おもしろいですね、その経験は生かされていますか?

BAKIBAKI:
そうですね、学生の時に、いろんな素材や表現方法をかじっていたおかげで、いまは表現したいことが明確にあるので、そのアウトプットの幅が広がりましたね。

CBCNET:
ちょうどその頃DOPPELが結成したんですよね。

BAKIBAKI:
そうっすね。DOPPELは大学4回生の時だから2001年ですね。

CBCNET:
DOPPELについて教えてもらってもいいですか?

BAKIBAKI:
僕と、相方のモンモンとで結成したライブペイントデュオで、「個人でもない、社会でもない、二人という単位での表現の追求」をコンセプトに活動してきました。まあ、絵描き版の漫才コンビみたいなもんです(笑)


CBCNET:
なるほど。まず、"BAKIBAKI"のラインはいつ頃から生まれたんですか?


BAKIBAKI:
2002年くらいですね。初めて「自分の絵にビックリした」瞬間というか、自分の描く線を自分でコントロールできたって思いましたね。当時若かったし色んなものに影響も受けまくっていたし、「何か」っぽいものって「何か」と比べられる安心感があったけど、"BAKIBAKI"は「何か」っぽくなくてすごい不安やった。それを否定されたら自分が否定されるようなもんなんで。でも、まぁこれはずっと向き合っていくモチーフやなっていうのが感覚的にあって、それからずっと描いてます。

bakibaki_2002.jpg- BAKIBAKI(2002)


CBCNET:
オリジナルだからこそのリスクがあるんですね。なにかアイデアになる素材とかはあったんですか?

BAKIBAKI:
モトネタはブレンパワードってアニメの装甲やったり、AKIRAのディティールやったり・・。なんしかそうゆうメカっぽい感じですね。

CBCNET:
なんだか話を聞いていると、女の子が好きな男の子って感じがします。

BAKIBAKI:
うーん・・僕の中では、男の子が好きな男の子感かな。はじめは自分が女の子に対して表現してる気は一切なかったですね。

CBCNET:
確かに。ゾイドのデッサンとかまさにそうですよね。好きで描いちゃった感じというか。

BAKIBAKI:
そうっすね。男子的なカッコイイが好きな年頃でもありました。

CBCNET:
アイドルをモチーフにした時はどうでしたか?

BAKIBAKI:
アイドルを初めて描いた時は「神の怒り」に触れたような気がしましたね(笑)。

CBCNET:
どうしてアイドルをモチーフとして描くようになったんですか?単純にアイドルが好きだったから?

BAKIBAKI:
僕はコンビニ行くと、とりあえずグラビアって感じで物色してしまうんすね。このグラビア見まくってる集中力をなんとかクリエイティブに還元できへんかな〜って思った時があって、そのとき自分が絵描きで、人物を描いてることと、ババっと繋がったんですね(笑) で、実際アイドルをモチーフに描いてみたら「あ、これは・・・ちょっとやったらあかんことやってるかも・・・」ってなった。今まで「絵を描く」って行為がすごい「聖」な行為やったのに、「俗」と結びついてしまった感じかな。

CBCNET:
じゃあ、アイドル描いている時はどんな心境なんですか?今も背徳感とかあったりします?

BAKIBAKI:
いまは完全に無ですね。無心(笑)。

CBCNET:
神との対話みたいな感じですか?(笑)


bakibaki_01_idol.jpg-trois 2005

BAKIBAKI:
そうそうそう。僕はDOPPELで、男とか動物とか色々描くけど、女の子やアイドルって、絵の要素としてのディティールの詰まり方とかハンパないっ。例えば、ほっぺたとか肌の部分はすごいツルツルで「疎」の部分なんやけど、目とかはめっちゃ詰まってて、「密」の部分。顔の中の具のバランスとか絵的にも美しい比率が一杯入ってる、絵を描く上での"萌えポイント"が多いんすね(笑)。

CBCNET:
確かに人体の造形的なバランスってすごいですもんね。

BAKIBAKI:
だから結構アイドル描いてて「エロ」と間違われがちなんやけど、「エロ」よりも先にあるんのが「美」って領域で、全部そうなんやけど"BAKIBAKI"ラインも直線、反復の「美」ってゆう、アイドル描いてるときも「美人画」って感覚で描いてます。グラビアアイドル達は週刊誌で一週間で消費されちゃうという刹那な存在やけど、彼女達を絵に還元した時に、普遍的な価値観を持たせられるかの挑戦ってゆうか・・・それがアートの可能性やと思ってます。

CBCNET:
おー!ある意味、消費に対するアンチテーゼってことですね?

BAKIBAKI:
そうそうそう。例えば、100年後に僕の絵を見た人がどのアイドルをモチーフにしたかとかわからへんと思う。もう個人名とかも吹っ飛んで、単なる美人画として残るようのものを描きたい。そのクオリティに耐えうるモチーフとして、一瞬やけどメチャ輝いてるアイドルを選んだって感じですね。

CBCNET:
そこまでとは・・・(笑)。同じ女の子でもアイドル画とは、ある種対局の存在のような"いもうと"も描いていますよね?というか名前がそもそもヤバい雰囲気を醸し出してますが。

BAKIBAKI:
ある人が呼んだ名前をもらったんですよ。他にもいろんなあだ名があったけど、 "いもうと"以上は無かったっすね。

CBCNET:
聞くこと自体がナンセンスかもしれませんが、キャラに込められた意味とかはありますか?

BAKIBAKI:
"いもうと"のことは自分でもまだ全部解ってないですが、現時点で判明してるのは全長35メートルの巨大ロボってことですかね(笑)


bakibaki_01_imoto.jpg- いもうと(Vintage)


CBCNET:
なるほど。では、"欲望鎌足(よくぼうのかまたり)"について聞きたいんですが。
パッと見がかなりカオスですよね。他の作品とかは明らかに何か違うバイブスを放ってますが?

BAKIBAKI:
ですね(笑)制作の回路が違うかも。欲望鎌足は純粋なストレス発散。生きる上で世の中にないがしろにされたり、憤ったりするやり場の無い感情を吐き出すみたいなところにあって、手癖が覚えてるキャラクターに自分の怒ったり、泣いたりとかの心境を感情表現してる感じ。結果的にネガティブな感情の方が絵的に詰まっていてクオリティが上がりますね。

CBCNET:
手癖が覚えてるキャラってゆうと?

bakibaki_01_yokubou.jpg- 欲望鎌足シリーズより


BAKIBAKI:
それはさっき話した、義務教育のときに反復して学校の机に落書きしてた漫画キャラ。それで今でも手癖に残ってるものを思い出しながら描いてる感じ。描きながら記憶を辿ってますね。

CBCNET:
そこにネガティブな感情が乗っかってくるってゆうのもすごいですね。

BAKIBAKI:
ネガティブな感情をマンガのタッチでポップに還元するとこがミソなんでしょうかね。今までもいろんなキャラは描いてたけど、この鎌足シリーズで、何か一つにまとまった合体ロボみたいな感触があった。細部から描いていくんですけど、終盤スッとひとつにまとまる瞬間があって、自分でも「オッ」ってなったんですね。

CBCNET:
このネーミングはどこからきたんですか?

BAKIBAKI:
欲望の塊(かたまり)が転じて。
最近、藤原鎌足も探ってる最中で、なかなか欲深き人物やったみたいで何よりです(笑)

CBCNET:
あくまで個人的ですけど、"いもうと"や"アイドル"は女性的で、"BAKIBAKI"、 "欲望鎌足"は男性的な感じがします。女性的なものはモチーフがしっかりしているのに対して、男性的なものは記憶やイメージが基礎になっているという印象ですね。

BAKIBAKI:
なるほど。僕的にはみんな両性的なんです。バランスの違いっつーか。"BAKIBAKI"は一見、男性的な直線の反復やけど、それらが塊になると女性的な曲線になる。"いもうと"もキャタピラ履いててガンタンクみたいな、巨神兵っぽい側面もありますしね。
"BAKIBAKI"、"アイドル"、"いもうと"、 "欲望鎌足"と、この4つの軸は、あくまで現時点での代表的なカテゴリーで、これから増えたり消えたり。一つになるかもしれないし。今後の展開は神のみぞ知るって感じですね。

CBCNET:
どの軸にしてもほとんどの起点が思春期以前のイメージですよね。

BAKIBAKI:
まあ、その時期に無意識に影響を受けたものは揺るぎないし間違いないっすね。逆にそれ以外、信じるべきものが無い。

CBCNET:
なるほど。じゃあようやく本題というか、「Stand by Me展」に進めてもいいですか?

BAKIBAKI:
はい、どうぞ。


第二部へ続く・・・(近日公開予定です。)

山尾光平 as BAKIBAKI プロフィール

1978年、大阪・千里ニュータウン生まれ、太陽の塔の傍らに育つ。美大時代より京都に移住し、2001年京都発ライブペイントデュオ"DOPPEL"を結成。2005年、名古屋万博のライブペイントにて、ソロ・デビューを果たす。その制作スタイルは、"バキバキ"と呼ばれるミニマルな直線を駆り、"いもうと"というキャラクターの創造、時代を映すアイドルをモチーフにした"美人画"シリーズなどが挙げられ、都内/地方を問わずライブペイントを中心に、壁画、イラストレーション等で活動中。2006年より東京在住。

yamaokohei.com

CBCNET:WORK

CBCNET WORK



PAGETOP