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Interview : qubibi

October 10, 2006 6:40 PM

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Weave Toshi Collection Vol.3「DAYDREAM」

インタビューを読む前にまず「Weave Toshi(ウィーブトシ)」のサイトを見ていただきたい。
「Weave Toshi」は「CA4LA」などのお店を展開している帽子屋さん。そのコレクションの特設サイトが毎シーズン話題を集めている。
その独特の世界観とインターフェイスが記憶に残り、毎シーズン楽しみにするようになっていた。

様々な表現手法が可能となったウェブメディアにおいて、ユーザーとの接点をどう演出するかという点が非常に大切ではあるが、このサイトを見るとなんともいえない感覚に陥る。不思議な世界に、不思議な流れで飲み込まれて行く。

今回はこのサイトの制作をおこなったqubibiの勅使河原さんにメールでインタビューをお願いした。彼が語る「自身の中にあるつかみどころの無い何か」というのは、僕がサイトで感じたあの感覚のような気がした。

CBCNETのトップも今回特別に制作していただいた作品となっています。

Interview by Yosuke Kurita

CBCNET: まず簡単なバックグラウンドと現在のお仕事をはじめたきっかけなどを教えてください。


qubibi: 10代の頃に4年程、東京の日本橋で反物を巻く仕事をしておりまして、そこでの経験がおそらく今僕自身が表面的に持つ多くの要素を作っているのだと思います。常に混沌とした空気がある場所で、少しだけ、少しだけ風変わりな大人達と日々話し、10代の僕にとっては十分過ぎる程の様々な文化を知り、稼いだお金で大量の音楽を得て、機材を集めて自宅録音に夢中になったり、そしてMacに触りはじめたのもこの頃、17才の時です。その後、徐々にその職場にいた素敵な大人達が消えていき、僕自身は違う職業を求め植物や顕微鏡写真等を扱うフォトライブラリーに暫く勤めた後、21才の時にホームページ製作のアルバイトとして働き始めたのをきっかけに今に至ります。

CBCNET: 主な活動内容や制作された作品などをいくつか教えてください。


qubibi: 現在はフリーランスのデザイナーとしてウェブを中心にした仕事をさせていただいております。以前はウェブ制作会社に勤めていました。今までに手掛けたものとしては、ウィーブトシサイト、先月公開したコレクション「DAYDREAM」やまたそれ以前のコレクションコンテンツ。六本木ヒルズアリーナのイベント紹介ページや、かなり昔に遡れば(2000年前後)ラフォーレ原宿のサイト制作などもしていました。ウィーブトシの作品は同サイト(※1)にて公開されています。六本木ヒルズアリーナの作品については、公式サイト自体は現在閉じており、一部を僕のサイト(※2)に紹介し
ています。

※1 http://www.weavetoshi.co.jp/
※2 http://www.qubibi.net/


CBCNET: WeaveToshiのサイトを見ていると、ウェブデザインをバックグラウンドにしている方ではないと勝手に感じました。実際はどうなんでしょうか?


qubibi: 他の職業になれるようなスキル等が根付いているわけではないです。ただ、基本的にはウェブデザインに特別拘っていたわけではありません。僕にどんな背景があって作品が出来上がっているか、といえば、音楽、ゲーム、映画、自然、生活、今も過去も......、当然のことですが全てです。

個人的にいくつかの非常に魅力に思える要素があって、たまたま職業にしていたウェブでの制作作業にそれらを使える環境(現状ではflash)があったわけです。具体的には、プログラムによって意図しながらも起こされるランダム性。永続性。ループ性。マウスなりを通しての動作への対応、変化。これらの素敵な要素を、温めた世界観に散りばめて、規模を問わずに作品として成り立たせ仕事にすることが出来る。これは僕にとって幸せなことです。


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Weave Toshi Collection Vol.2「POSSIBILITY」


CBCNET: 毎回そうなのですが、WeaveToshiのサイトでは世界感、インターフェース、そしてシーンごとの見せ方のバランスが素晴らしいのですが、今回の「DAY DREAM」はどういった 制作過程だったのでしょうか?
またサイト全体を通じて意識した点・気をつけた点は何ですか?


qubibi: これは何を作るにしても当てはまることなのですが、まず始めにあるのが自身の中にあるつかみどころの無い何か、感情的、感覚的な....、言葉にするには難しい何かがあります。それが作る上で自分にとっては大切なもので、作品の空気感、印象となるものです。

「DAYDREAM」も同じく、始めに、ちらちらとした気分の悪い夢、起きれなくて、なまぬるくて、繰り返されて、目が廻るような、じわっと汗をかいていて、そのようなものがありました。目に焼き付き、耳にこびりつき。「ちらちら」というのは、例えば夜ベッドに入り目を閉じた時、目の中に何色とも判別のつかないざわっとした動き回る残像が在るでしょう?これが何か、何色なのかと知ろうとする程わからなくなる。そんな感じです。

また、それとは別に、以前からマウスで出来る操作性の強いものを作りたい、というのがありました。触ればすぐに変化がありそれが強力なもの。
それから、音を使いたい、というのがありました。知り合ってもう14年になる音楽家がいて、その彼に素敵な、それこそ耳にこびりつく音楽を作って欲しかったのです。

それらの要素を結びつけ、試行錯誤をして、始めに出来上がった画としては、時計塔とその時計をくるくる廻すことしか出来ない男、というものでした。男が廻せば時が廻り仕掛けが動く。仕掛けはある程度各帽子のコンセプトを引き継ぎ、その仕掛けの中の人形がモデル達。質感としては簡素な小道具を使っての、幼少時の学芸会のようなものです。ところがある事情によって時計塔という設定が難しくなりました。それが表面化したのはモデル撮影が済んだ後で、さてさてどうしようかと悩み......こういった制作におけるアクシデントは大切なもので、何か新しい展開への前触れといつも考えるようにしています。その結果、時計を小さくすることにして、その時点で現状の「DAYDREAM」の画が出来上がりました。ここから先は、撮影とグラフィック制作、コーディングを繰り返した、ということで割愛させてください。ちゃんと説明すると夜が明けそうです。

全体を通して気をつけた点として挙げられるのは、どこまで親切にすべきか、ということ。僕は説明的になるのがあまり好きではありません。また、いじわるな性格です。今回のぐるぐる廻す操作感をどう伝えるか、どこまでヒントを出すか、その量の調節にはとても気を使いました。オープニングを意識して見ていた人は気付き易いと思います。僕にとっては十分な量のヒントです。元々、スキップして構わないオープニングはそもそも要らないと思っていて、だからこそ出来る限り意味を持たせたかった、というのもあります。もしも理解されず時間を進められなかった人がいたとして。だとしても、仕組みをわかろうとしてる間、マウスをいじっている隙に、目と耳に少なからずともこびりついてくれれば、それで良いんです。見る側に安易に全てを把握させようとすることで、美しさを損なうようなことは避けたいです。


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Roppongi Hills Arena「TRAMPO BROTHERS」


CBCNET: WeaveToshiのサイトではちょっと違う「見せ方」、「ユーザーとの接し方」が魅力でした。また以前制作されたサイトでもユーモアを少し混ぜたり、気づかないような微妙な動きが入っていたり、不思議な世界観があるように思います。 サイトを作る上でどういったことを狙ってたり、どういったものを作りたいと考えていますか?


qubibi: 当然ですがクライアントからの依頼によって仕事が生まれます。クライアントは僕を信頼してくれて作品作りを任せているわけであって、僕は作品を通して、価値を高めること、魅力を増幅させることに責任があります。それがまずある上で、どういったものを作ればそれらが適うか、またその為に持ちうる力を発揮させたいと思っています。僕なりには、受け手にとって何かしらの感情を残し、そして、自身が正直であれる物作りをすべきと思っていて、繰り返しになりますが、まず自身の中にある何か、受け手にとっては印象となるべきものが大切、僕が作る上では中核にあります。例えば「DAYDREAM」は今回あのようなものになりましたが、別設定であっても、同じ印象を与えることは出来たのかもしれません。中核さえぶれなければそれで良くて、しかしそこを大切にしないと、最終的に出来上がったものを通して、受け手の感情に残るものは無いと思っています。この中核部分をより明確に人に伝わるようにする為に、物語他、各設定を構想していくことに多くの時間を使います。このメディアを通して表現出来る、そして僕にとっても魅力的であるいくつかの要素があることは先に述べましたよね。また、より完成度を高めるためにはバランスへの配慮が必要です。僕にとっては非常に難しく感じる部分なのですが、どこを中心点にするのか、それが高いなら高いなりに、低いなら低いなりに、バランスが整っていないとならないです。


CBCNET: 最近面白いと思ったサイト、好きなデザイナーなど理由も合わせて教えてください。
また現在どういったものに興味がありますか?


qubibi: 普段生活の中での便利なものとして、知識を得る為のものとして、インターネットは使いますが、それ以外の使い方はあまりしません。ですから、flash等を多様していて最近面白いと思ったサイト、ということでしたらちゃんと見渡せばあるでしょうけれど、なにせあまり知らないものでして、今ここでは挙げられません。デザイン性やFlashでの表現が優れているサイトは数あれど、その中から自分にとって価値のあるものを探すのは億劫な作業となります。しかし世界中には、例えば僕がその情報自体に興味の有る無しに関わらず成立し、幸せな気分にさせてくれる、美しいサイトを生み出す方々がいることも知っています。さて、そういった類いではないとしたら、デイリーポータルZのような楽しいサイトが好きです。

好きなデザイナーについては、有名な方しか知りませんし、知っている方は大抵好きなんで、きっと僕にとってはなんでも魅力的に感じるということだと思います。ビアズリー、ガリアーノ、宇野亜喜良、宮本茂......こうして挙げ始めてしまうときりがないです。
今興味あることですが、多くのことに興味がありますが、一番に挙げられるのは絵本です。素晴らしい作品が世界中に沢山あります。


CBCNET: 最後に一言お願いします!


qubibi: ありがとうございました。またお会いしましょう。


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Roppongi Hills Arena「いつか見た楽園」

qubibi_profile.jpg qubibi http://www.qubibi.net/ Kazumasa Teshigawara 勅使河原 一雅 1977年 東京生まれ

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Interview : qubibi

http://www.qubibi.net/

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