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Interview : MATZU-MTP

September 25, 2006 11:40 PM

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(上の画像をクリックすると、スライドショーで画像が見れます。画像上をクリックしていくと次に進みます。計6枚)

Text by Yosuke Kurita, Photo by Naobumi Chiba

今年7月から8月にかけて行われたMatzu-MTPによる東京初の個展「MATZU-MTP EXPO」。2週間の開催ではあったが、その内容、質とともに大きな印象を来場した人に与えたことだろう。 ストリートアートという文脈で語られることが多かった彼は東京で開催する個展にあたってそのイメージからの脱却とともに、アートと等身大で接することができるような空間を創造していた。個人作家によるこの規模の展示は東京ではまだまだ難しく、数が少ないのが現状だ。そういった中、今回の展示は現在の東京に対していろんなものを伝えてくれたと思う。 普段はNYCにて活動している彼に、去年4月のインタビュー以来となるが、話を聞いてきた。
以前のインタビューはこちら
MATZU-MTP EXPO 詳細

CBCNET:まず、東京でやってみてどうでしたか?また、なぜこのタイミングでの展示になったのでしょうか?


MATZU:本当に200%の出来だったよ。当然だけど作家はどこでやろうっていうのは自由には選べないし、僕自身はやりたい内容が出来るというのがプライオリティだから、今まで東京でやる機会がなかった。それが今回は多くの人によって支えられ、やりたいような条件が揃ったので実現することができた。 いままで日本に距離を置いてきたのは、ただ距離を置いたのではなくて、やりたい状況で出来ないのであれば、やる必然性がないと思っていた。日本は母国だけど、アートとしてはアウェー。だからこそちゃんとしたものを出したかったんだよね。


CBCNET:日本とアメリカでの違いは感じましたか?


MATZU:ひとつはギャラリーの体質が違う。良い悪いじゃなくて体質の問題。本当ならギャラリーの壁に直接描いたりもしたかったけど、そういうのがダメだったり、設営期間がアメリカだと5日間ぐらいは与えられるけど短かったり、そういう部分での違いは多少感じた。今回は大掛かりだったのでギャラリーの人がビックリしちゃったりとかもあるしね(笑)。


CBCNET:今回の展示に関してどういう意図や設計があったのですか?


MATZU:まず今回の展示に関しては、ギャラリーの空気感を変えたかった。アートって白い箱(ギャラリー)の中にあって崇高なものだというイメージを持たれることがあるけど、僕はもっとフィジカルに楽しめるものでもいいと思っているんだよね。 作家というのは、自分のモノの見方やリアリティを作品にして作っているのに、白い箱に入ると敷居が高いものになる。その距離感と温度差が嫌いなんだ。
もちろん事前にフロアプランを考えていたけど現場に行くとまた全然ちがう。今回は違う形の作品、たとえば大きい絵、作品をバラバラにしたもの、アクリルを使ったもの、そして家、そういう様々な引き出しをどう使って、どう配置するかという部分は気をつけた。変更と決断が多かったよ。


よく言われていることだけど、スタジオにあるものを個展会場にもってくると、個展としてのピントと作品としてのピントがずれてしまうことがある。だから出すだけでは意味がなくて、空間としてどうするかというのは意識したところ。 今回は3週間ぐらい絵を書かないで、空間作りのところから入っていったから、いわゆるペインターとの入り方とはちょっと違うベクトルだったのかもしれない。


今回のテーマとして日本でやるから、ブルックリンでのいつもある光景(自分にとってのリアリティー)を持ってきたかった。実はあの家の中に映っているおばちゃんは、あのままの格好でブルックリンにいるんだよ。ああいう風に歌っていたり、人と話していたりする。役者じゃなくてそのままなんだ。会場に入ったときは何なのかよくわからない、という状況を作り、そこから奥に入っていき作品を見せていく。そういう流れを意識した。


CBCNET:反響はどうでしたか?


MATZU:おじいちゃんから子供まで楽しんでくれていたよ。そういうのはやっぱりうれしい。自分が懸念しているのはストリート・アーティストだという認識が良くもあり、嫌でもあって、それを取っ払いたい。
限られたコミュニティーで、わかる人にしかわからないというものよりは、言語をもっと幅広くしていきたいんだよね。そのために現代美術としても通用する哲学と理論で武装もしている自信もあるし、普通の人が見ても楽しいというアプローチもしたい。自分にウソ偽りのない表現できればと思っている。


CBCNET:Matzuさんの作品の特徴の1つに「色彩」というのがあると思いますが、「色彩」についてはどういう捉え方をしているのでしょうか。


MATZU:まず、人間は何か見たときに色彩が入ってくる、どんな構図、形をしてようが色彩のバランスがよければ、スッと入ってくる。僕自身の特徴は色感覚だと思っているし、そうやって自然に目に入る作品でもよく見るとインパクトがある絵が描いてある、そういうずれを使ってる。 作品をわかりにくくするというわけじゃなくて、色彩から簡単に入っていけて、それでも深く読んでいける、というのがアプローチの仕方かな。やはり色に対してはすごいこだわりがある。だから何度も納得する色を求めて、何回も塗り直したりするからね。


あと、スケッチは描かないようにしている。スケッチを書くと自分の中で計算できちゃう部分があって、そうなると進化できない気がする。進化をなるべくさせたいから、進みながら考えていく。試すことから始まるし、だからこそ次に繋がる。今回も新しい色使いの作品があると思うんだけど、僕の信念として1つの手法を続けないというのがあって、自分でやっていて鳥肌が立つぐらいテンションが上がるものを追っかけている。

よくアーティストのスタイルって線だったり、筆の余響だったりするけど、色でも十分出せるから、それが僕のスタイルのひとつだと思う。


CBCNET:今回、展示会とは別のイベントでライブペイントを行われましたが、正直今までみたライブペインティングで一番衝撃的であり、楽しませてもらいました。ライブペイントはよくやられているのですか?また今回やるにあたって、どういったことを考えていたのでしょうか?


MATZU:たまにやるけど、メインでやるっていうことはあまりない。音楽イベントとかパーティとかの一部としてやるというものだったけど、自分のパーティでやるっていうのはなかった。長い時間でやる場合は、作品を残すというアプローチだけど、今回は違うアプローチが必要だと思った。やっぱり長い時間見てもらうというのは難しいから、1時間から90分でどういったものを見せられるかを考えた形だった。今回は個展とリンクしているから、完成度が高い物を作るというよりは、表現の中心をプロセスだったり進化や流れを見せることに意義があると感じた。 ライブペインティングじゃなくて「パフォーマンス」という言葉も使ったのもそういうことがあったからなんだ。

また絵は一連の作業のなかで4回変えようと思っていた。1時間の間に全然違うものにどんどん変えていって、その流れを見せたかった。画材もいろんなものを使って、自分が今までの経験で得たものを全部さらけ出そうと。途中でペンキを乾かすために休憩を入れたけど、あれは乾き待ちっていうのがあったけど、お客さんのテンションを一度下げるという意図もあったんだ。

あとはDJやってくれたSHINCOくんとやりたかったし、音という時間軸があるものにどう自分が応えられるかというのもあった。フォーカスを平面軸から時間軸を移して、時間軸をアートワークに加えたかった。

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個展と連動して行われたパーティでのライブパフォーマンス。見ているすべての人を魅了する繊細さとパワーが感じられた。
(上の画像をクリックすると、スライドショーで画像が見れます。計8枚)




CBCNET:今後はどういった予定がありますか?


MATZU:来年の3月に画集を出す予定なんだ。個展もサンフランシスコ、ポートランドでもやるし、 ニューヨークでも企画展がある。アシスタントとかアーティストとしての下積みはしてきたし、たくさんインプットしてきたから今はどんどんアウトプットをしてきたい。今は幸運なことにオファーがあって選べている状況だから、厳選して、量より質が高いものをやっていきたい。逆に、自分にリスクがあるもの、納得がいかないものにはほとんどノーと言っている。
自営業としてのアーティストだから大変な部分もあるけど、毎日が充実している。毎日出来ているからこそ、進化していくしかない。自分の情熱と時間をかけて、それでお金を稼ぐというのはピュアで健全だと思うから、作品を多く売って、大きなものを作っていければと思うよ。

CBCNET:ありがとうございました!今後も活躍楽しみにしています。

Matzu MTP
(TOMOKAZU MATSUYAMA)
飛騨高山生まれ、東京都出身。現在アメリカ・ニューヨーク州ブルックリン市在住。 2001年、前衛/現代アートの発祥の地であるNYに活動拠点を東京から移しブルックリン市にスタジオを構える。
NYプラットインスティテュート美術大学院にも在籍し、主席で卒業。東京、大阪、バンクーバーと国際的にも発表の場を広げ、2004年度だけでも6つの展覧会を開催。「相反するアメリカと日本の二つの文化のボーダーラインを絵画を通して取り除く」というコンセプトをベースに制作された作品は、現代的でシャープなデザイン性とほのかに伺える日本人として根底にある和の感覚が、全く新しい形態でブレンドされ、高い評価を呼ぶ。
リーバイス・ジーンズとのコラボレーション共同プロジェクトとしてNYのソーホーで3ヶ月におよぶ長期個展の開催や、阪急百貨店での個展、またアメリカ東海岸で最も大規模な芸術祭ブルックリンDUMBOアートフェスティバルにおいてライブペインティング作家として選ばれるなど、多岐にわたる芸術活動を行う。

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