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インターネットリアリティー研究会(IR研究会)とラファエル・ローゼンダールのトークイベントが今週の土曜日(2013年7月20日)に川崎市民ミュージアムであるんで、それに向けてというわけでもないんだけど、なんかヤミ市以降、忙しかったり、暇だったりして、あんまり考えてられなくなっていたのでひさびさにブログ。



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さてさて、たびたびブログやtwitter、Ustreamなどでも話題にしてるけど、IR研究会で話し合ってきた中で、ひとつ、最近気になっているテーマが「同期」と「ズレ」の話というもの。これはたしか谷口くんの『夜の12時をすぎてから今日のことを明日っていうとそれが今日なのか明日なのかわからなくなる』がきっかけになって話題に上がったものなんだったと思う。タイトルが長いけど、これをインターネット的に考えた上で感じたのが、つまり、インターネットが高速化して、いつでもどこでもできるようになった事によって、わざわざ“インターネット”なんてカッコ付きで呼ばなくても、ネットがリアルワールド(現実)に吸収されるような形で溶け込んできている今、この2つネットとリアルが一つになればなるほど、気になってくるのがそこに残るわずかな「ズレ」の存在。


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インターフェースを改良し、より快適に、高解像度に進化してもそこに現れる人の顔にはボカシがかかり、けっして現実にはなれないGoogleストリートビュー。速度がどれだけ上がろうとちょっと遅延するし、気が付かないこともおおい、プッシュ通知。何に対しても「いいね!」ということができても、押した人の本当の気持ちはどうかわからないいいね!ボタンなどなど。より現実がインターネットと一体化したことで「ズレ」が目に付く様になってきている(とぼくは感じる)。


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逆に256色でしか、短いループでしか、再生することができない制約だらけのGIF画像や、写真を通常の状態からあえてちょっと崩したGlitchのブームは、現実をわざとズラすことで僕たちのリアリティを今までとは別の方向へとちょっと広げてくれているのかもしれない。

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Clement VallaさんのThe Universal Textureという記事にあるように(あんまちゃんと読んでないけど)、Google Earthで見つけた現実とバーチャルのかっこいいズレをまとめたものとして捉えられるし、ヤミ市で売られていた商品の中にも無理やり言ってしまえば、ネットの世界観をズラして現実に輸出(ダウンロード)するような逆方向のズレを楽しんでいたという言い方をできなくもない。この、今こそ「あえてズレ」るというのが、四六時中スマホが手にはりついているような、いつでもどこでもインターネットの時代には面白い方法のように感じていて、インターネットと現実の間にある不気味の谷に落ちなくてすむためのライフハック?なのかもしれない。

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そう、IR研究会でもでたけど、不気味の谷はじつはロボットやCGの世界以外にも、現実に近づけば近づくほどその不気味さに耐え難くなるという意味で、もしかしたら、インターネットとリアルの間にも存在するのではないだろうか。その谷間を外すという点で、GIFやGlitchが、少し前に話題になったニコ動の擬似同期や、The Universal Textureの記事が面白く読めたりするのかなと。さらにはArtie ViacantのImage/Objectという考え方にもつながりが深そうだけど、収集がつかなくなりそうだからやめよう。

Evernote Camera Roll 20130713 050841 そういえば、このあいだ、nuuoの林さんから教えてもらった、Eyelandという出会い系(?)アプリが面白かった。Google Map上にみんなで投稿できて、コミュニケーションがとれるSNSなのだが、女性のキャラクターが投稿すると、すぐに男性のキャラクターの誰かから「はじめまして!」っとチャットがとどく。このアプリには投稿時のGPSデータの位置がズレるという機能があって、これにはグッとくるものがあった。それと同時にGoogle MapやGoogle+は現実と同期することに対してすこし真面目すぎるのかなとも感じた。人々はズレを楽しみ、救われている。



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あと、ぼくはむかし、代官山のギャラリーの硝子戸に頭を激しくぶつけてまぶたをきったときのことも思いだした。そのギャラリーは空間がおしゃれすぎて、ガラスが透明過ぎて、そこにあることに気が付かなかったからおもいっきし通過しようとして、怪我をしてしまった。
多少わざとらしくでもマルポチシールやカッティングシートを貼って、そこに「ズレ」というか「隔たり」があることは明示した方が安全だし、リアルじゃないのにリアルみたいなそういう振る舞いをする物事には頭をぶつけないように気をつけつつ、楽しんでいこうと思ってる。

ということで、トークをご一緒するラファエルについては全く触れていないけど、土曜日よろしくお願いします!彼は個人的には長く仲の良い友人でもあるので、少し深いところまでいろいろ聞ければと思っています。