谷口くんの個展「思い過ごすものたち」にいってきました。なんとなく関連するものやことがなんとなく連動しながら、なんとなく存在している展示で、オブジェクト同士を「気配」とか「プロパティ」が繋いでいるという感覚がしました。どんなオブジェクトも、それはデジタルではなくてもその「機能」や「材質」や「見た目」からAPIのようなものを提供していて、それを気持ちのよい所で繋げば、関係性をもってリンクするハイパーテキスト的な状態をつくることができるという谷口くんの発見力が発揮されててさすがだと思いましたし、そういう意味でネット的(網的)なテーマになっているなぁと感じました。

ただCookedのメンバーと神楽坂でいっぱいやってから見にいこうということになって、つい時間を忘れて飲んでしまい、肝心な飲み会講評会を聴き逃してしまいましたが、Ustreamの録画が残っているようなので、あとで見てみようと思います。関連する(Related)なオブジェクトの関係性が直接的ではなく、「気配」で接続された空間は無理がなくて居心地がよいものでした。大友良英さんのwithout recordsみたいな規模の大きな会場や、実家まるごとつかったような会場でみたいなと思いました。現実の空間はインターネットよりも圧倒的に高解像度でいろんなものが絶えず関連しているけれど、そこにあえてiPadとかラップとかわざとらしくオブジェクトを配置することで、うまくネットワークをつくっているなぁ、と。

こういうのって一個一個のオブジェクトに焦点を当ててもうまく説明できなくて全体の印象でしか捉えられない事があります。ちょうど昨日、新居探しでアパートを内見しているときに、雰囲気のいい物件があったんですが、その雰囲気のよさを具体的に説明しようとすると、なにがいいのかよくわからないわけです。風呂は古いし狭くて、壁はコンクリなのに床は偽物のフローリング、ただ日当たりと風通しがよかったり、広かったり、街の雰囲気とあってたり、そういう「全体」をひっくるめてしかいいか悪いか判断できないような感じ。そういうの状態のよさを『思い過ごす「ものたち」』から感じました。

今週末金曜日に谷口くんは参加できないらしいのですが、「インターネットリアリティ研究会」の座談会「インターネット アート あれから つづき」があります。谷口くんの展示の内容もしっかりとつないで、これからのネットアート展についていろいろ話し合えればと思います。センボーさんのブログでもあったけどインターネットって言っておけばokって時期は過ぎてしまってて、もっと普通に接していかなくちゃいけないわけだし(もうみんなとっくに接してるんだけど)、そのあたりについても話ができればとおもっています。こちらはICCではなくUSTREAM中継のみのイヴェントになります。

あと、日曜日にOvaqeの松倉くんに誘っていただいて、京都でthaのbouzeくんとMNRVというイベントに出演します。自分については何を話せばいいのかわかりませんが、見に来ていただける方はよろしくお願いします!楽しみです。