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5. 台北での展示--手感的妙--

February 23, 2010
Ryuta iida
アーティスト、飯田竜太による連載第五回。

久しぶりになってしまって、申し訳有りません。
この連載も、もうなんだかんだ1年経ってしまい、非常に感慨深いものになってきました。

今年の初旬に台湾での展示がありました。設置からパネルディスカッションまで、"4日間"というタイトなスケジュールでしたが、非常に興奮する出来事でした。

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まず今回の展示についての概要は以下でした。

手感的妙
台北: Contemporary airy crafts from Japan to Taiwan
Part1: 2010.1.9-2.28 飯田竜太、SHIMURABROS.、金氏徹平
Part2: 2010.3.13-4.25 泉啓司、岩崎貴宏、劉文瑄、林昆穎

会場 / Venue: 就在芸術空間 / Project Fulfill Art Space 住所 / Address: 台北市大安區信義路三段147巷45弄2號一樓 / 1F, No.2, Allery 45, Lane 147, Sec.3, Sinyi Rd. Taipei 10658, Taiwan 営業時間 / Opening Hours: 13:00-18:00 毎週一公休 / Closed on Monday
主催:FEC就在芸術空間
後援:財団法人交流協会、台北市文化局 合作:ARATANIURANOShugoArtsTaka Ishii GalleryTSCA

詳しい内容はここより


展示は2部校正という形で行われることで、1部2部をつなぐ目的としてパネルディスカッションが設けられました。詳細はPFgalleryからの映像で確認していただければと思います。 各人、非常に個性的な思考性をもっていることが伺えます。

気持ち悪い顔で、すいません。


展示の模様

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就在藝術空間 http://www.pfarts.com/


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必死で並べました。


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志村さんの作品。本当にかっこいい。手臭さがいい具合に消されているんだけど凄く濃い作品。


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会場にて


パネルディスカッションの模様

SHIMURABROS.



飯田竜太


劉文瑄


林昆穎

パネルディスカッションは、私は完全に"テンパってました"。同時通訳の初体験もあり、もっと練習すべきだったという反省ばかりでした。特に台湾のアーティスト2人のディスカッションは興味深いものでした。
自分が求めているものと、他人が求めているものを、近づける為の行為としてこのような機会が有ると考えた時、近づける為の絶対的理由をしっかり押さえること。また場所的な要因をよく考え、把握し利用すること。
教育関係の現場で働いているのにも関わらず、人に伝えることは非常に難しいと本心から感じ、恥ずかしいばかりでした。

自分の作品は説明が必要なものだと思います。しかし、体感する事で一番伝わるという反面も有ります。また平面的メディア媒体に非常に不向きであること。その点を自分なりにさらに分析し、わかりやすく伝わるように説明するかを課題としてみつけた良い機会でした。

企画の趣旨を、今回のキュレーションを行った金島さんが話されています。非常に興味深い話になっているので、是非見てください。金島さんの巧みな人選と特異な見識には、とても刺激を受けました。




今回の展示の紹介に合わせて、台北での体験を紹介したいと思います。
台北の町を歩くことができ、身近に体験出来たことは非常に得難いものになりました。

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3階建ての二階。廊下はオープンな通路。


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部屋の間取りはいくつかタイプが有るようですが、泊まった部屋は特に大きなタイプの部屋でした。広すぎて怖かった。


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向かいに小さな緑地とそこに併設されたカフェテラス。木がたくさんありました。



滞在は、台北芸術村での滞在になりました。アーティストや美術関係者のみが宿泊出来る施設で、元学校だった建物のようです。1回にはカフェがあり休日に庭先から子どもの声が聞こえる等、非常に居心地の良い空間でした。年間で何名かのアーティストレジデンスを募集しているようです。ジャンルの幅は非常に広いようで、詳しくはサイトをご確認ください。非常に環境は良かったので、是非滞在したいという気持ちになりました。今回は宿泊のみの利用でしたので、基本的には外にご飯を食べにいきました。気になるご飯の話。

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ピーナッツバター味のジュース、超甘い。しかも「かわいい」


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朝ご飯にこのサイズのおにぎり。しかも中身に角煮風の牛肉、揚げパンの様なもの、香菜みたいなもの。盛りだくさん。


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有名店での小龍包。店員の可愛さ、かっこよさのレベルが半端無かった。


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牛肉麺 まじでうまいです。


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豚足煮とチンゲンサイの炒め物みたいなプレート。深夜1時に一人で。


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永康街近くの肉屋。ホルモン系が半端無い。


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粥屋街で。英語が通じなかったけど、頼めてよかった。凄く熱いお粥。



台湾は日本に非常に近い国であるのに、言語はおろか、文化、食文化ともに非常に異なっていました。甘い小豆のようなピーナッツバターのようなジュースやサトウキビのジュース、大きなおにぎりなど、とてもおいしいものばかりだったと思います。朝は道端に屋台が出て、そこで軽い食事をとる人やお店の前に小さな椅子と机が出されそこで朝食をとる風景が見られたました。道中にビニールを持ったおばさんが炒り豆の様なもの売っていたり、小魚のスナック(あげた様なもの)を売っていたりと少しタイの雰囲気みたいなものも感じました。文化圏は中国圏にあたるので、中国の文化であるようでしたが、日本統治時代の名残が各所に残っており、親近感を強く感じました。
台北国際芸術村からほど近いところに、台北でも特に日本の文化が残る場所「中山」という地区があります。そこに「備前屋」という鰻屋さんがあります。金島さんに連れて行ってもらったそこは本当に格別でした。しかも凄く安い。

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台北駅


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タクシーは黄色、ビルは朽ち果てそうだけど現役。


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こういうのは東京っぽい?アジアっぽさなのかな。この色感。


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日本統治時代の名残。



あまり時間がなかった中、古本屋に行く為に時間を作り「永康街」にある古本屋に行きました。
台北は、タクシーの初乗りは日本では考えられない安さで、ほとんどタクシーで移動していましたが、このときは朝も早かったこともあり、2セクターくらいを歩いて移動しました。やはり知らない街は歩かないと見逃すところがたくさんあると思います。
台北の人は「日本人が好き」ということを聞いていましたが、店の中から「どこ行くのー?」と日本語で話しかけられるのは初めての体験でした。


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床屋のおじさんは、お客さんがいたのに、そっちのけで店先へ。地図をもぎ取られ「今ここ」「まっすぐ」的に片言かつ強烈に道を教えてくれました。面白いこのおじさん、スキンシップが凄かったのと、超良い匂いでびっくり

ついた古本屋はレコードや家具等も扱うお店で、まさに掘り出しモノの宝庫でした。台北についてから、頭の中は常に日本円の換算作業が続いていましたが、ここでは完全フル稼働でした。購入欲求と帰国の荷物のこととの葛藤で結局8冊くらいしか購入しませんでした。やっぱり自分は本が好きなんだと改めて思う一瞬でした。

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エントランス

また、凰甲美術館(hong-gah museum)に足を運びました。この美術館は、メディアアートを主に扱っているようで、国内のアーティスを中心にアジア圏のアーティストも紹介していました。この美術館は、運営主体は行政管轄ではないのに入場が無料で、アーカイブ図書館等の併設も有り、非常に良い美術館であるように感じました。

たった4日間の出来事でしたが、とても自分を飛躍させてくれる機会だったと思います。日本の「アート」という考え方に非常に小ささを感じていたこともある意味でまたそれが強みであることかもしれないと感じました。文化的に閉塞していることが、ある意味での強みであることや、全てを自国の文化に取り込む柔軟性。やはり日本は独特かつ強靭な文化で有るように感じました。

東京を離れ、なかなかアートという土壌のつながりが希薄になりがちな場での生活でしたが、そう考えていた自分がばからしく感じました。
制作が常に根底にあることが、自分の強みであり大切なことだと感じました。確かにアプローチは非常に重要ですが、その基礎を作っているものを忘れないようにしなければと思いました。アートの思考性をもっと自分の根底におくようにこれからも生きていきたいと思います。

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僕と金島さん。


今回の企画に誘って下さった金島さんに本当に心から感謝したいと思います。
そして、志村さん、金氏さん、一緒に展示ができて本当にうれしいです。
また台北でお世話になった、就在芸術空間の皆様、ペイユーさん、エヴァさん、林君、miaさん、shimurabrosさん家族 などなど、この場を借りて御礼申し上げます。

会期は2/28日までです。是非台北へ遊びにいって下さい!

飯田竜太

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