《gravicells[グラヴィセルズ]−重力と抵抗》
by 三上晴子+市川創太
NTTインターコミュニケーション・センターICCのオープンスペースが今年も作品を一新し、2008年度版としての展示が4月19日からスタートした。通年展示企画である本展は今年で3年目を迎え、岩井俊雄やカールステン・ニコライ、三上晴子などの大御所から新進気鋭の若手作家、さらにネットワークゾーンではウェブ・クリエイティヴ・チームSemitransparent Designから生まれたネット・アートユニットSemitraによる作品など、今年度も過去の2年間に負けず劣らずの多彩なラインナップとなっている。以下、作品を数点ピックアップして紹介。
OPEN SPACE 2008
http://www.ntticc.or.jp/Exhibition/2008/Openspace2008/index_j.html
NTT InterCommunication Center
http://www.ntticc.or.jp/index_e.html
《フラッシュを使用しない撮影は許可されています。》by Semitra
エントランスのネットワークゾーンからまず目に飛び込んでくるのがSemitraによるこの作品。
一見すると、スケボーのランプに無数の動く点がプロジェクションされているだけだが、長時間露出した状態で撮影すると点の軌跡が文字になって現れる。
今年も引き続きゲイナーカイダン(インタラクティブ年表2008)が設置されている階段を上がると岩井俊夫のマシュマロスコープがお目見え。オブジェのモニターをのぞくと時間軸が変容した向こう側の映像をみることができる。2002年の作品。
また先日日本での発売が発表された「TENORI-ON」も展示されており、実際に触って演奏を試すことも出来る。
《多義の森》by 木本圭子
暗闇のなかでひときわ美しく、有機的で繊細な幾何学模様を生み出す映像と、床にうめこまれた平面3点で構成された作品。映像はリアルタイム演算により作り出されている。木本圭子は2006年のメディア芸術祭において「Imaginary・Numbers 2006」という作品で大賞を受賞している。
《invertone》by カールステン・ニコライ
無響音室ではサウンド・アート界の大御所、カールステン・ニコライによる音の現象にフォーカスした作品を体感することができる。ホワイトノイズを発する対になったスピーカの間のどこかに無音状態になるポイントがあるという。
今回の展示で最も大規模で迫力があるのがこのgravicells。空間内を動くと重力を可視化したグラフィックと音響がダイナミックに変容する。
《変種ウルバニュス(メス),ウルバニュス(メス)幼虫》by チェ・ウラム
昆虫や植物をモチーフにしたキネティックな彫刻作品。ゆったりと花弁を開閉するような様はとても美しい。
新進アーティストを紹介するコーナー「エマージェンシーズ」では八木良太の「回転」シリーズが展示されている。上の写真はその中の一つで、回転するアナログレコード盤に鉛筆や釘を当ててレコードの音を聞く作品。
このレポートで紹介した作品以外にも素晴らしい作品は多数あるので、是非、一度会場に足を運びよりすぐりのメディア・アートたちを体感してもらいたい。
Text & Photography by Takahiro Yamaguchi