クラスを作るのにストレス。関数を作るのにもストレス。複数ファイルを開くのがストレス。あープログラミングって本当ヤだ。こんだけ暗闇の中に直接手つっこむような作業なんだからいつか体に電極ぶっ刺せば組み上がるようになるのじゃないか。ほとんどの時間は身動きせずにコードを睨んでるだけなんですよ。血行は鈍り手足は痺れ末端は冷たくなりながら視えない何かとじりじり戦ってそれも圧され気味。いつか追い詰められ堪りかねエネルギーをぐっと消失しながら駆け上がる、を繰り返してる。みんなそうなの?自分だけなの?もしかしたら向いてないの?

このただ睨んでるだけの時間って一体なんだろう。どうしたら良いかわからないわけじゃないんです。むしろわかってる!ばかにするな。手が動かないだけなんだ。全体の2/3はそんな時間でしょう。仕方がなく嫌々片手人差し指でぽちぽちとキーを打ったりする。進むわけない。進まない。けどこの睨んでるだけの時間のうちに世界観が出来上がってるような気がしなくもない。作品の世界観に言及してくれる人が多いけどそれは無駄とも思えるこの時があるからだと言い聞かせたりする。いやいや実際は何もない。空っぽ。無。伽藍堂。
完成が近づくと今度は調整の時間が爆発的に増加、コードが裏側だとしたらプレビューは表側、それをまたじーっと睨む。硬くしたり柔らかくしたりしながら徐々に骨格らしきものを作っていく…のだけど、その過程で何億万回も失望する。もうだめだ。これはクソだ。大失敗だ。こんだけやってこの程度か。皆になんて謝ろう。ごめんなさい、ウソつきました、良いものができるってウソつきました、路をあやまりました、生まれたのが間違いでした。むしろ生まれ変わりたい。 …逃げよう。そうだ逃げよう!貯金全部おろして逃げよう!木谷さんごめん!みんなごめん!息子あとよろしく!息子愛してる!愛してるから大丈夫ー!

そうした僕にとっての強い味方がカレーなんです。ドリフターを作っている最中もほぼ毎日のようにカレーを食べていた。カレーがなければドリフターは出来上がらなかった。カレーの効能はググればいくらでも出てくるけど例えば意欲維持・ストレス抑制に対するカレーの機能性 スゴーイ! 【新事実】幸せホルモン「セロトニン」は腸から出てることが判明!カレーを食べるとドバドバ出るらしい(笑)|ロケットニュース24 へースゴーイ! カレーで脳と目がスッキリ? 健康管理 女性の健康、男性の健康増進法 わースゴーイ! 僕と同じように苦痛を感じながら作業をしている人は皆カレーを食べなさい。カレーが全てを救う。僕が製作中通っていたカレー屋さんの中から3つのお店を紹介しましょう。


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一軒目。渋谷に事務所があるからやっぱり渋谷で良い店をみつけたい。食べた後眠くなるような重いカレーは却下。食べることで体の隅々まで血が巡って視界がシャキンと冴え渡るような、そんなカレーであって欲しい。とすれば渋谷で一番に挙げるのが「チリチリ」。入った瞬間にわかる、あ、ここは絶対うまい!という店内に充満するスパイスの香り。おすすめはマサラが付く辛口カレー。さらっとして油っこくなくて、スパイスの薬効か食べてるうちから胃腸のあたりがぽかぽかと温かくなってくる。これぞ僕の大好きな、カレーを愛して止まない物好きな日本人によるインド風味のカレー(インド人がこしらえた本場っぽいカレーも好きだけど)。あと忘れちゃいけないのがカウンターに置いてある白い瓶に詰められたチャツネ。これが甘いのに清涼感があってメチャ美味い。


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二軒目。五反田の「うどん」。うどんだけどカレー。こだわりっぷりはホームページをみれば一目瞭然。ノッポさんみたいな風貌の店長が多分只者じゃないオーラ。ここは迷わずスープカレー、出来れば季節の夜カレーを頼むと良いです。例えばはじめての人が辛いの苦手だからとスープカレー以外のもの(スープカレーは辛い)を頼もうとしてたら説き伏せたくなる程に別次元のカレーになってる。写真は牡蠣がごろごろ入ってる「季節の夜カレー」薬膳タイプ。刺激的な薬膳(というか胃薬系)のスープに牡蠣の色っぽい香りがふわぁ~っと滲み出ていて本当美味しい。ご飯にのってるのは毛羽立つほどにスパイスの粉(?)を纏った「スパイシー挽肉」。弾力があって噛むほどに口の中に香りが広がってご飯をより甘く惹き立てる。


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三軒目。近所にある美味しいカレー屋さんって夜は大抵閉まってる。はじめに挙げたチリチリなんか11時半開店で夕方前には閉店。そこで夜に通っているのが渋谷「いんでいら」。創業者が画家と文筆家という生業の傍ら始めたお店で創業50余年になる老舗だそう。でも渋谷に残るのはこの道玄坂店のみ。食べるのはいつも「野菜ベンガルカレー」。さらっとしたスープに素揚げされた野菜が顔のようにトッピングされてる。辛い。苦くて辛い。食べてくうちに口中が痛くなって汗がぶわっと噴き出る。上に挙げた二つの店に比べたら明らかにB級感は漂うけど、店の場末感と他では食べれない味が確かにあって気に入ってる。あとここのキャベツのコールスローは日本で一番旨いんです。キンと冷え、しなっとしたキャベツを思い出すとついまた食べたくなる。
ちなみにドリフター制作終盤でより強い意欲と集中力を持つべく唐辛子とニンニクに徹した時があったけれど失敗。一週間で体調を壊して点滴を打つはめになった。あれはやらない方が良い。
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さてさて、そんなこんなで完成したDRIFTER(ドリフター)。NURO DEVILMANのサイトにて最後に登場した祭りのようなもの。現在はかなりアップデートをして、より楽しめるものになっています。笑うも泣くも触るも眺めるもよし。オススメはちょっと触ったら後は勝手に行動してる人々を傍観してあれこれ妄想することかな。映像ではないので観る度に人が違う動きしたりと変化します。是非ご覧下さい!作品の詳細、裏話的なことはまたどこかで話すかもしれません。本当はもっと早くここに紹介したかったんだけど毎日酒呑んでたせいかなぁあっという間に日が過ぎちゃってた。ガハハ。

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DRIFTER by qubibi | NURO DEVILMAN
http://devilman.nuro.jp/drifter/

クレジット。テーマソングを歌うのはあの志茂田景樹さん。やっぱりめちゃ服装カラフル。あのまんまでした。その作曲は石田多朗さん。彼との仕事もこれで3回目、公私共に仲良くさせてもらっているけど多分一番苦しめたろう、5Kg痩せたらしい。音や音響全般はbitztreamの中岡将二郎さん。もう8年くらい一緒にやってる頼もしいお方、というか頼りっぱなし。イラストは益子悠紀さん。画風は掴めないけど奥底から強い異臭を放ってるヘンタイ。踊ってる人や他、アニメーションも手がけてくれました。ポスタリゼーションや(Photoshopでお馴染み)二値化のフィルターを作ってくれたのはAquiouxの吉田明雄さん。彼の高速なフィルタを使うことで多少の無茶も出来たというわけ。その他、構想、アートディレクション、デザイン、プログラミングは私、クビビの勅使河原一雅。そしてこの制作を優しい眼差しで見守ってくれたのは、漢の中の巨漢(体積的な意味でも)カイブツの木谷友亮さん、いつも朗らかな電通の関本みよさん、同じく電通、オランジーナやJR東日本の広告から映画監督そして本に至るまで活躍しまくってる高崎卓馬さんのお三方。NURO DEVILMANのサイトデザインはイム・ジョンホ率いるmount、そしてこのような機会を作ってくれたのはソネットの皆様、でしたーっ!