アイ・ウェイウェイ[艾未未]は、現代中国を代表するクリエイターのひとりで、美術、建築、デザイン、出版、展覧会企画など多岐にわたる分野で活躍している。とくに2007年の「ドクメンタ12」(カッセル、ドイツ)、2008年の北京オリンピックスタジアム設計に際するヘルツォーク&ド・ムーロンとのコラボレーションによって国際的な評価を高めた。そのアイ・ウェイウェイによる大規模な個展が、現在、森美術館にて開催されており、各所で話題を呼んでいる。
通常、日本の多くの美術館では、著作権保護の問題などから、作品の写真撮影は禁止されているが、アイ・ウェイウェイ展ではクリエイティブ・コモンズ・ラインセンスを採用し、館内での写真撮影を認めている。この、日本では異例とも言える試みが、数々のブログなどで取り上げられ議論を巻き起こしているのだ。
背景には、アイ・ウェイウェイのブログが常に中国政府から遮断されているという事実や、先日、クリエイティブ・コモンズの発起人であるローレンス・レッシグを招いてのトークイベントを、森美術館が企画、開催しているという美術館側の著作権に対する問題意識があり、この二つの要素が大きく働いている。
もちろん、作家本人のナショナリティーが色濃く現れた、現代美術作品たちにも注目したい。