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5. ヒラギノUDについて聞いてみた@字游工房

August 5, 2010
Taro Yumiba
デザイナー、弓場太郎による連載。第5回目はヒラギノUDについて。

2010年は電子書籍元年と言われる中、以前と比べて文字と画面表示の関係について色んな所で議論されるようになった。iPhoneやiPadと次々に新しいデバイスが発売され、画面上で奇麗に表示されるフォントの存在は欠かせない。折りしも、お馴染みのヒラギノにUDフォントシリーズが追加されたのも今年の出来事である。そのヒラギノUDについて今回運良く、大日本スクリーンの三橋洋一氏、字游工房の鳥海修氏、ヨコカクの岡澤慶秀氏、SHOTYPEの岡野邦彦氏に直接お話を聞かせて頂くことが出来た。



どのような経緯でヒラギノUD開発に至ったのですか?

三橋氏 (以下敬称略): ヒラギノの新書体の企画を練っていた2007年の後半頃、UD (Universal Desgin) を冠した他社のフォントが世の中で徐々に使われ始めていました。でも、そもそも基本書体と呼ばれるカテゴリーの書体は、読みやすいように考えて作られていますし、ヒラギノももちろんそうです。そういった中で、もしヒラギノにUDという切り口を与えたら、どういう新しい書体が出来るかということで、字游工房さんに相談を持ちかけました。それが2008年の6月頃でした。

ひと口にUniversal Designといっても高齢者あるいは弱視者へ配慮するという意味だけでなく、いろんな解釈があり得ると思いますが、ヒラギノUDのコンセプトを教えてください。

三橋: もともとヒラギノは紙媒体、商業印刷をターゲットとして開発しました。そのヒラギノが2000年にMac OS Xに標準搭載され、ディスプレイにおける文字の美しさに多くの人が注目するようになりました。その後、iPodやiPhoneにも搭載され、さらに多くのユーザの目に触れる中で、課題も見えてきました。ユニバーサルデザインは、ハンデを持つ人だけでなく、万人にとってより良いものを追求する、という考え方です。そこでヒラギノUDは、電子書籍などの画面表示に適し、かつ誰もが長い文章を楽に読めるもの、といった面を重視しました。その点でヒラギノUDは、従来のヒラギノを補完する位置づけにあります。

二年前にヒラギノUDを企画した際に、既に画面表示を意識していたのでしょうか?

三橋: 画面表示に適したフォントの必要性はもっと前から意識していました。携帯電話の解像度がどんどん上がっていく中、2007年に登場したiPhoneは、ヒラギノ角ゴシックを2書体搭載し、従来の日本の携帯と比べてテキスト表示がとても奇麗でした。その影響で徐々に日本の携帯電話も高品質なフォントを載せたいということで、弊社への問合せも増えていました。そういう意味では二年前でも十分に背景は出来上がっていたと思います。

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iPhoneアプリの青空文庫リーダー「SkyBook」でヒラギノUD明朝W4を表示させた例


具体的に今回どういったデザインを加えたのでしょうか?

三橋: 他社のUDフォントの多くは、ゴシックのふところを大きくし、字面を大きくし、濁点・半濁点を大きくし、ゲタ(漢字の縦棒が下に突き抜けた部分 *スライド参照)をとって見やすくしたというものでした。同じやり方でヒラギノのUDを作るという選択肢もあったのですが、結果的には違うアプローチになりました。まず、ゲタは取らないことにしました。ゲタを取ると、安定感が無くなると考えたからです。ゲタを取ることで字面が大きくできるので、ディスプレイ上でつぶれにくくなるという利点はありますが、それが読みやすさに繋がるかと言われれば疑問だったんです。

また、ヒラギノUDはもともと文字がつぶれにくい特性を持っています。1993年に出したオリジナルのヒラギノは、ビジュアル雑誌の本文や見出しに使われることを想定して、グレートーンを揃えるように作られました。ヒラギノでは文字を並べても均一な濃淡に見えるように、アキを均等にすることを徹底しました。その部分は今回のUDでも同じく継承された所です。文字を小さくしても、アキが均等なので白い部分が潰れにくいのです。明朝は横線と払いなどの先端を太くし、解像度の低い表示媒体でも横線が消えにくくしました。

字面もやや小さくしています。字面を大きくすると隣り合う文字と干渉し、長文が読みづらくなると考えたためです。

岡澤氏 (以下敬称略): そもそもヒラギノの漢字の字面は大きめなんです。今回仮名のデザインを変えたので、テンポを合わせるという意味で、小さくしました。大体98%くらいに小さくしたと思います。

  • ヒラギノUD角ゴシック W4
  • イワタUD ゴシック本文R
  • UD新ゴR


画面表示ということについては、WindowsとMacという二つの大きな環境の違いがあると思うのですが、そういった異なったOSに対する意識はありますでしょうか?

鳥海氏 (以下敬称略): 字游工房の立場からすると、ずっとMacしか見てきてないんですよ。この間、永原さんが話してたことだけど、画面表示の文字の美しさで言えば、Macは表示させる技術は進化しているが、Windowsの場合前のバージョンをサポートしないといけないとのでそういった面はあまりいじれない。例えばウェブフォントがMacで奇麗に表示されてもWindowsで奇麗に表示されないことがある。どうも画面表示のことを考えると、Windowsがある限り無理なんだと、おっしゃってた。それ聞いてああそうなんだと。ずっとMac使ってきたので、Windowsでどう表示されるとか使ってないから分からないんですよ。だからほとんどMacで奇麗に見れればいいと思う訳です。

岡澤: 最終的なアウトプットとか、画面でどう見えるかとかはあまり考えないんです。制作しているときに見ているものから、それほどズレないんだろうなと思ってやっています。

岡野氏 (以下敬称略): 文字の画面上での表示は環境によってレンダリングが変わるので、あまり特定の環境に合わせることばかり気にしてると、汎用性が失われてしまう気がしますね。

三橋: WindowsとMacの興味深い違いとして、Windowsの場合は、ちゃんとその文字が文字として読めないといけない。小さいサイズで表示されても、正しく読めることがとても重要なんです。Windowsは一般企業でも広く使われているし、銀行のオンラインシステムなどでも使われている。そうすると、ある文字が別の文字に見えてしまったら、それが重大なクレームにつながることもある。だからWindows Vista以降に標準搭載されている「メイリオ」というフォントの場合は、「ヒンティング」(※1)と呼ばれる画面の解像度に合わせて文字を読みやすくする処理の実装に多大な手間をかけているようです。Macの場合は、文字が間違いなく読めることよりも美しく快適に読めることを重視している。その製品がどこで使われるかによって、企業の判断が変わってくるところでもあるのです。

(※1)ヒンティング
アウトラインフォントをディスプレイに表示するためには、ビットマップ画像に変換(ラスタライズと呼ぶ)する必要がある。このとき、文字がつぶれないよう表示解像度に合わせて文字を変形させる処理をヒンティングと言う。フォントに実装されたヒント情報をもとに、文字を構成する線の幅を揃えたり、位置を変えたり、画線を減らすなどの処理を行う。



  • ヒラギノUD角ゴシック W4
  • イワタUD ゴシック本文R
  • UD新ゴR


ヒラギノUDでは三つのスタイルを変更しても、また二種類のウエイトを切り替えても、レイアウトが崩れない。それらが同じカーニングテーブルを共有している作りになっていると聞いたのですが、どういった経緯があるのですか?

三橋: 実は初めはそういう話はまったく無かったんです(笑) 。あれは岡野さんからのアイデアでしたよね?

岡野: そうですね。きっかけになったのが二つありました。一番最初に岡澤さんからUDフォントの話を聞いたときに、オリエンテーションをして頂いた中で、約物を揃えたいという話がありました。和文の領域に入っている括弧と、欧文の領域に入っている括弧は異なるものです。一般的には欧文の方はアセンダー、ディセンダーまで覆われるようにわりと大きめに出来ていて、和文はまた和文に合わせた括弧の大きさがあるんです。メールを打ったりしてる時に、その二種類の括弧が混ざると随分気持ち悪かったりするんです。UDではこれを統一しようとしました。これまで、文字は読む人のことを考えてきたと思うんですが、今では多くの人が日常的にメールを打ったりする中で、自分で表示させて使うという需要も多くなってきたので、それがヒントになりました。

もう一つは、UDというと一般的には弱視者の方を考えたものとかあると思うのですが、そういうのとは違って、太さを変えても字幅が変わらないなどという「使いやすさ」という面を考えました。字幅を揃えているというのは海外でも事例としてはあるんですが、自分でも少しウェブの仕事をした経験などで、レイアウトが崩れにくいというのは、使いやすいんではないかと思ったんです。またウェブなどでは、ダイナミックに文字を変更したりすることが可能で、スタイルを変えてもレイアウトが崩れないということは、それはメリットだし、そういうユニバーサルという意味があってもよいのではないかと思ったのでアイデアとして提案させて頂きました。

すんなりそのアイデアは通ったのでしょうか?

岡澤: すぐやりましょうということになりました (笑)。

岡野: 今回予定としてW4とW6の二つのウエイトのみ考えているということでした。普通のヒラギノ角ゴだとW1からW9まであってかなりレンジが広いので、その字幅やカーニングを揃えるというのは、欧文でもちょっと無理なんですが、二種類だったらそんなに無理しなくてもいけるんじゃないかと思いました。

  • ヒラギノUD角 ゴシック
  • ヒラギノUD 明朝
  • ヒラギノUD 丸ゴシック

今回のUDフォントの制作スケジュールとそのプロセスを教えて頂けますか?

三橋: 今回、明朝と角ゴと丸ゴを作ったのですが、それぞれ独立したスケジュールとして走らせます。字游工房では主に文字のアウトラインデータ制作と欧文ペアカーニングテーブルの設定を担当し、大日本スクリーンではそれらを受け取ってOpenTypeフォントとして仕立て上げ、リリースする、というプロセスになります。おおまかなスケジュールは...

岡野: 2008年の9月頃に話を頂いて、11月に試作して、その年度内に納めるということでしたよね。

岡澤: 納品したのは、2009年の2月いっぱいくらいでしたよね。ヒラギノUDは、だいたい4ヶ月くらいかかったと思います。

鳥海: フォントってそんなに早くできるものなの?って思うでしょう。

三橋: まったく新たに作ったのは、漢字以外の仮名と記号、約物、英数字なんです。

鳥海: でも、明朝のW6は結構いろいろやりましたよね?

岡澤: 漢字はプロジェクト中ずっと裏で走ってました。

三橋: 明朝の漢字のW4はすでに開発したものがあったんですが、W6のほうは無かったので、七千字くらいを字游工房さんに作ってもらわないといけなかったんです。それは作業的にかなり大変だったとこですよね。

鳥海: 骨格はヒラギノW6を元に横線を太めたり、払いの先端を太くしたりしたんです。それをコンピューター使って半自動的にやるんですが、エラーの部分などを調整するという作業があったんです。

半自動のプログラムとは具体的に何を使っているのですか?

岡澤: 使っているのは、URW (http://www.urwpp.de/deutsch/home.html)というドイツの会社のフォント開発ツールです。日本の大手新聞社も使ってるし、ヒラギノもそれで作られましたし、業界でよく使われています。そのツールで日本語も作れるのですが、自動で横線を探し出して、その線に対して設定した比率で太めるということをしました。いったんそのバッチ処理を全部のファイルに走らせる作業をする。そしてコンピューターが上手くやってくれなかった部分を手で調整するという流れです。字游工房では漢字100文字単位で管理していて、そのファイルごとにバッチ処理をかけています。

三橋: もともと、フォントの横線の太さを揃える為のツールをURWが持っていて、10年くらい前に大日本スクリーンからURWに依頼して、そのツールをもとに漢字の横線の太さや払いの先端の太さを自動で変更するものを作ってもらいました。

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URWのツールにてバッチ処理された"左"という漢字


鳥海: これが実際プログラムをつかったものです。黒い線が処理する前、赤いほうが処理した後の線です。

三橋: 上の方の横線は下に太く、下の方の横線は上に太くするようになってるんです。

鳥海: さっき言ったエラーの部分というのは、漢字の斜めの線は太くならないんです。また、先端など下に太くなる分大きくなっちゃって、そこを上げてあげないといけない。

岡澤:他のウエイトのパーツを貼付けるとか、バッチ処理のパターンを色々試しましたね。結局これになったんですよね。

デザイナーお三方のそれぞれの役割を教えて下さい。

岡澤: 鳥海さんが明朝の仮名をやって、丸ゴと角ゴの仮名を僕がやって、岡野さんが欧文全部ですよね。漢字に関しては、字游工房で自動処理した後、外注さんにやってもらいました。

鳥海:外注さん、といっても私より経験あるような元写研の人も含め何人かいらっしゃって、微調整する作業をして頂きました。文字作る時は、普通種字ってもんを作るんです。12文字とか400字とか元となる字を作ってから、それと比較しながらやるんですが、今回は作ってないと思います。

岡澤: 仮名は、まずオリジナルのヒラギノを下に敷いて、鉛筆でスケッチを書きます。そのスケッチをスキャンして、それをコンピューターでアウトライン化します。アウトライン化は一文字だいたい5分から10分ですね。使ってるのは前述のURWという会社のBezier Editorです。そして、コンピューターで書いた文字をプリントアウトして調整していくようなかんじですね。UD角ゴシックも、元のヒラギノとこぶりなゴシックを見ながら作ったんです。

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鳥海さんによる【かな】のスケッチ画像

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岡澤さんによる【かな】のスケッチ画像


文字を作り始める時は、骨格から作るんでしょうか、或はアウトラインから作るんでしょうか?また、制作の過程を教えて下さい。

鳥海: 私は骨格から作りますね。仮名を作れって言われたら、まず細いペンでざざっと書く。といっても、もうちょっと複合的にやっていて、ストロークだけ書いてる訳でもないんです。どこに力いれて、打ち込んで速くなって、止めて、という調子をストロークに入れていく。だから書かれたものにはストロークなんだけど、そういう気持ちが入ってる。それで今度ストロークにそって筆で書いていき、ちょっとづつレタリングしていくという流れです。

岡野: 欧文でもスピードは大事だと思っていて、速く動かしたときにできる形とかあるのでそういうのを意識しつつ書いてますね。カリグラフィを昔習ってたので、大体そういった動きのことが頭に入っていて、それを意識しながら探りながら書いていきます。全体の基本になる小文字の『o』、『n』や、キャラクターの特徴が出やすい『a』、『g』、斜めのストロークだと、小文字の『y』だとディセンダーと一緒に見れるので割と初めに書きますね。

また、横組みのことを意識して作りたいという岡澤さんからのリクエストもあったので、はじめはもっと横方向を意識したストロークだったですし、サンセリフはヒラギノ角ゴの漢字に合わせて、ストロークの先端も広げたりしてました。途中から僕が思ってたよりも仮名のほうが長文を読むことを意識した感じにより近づいていったので、それにつれて欧文も少し変わっていきました。日本語に入れる欧文の場合、仮名に合わせて作るのですが、UDの時は仮名も同時進行で作っていらっしゃったので、最終段階でもう少し太くするなど調整しましたね。一週間か二週間に一回はお互い見せてやりとりしました。

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岡野さんのスケッチ画像


岡澤: 漢字、仮名、欧文があって一つのフォントなので、骨格やアウトラインのことよりも、文字の大きさのことをすごく気にしてました。それが読みやすさを決める大きな要素となるので、その場その場で比べたい時に持ち寄って組んでみて調整しました。その結果の一つとして、漢字を少し小さくしたりしています。

岡野: 鳥海さんが以前講演でおっしゃってたように、一番太いところを測ったらアルファベット、カタカナ、平仮名、漢字、という順番になっているんですよね。同じように見えるようにしても、厳密に測ったら欧文のほうが太くなるんです。ただ見やすさによってどれだけ欧文を太くするというのは書体によって違います。今回、欧文の太さを仮名に揃える方向にやってたのですが、もう少し欧文を太くしたほうがいいということで最終的に少し調整しました。

鳥海: 少し欧文が目立ったほうがいいと思ってます。あまり全部同じに見えるということは、それ程読みやすいとは思わないですね。文字の中で欧文がそれとして少し目立つくらいがいいと思います。

岡澤: そういう意味で言うと、最初のヒラギノは結構フラットなんですよね。先ほども出てきましたが、写真の横の本文とかに使う目的でしたから、太さが揃っていてグレーが奇麗に見れるのでさらっと読める。最初のヒラギノには、そういう狙いがありましたから。

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欧文プロトタイプ(左)と完成後のデザイン(右)


インターネットの普及も一つですが、ちょっと前と比べて近年ますます読む文章に対する欧文のパーセンテージが少しづつ大きくなっていると思うのですが、そういったことに対する意識はあるのでしょうか?

鳥海: 私たち写植の時代の人たちは、漢字とカタカナ、平仮名は日本の文字としてちゃんとやっていたのですが、和欧混植の欧文は、例えばディセンダーをすごく短く作ってたんですよ。それがだんだんおかしいってことになって、外国の人たちが作ったものが本式だってことで、外国のフォントベンダーからライセンスを受けて、和文と組み合わせるっていう流れで来たんです。ところが最近、私の中では、外国人が作ったものなら何でもいいではなくて、日本人の中にアルファベットをしっかりデザイン出来る人がいて、和欧混植の中の欧文をきちっと作るということがこれから重要じゃないかと思っているんです。岡野さんが今回それをやってくれたような気がしたんです。

岡野: 和文フォントでは従属欧文とか呼ばれてましたけど、平仮名も漢字もそれぞれの起源や変遷があって、ばらばらのものが一つになったと思うんです。今や欧文が入らないと成り立たないものなので、和応混植ということを考えると、欧文も日本語のキャラクターの一つのように考えてます。もちろん、海外のデザイナーの書体もそれはそれでいいのですが、やはり、日本語と組み合わせた時に、大きさやウエイトが揃わないとか違和感が出てくるので、日本語の一つとして欧文を作ってあげてもいいのではないかと思います。

日本語の中での欧文という意味で、一般的な欧文と決定的に違う所は具体的にどこでしょうか?

岡野: やはりどうしてもアセンダー、ディセンダーとかを若干短く調整しないと、行の中での揃いが悪くなります。かといってアセンダー、ディセンダー中心に全体を小さくすると、xハイトも低くなり欧文が小さく見えてしまうので、バランスに気を遣いながら、ややxハイトを高く調整することが多いです。日本語の中の欧文は、同じポイント数で比較すると一般的な欧文よりは大きく見えます。あと、スペーシングも仮名のリズムに合せて作ると、若干ゆったりとしたものになります。また、欧文の中では『H』とか『n』とか縦のラインを持ってるものがリズムを作ってると思うんですが、仮名のアキとのバランスを考えて調整しました。

最後に今後のヒラギノUDの展開はどうなるのでしょうか?

鳥海: UDは今となっては、書体のカテゴリーの一つになった感があります。「視認性」や「可読性」を上げることは相反することではなくて、それらが一体となってより優れた書体が誕生することを期待します。また、UDという言葉が残るかどうか分かりませんが、UD書体 のキーワードとなったいくつかの項目は今後の書体にあまねく反映されるべきものと考えます。

三橋: まずはヒラギノUDをより多くの方に使っていただきたいです。組込み機器での採用事例も増やしたいですね。また、現在のヒラギノUDは、ウエイトバリエーションがW4とW6の各2ウエイトずつしかないので、これをもっと増やしていきたい。企画当初は、UDフォントのカテゴリでは極端に細いウエイトや太いウエイトは要らないだろうと考えていましたが、ヒラギノUDは従来のヒラギノとはまったく別書体というくらい印象が違うので、ヒラギノと同等のウエイトバリエーションが欲しい、という声もあります。さらに充実させていきたいですね。

@ 字游工房 06/12/2010


*今回、各社UDフォントの比較やヒラギノUD文字組例などのスライドは、「言葉のデザイン2010-オンスクリーン・タイポグラフィを考える」第二回にて鳥海さんが講演で使ってらっしゃったものを少しアレンジして、ご本人より提供して頂きました。


製品情報:
http://www.screen.co.jp/ga_product/sento/products/index.html#anchor_universal

書体見本:
http://www.screen.co.jp/ga_product/sento/sample/index.html#anchor_universal



このインタビュー後に、三橋さんと鳥海さんは、人形町Vision'sで開催されていた「原字ものがたりーデジタルフォントの原型」展の座談会に出演予定だったので、慌しく皆さんと一緒に人形町へ移動しました。忙しいスケジュールの中取材に応じて頂いた皆様、この場を借りて心より御礼申し上げます。


三橋 洋一 (みはし よういち)
mihashi.png1967年兵庫県生まれ。大日本スクリーン製造入社後、エンジニアとしてデジタルフォントの開発に携わり、現在はヒラギノシリーズを含むフォント製品のプロデュースを担当。ソフトウエア商品開発部フォント課課長。
http://www.screen.co.jp/font/


鳥海 修(とりのうみ おさむ)
torinoumi.jpg1955年山形県生まれ。多摩美術大学GD科卒業。1979年株式会社写研入社。1989年に有限会社字游工房を鈴木勉、片田啓一の3名で設立。現在、同社代表取締役であり書体設計士。大日本スクリーン製造株式会社 のヒラギノシリーズ、こぶりなゴシックなどを委託制作。一方で自社ブランドとして游書体ライブラリーの游明朝体、游ゴシック体など、ベーシック書体を中心に40書体以上の書体開発に携わる。2002年に第一回佐藤敬之輔顕彰、ヒラギノシリーズで2005年グッドデザイン賞、 2008東京TDC タイプデザイン賞を受賞。京都精華大学特任教授。
http://www.jiyu-kobo.co.jp/


岡澤 慶秀 (おかざわ よしひで)
okazawa.jpg1970年長野生まれ。1994年有限会社字游工房入社。2009年にヨコカクを設立、フリーランスのタイプデザイナーとして活動。


岡野 邦彦 (おかの くにひこ)
okano.gif1971年兵庫県生まれ。1995年京都市立芸術大学デザイン科VD専攻卒業。1995年~2005年株式会社イングアソシエイツ、2005年~ 2008年Type Project参加、2008年Shotype Design設立。2010年9月よりオランダKABK Typemediaコースに留学予定。
http://www.shotype.com


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