jury

「責難は成事に非ず」という言葉がある。これは、読んで字のごとく、「他人の誤ちを責めても物事は成し遂げられない」ということだ。
見た感じ、中国古来の格言とかのように見えるが、小野不由美のライトノベル「十二国記」シリーズの短編集「華胥の幽夢」の中の一遍に出てくる登場人物・砥尚の言葉だ。2001年くらいの本なので、故事でもことわざでも何でもないのだが、十二国記シリーズには、ラノベのくせしてこういう大事な言葉がちょこちょこ出てくる。アニメ版を嫌がる息子に無理矢理見せる程度にはバイブルだ。

もっとライトな言い方をすると、否定だけしても何も生まれない、みたいなことになる。よく会議なんかで言われる「否定するなら対案出せ!」とかにもまあ通じる。この砥尚という人物は、前の王の政治を否定して革命を起こし、自分が王になるのだがその後のビジョンを示すことができず行き詰まった結果、この「責難は成事に非ず」という言葉を遺して亡くなってしまう(このファンタジー小説の中では、王様は国政に失敗すると死んでしまうことになっている)。
まあしかしこれは全くその通りで、出口の無い否定というのは、世界をシャットダウンすることにつながってしまう。

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