書籍「映像作家100人」の番外編として、映像業界を取り巻く著作権の状況についてのトークセッションが9月5日、amuにて開催される。

音楽、写真、美術、グラフィックデザイン、プログラミング、WEBなど、ありとあらゆる表現を抱擁する「映像作品」は、娯楽としての映画のみならず、革新的な実験映像やメディアアート、CMに代表される広告、広告性と作者の独創性を掛け合わせたMVなどのメディアで活躍し、現代の表現においてなくてはならないコンテンツへと成長した。

メディアの急速な成長に相反し、映像を実際に制作する環境には改善するべき課題が多々ある。CGアニメーションやWEB広告、MVなどの若いメディアは、日々大量の仕事を受注し、納品するスピードを優先するため、成果物の権利の有無や分配について先だって話し合い、結果を明記した契約書を交わしてから仕事を開始する風習がない(風習として根付かない)ことも、大きな問題の一つ。

本イベントでは、映像の著作権や著作隣接権について見識のある方々をゲストに招き、現状を打破するにはどうすれば良いか、映像作家が考えるためのトークセッションを行う。

ゲストは、津田大介(ジャーナリスト/メディア・アクティビスト)、福井健策(弁護士(日本・ニューヨーク州)/日本大学芸術学部 客員教授)、丹下紘希(映像/アートディレクター)。

映像作家たちは、手がけたMVを「自分の作品である」と声を大にしていえるのか。著作権は認められるのか。映像の著作権とはなにか、

共に学び、考える有意義な場となりそうだ。
定員は45名、申込が必要なので興味ある方はお早めに。


Information

映像作家100人プレゼンツ
「映像の著作権について考えよう」トークセッション

http://www.a-m-u.jp/event/2012/09/eizo100.html

2012.09.05(水) 19:00〜21:00(開場 18:30)
会場:amu(東京都渋谷区恵比寿西1-17-2)
定員:45名
入場料:1,200円
共催:ビー・エヌ・エヌ新社 + amu(AZホールディングス)

【ゲスト】
津田大介(ジャーナリスト/メディア・アクティビスト)
福井健策(弁護士(日本・ニューヨーク州)/日本大学芸術学部 客員教授)
丹下紘希(映像/アートディレクター)

【進行】
林永子(ライター)

【プログラム】
1)映像の著作権の現状
2)音楽など、映像に関するその他の表現の著作権の現状
3)映像作家は著作権者となり得るか
4)Q&A

※「映像作家100人」
2006年から始まり、日本の映像作家の仕事を紹介する書籍として年一回刊行されている年鑑です。2012年度版は4月末に出版されました。

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発行:ビー・エヌ・エヌ新社 http://www.bnn.co.jp/
編集/制作:4D2A http://www.4d2a.com/

Profile

津田大介(つだ・だいすけ)
ジャーナリスト/メディア・アクティビスト
1973年生まれ。東京都出身。早稲田大学社会科学部卒。関西大学総合情報学部特任教授。早稲田大学大学院政治学研究科ジャーナリズムコース非常勤講師。J-WAVE「JAM THE WORLD」ナビゲーター。NHK「NEWS WEB 24」ネットナビゲーター。TOKYO MX「ゴールデンアワー」木曜MC。一般社団法人インターネットユーザー協会(MIAU)代表理事。メディア、ジャーナリズム、IT・ネットサービス、コンテンツビジネス、著作権問題などを専門分野に執筆活動を行う。ソーシャルメディアを利用した新しいジャーナリズムをさまざまな形で実践。ポップカルチャーのニュースサイト「ナタリー」の創業・運営にも携わる。主な著書に『Twitter社会論』(洋泉社新書y)、『未来型サバイバル音楽論』(中公新書ラクレ)、『情報の呼吸法』(朝日出版社)、『動員の革命』(中公新書ラクレ)ほか。2011年9月より週刊有料メールマガジン「メディアの現場」を配信中。

福井健策(ふくい・けんさく)
弁護士(日本・ニューヨーク州)/日本大学芸術学部 客員教授
1991年 東京大学法学部卒。1993年 弁護士登録。米国コロンビア大学法学修士課程修了(セゾン文化財団スカラシップ)など経て、現在、骨董通り法律事務所 代表パートナー。著書に「著作権とは何か」「著作権の世紀」(共に集英社新書)、「エンタテインメントと著作権」全4巻(編者、CRIC)、「契約の教科書」(文春新書)ほか。9月、光文社新書より新著刊行。専門は著作権法・芸術文化法。クライアントには各ジャンルのクリエイター、劇団、出版社、プロダクション、音楽レーベルなど多数。東京藝術大学ほか非常勤講師、think C世話人、国会図書館審議会ほか委員・理事を務める。
http://www.kottolaw.com Twitter: @fukuikensaku

丹下紘希(たんげ・こうき)
映像/アートディレクター
映像制作会社Yellow Brainとデザインチームマバタキ製作所代表。音楽映像をPromotion VideoではなくMusic Videoと主張。大量のMVを手掛ける。MVにおける映画製作者の権利を問い続け、レーベルの垣根を越えて2009年にDVD作品集「TANGE KOUKI VIDEO COLLECTION」の発売を実現。近年は映像による現実感の喪失を問題視し、実感のある活動としてデザインのアートディレクションや保育園のサインデザイン、アートイベントの開催や作品の発表など映像の枠を超えてボーダレスに活動している。

林永子(はやし・ながこ)
ライター
1974年生。武蔵野美術大学映像学科卒。音楽専門チャンネルSPACE SHOWER TVの番組およびMVの制作会社に勤務した後、MVに特化したライターとして独立。2002年より「コマーシャル・フォト」を中心とした広告映像誌、カルチャー誌等で執筆活動を行う。2005年よりサロンイベント「スナック永子」を主催。2007年には日本初となる、クリエイター名で検索可能なMV、CM、オリジナルフィルム等のストリーミングサイト「Tokyo Video Magazine VIS」を立ち上げる。2010年、広告映像のインターネット公開が普及すると同時に閉鎖。以降、現代の映像シーンについての執筆、イベント、講義等を行う。「映像作家100人」では巻頭特集の執筆を担当。