《とおくてよくみえない》2011 年 / 広島市現代美術館での展示風景 / 撮影:中尾俊之(CACTUS)

今年の始めに横浜美術館で行われた、高嶺格による首都圏初の大規模な個展「とおくてよくみえない」(CBCNET内記事)。
横浜美術館との共同企画で準備が進められていた、広島市現代美術館での展示が現在開催中だ。

高嶺格(1968 年生まれ)は、映像や音、コンピュータを用いた仕掛けなど、ニューメディアを取り込んだインスタレーション作品、さらにパフォーマンスなど、身体と表現を結びつける作品を次々発表してきた。
90年代にダムタイプのパフォーマーをつとめ、ダンサーや音楽家とのコラボレーション、また近年は自身が自ら舞台を手がける演出家として活動するなど、ジャンルを越境する表現者として注目される活動を展開している。

美術館のコレクションから高嶺が選んだ作品と、高嶺による映像を組み合わせる作品《物々交換論》、本展では広島市美術館のコレクションとの共演という新バージョンの展示も予定されている。
また、市民とのワークショップから完成した新作で、展覧会のサブタイトルでもある《とおくてよくみえない》など、広島での開催ならではの展示内容も是非注目したいところ。

日常から沸き上がる疑問に向き合い、これに取り組む過程をひとつの作品として昇華させていく高嶺。
エコロジーやリサイクルなど現代社会が目を向けるキーワードを反映していく作品は、ひとりの表現者として社会の不条理に向かう、等身大の問いかけであり挑戦でもある。
横浜美術館での展示をご覧になった方でも、各作品新たな展示バリエーションが展開されているとのこと。是非足を運んでみてもらいたい。

《God Bless America》2002 年 / 映像作品(イメージ)


Information

高嶺格「とおくてよくみえない」
http://www.hcmca.cf.city.hiroshima.jp/web/takamine/

会期: 2011 年4月23日(土)〜7月10日(日)
   10:00〜17:00
   ※5月3日(火・祝)は午後7 時まで開館延長
   ※入場は閉館 30 分前まで
   ※月曜休館
会場:広島市美術館(広島市南区比治山公園1-1
http://www.hcmca.cf.city.hiroshima.jp/web/index.html

観覧料:一般 1,000(800) 円、大学生 700(600) 円、高校生 500(400) 円
     ※ (  ) 内は前売りおよび 30 人以上の団体料金


主催: 広島市現代美術館、中国新聞社
後援:広島県、広島市教育委員会、広島エフエム放送、尾道エフエム放送

Profile

高嶺 格(たかみね・ただす)
http://www.takaminet.com/
1968 年、鹿児島県生まれ、滋賀県在住。
京都市立芸術大学工芸科漆工専攻卒、岐阜県立国際情報科学芸術アカデミー(IAMAS)
修了。1990 年代初頭よりパフォーマンスを含む活動を始め、ダムタイプの作品にも参
加。映像、粘土、陶、インスタレーション、パフォーマンス等さまざまなメディアを用
い、分野を横断する表現を行う。振付家・金森穣のダンス作品の舞台美術、音楽家・大
友良英とのコラボレーションのほか、自らが演出を手がける舞台作品も発表し、演出家
としても活動する。2011 年にはIKON ギャラリー(イギリス)での個展を控える。
主な作品所蔵先に、東京国立近代美術館、京都国立近代美術館、金沢21 世紀美術館、
熊本市現代美術館、横浜美術館などがある。