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先日スタートしたSOUR新曲『Life is Music』ミュージックビデオ制作プロジェクト。クラウドファンディングを導入して、こんなミュージックビデオを作りたいので、支援してくれー!ってものなんですが、見事目標金額達成っ。そして残り時間が5時間となっている。

仲のよいプロデューサーさんからは、クラウドファゥンダーの井口さんですか?っと電話で毎回ちゃかされるのだが、その感じも何となくわかる。このオモテナシの精神がある奥ゆかしい日本国で、クラウドファンディングを使ってクリエイティブをやるっていうのは、何となくそんな感じになっちゃうのだ。ちょっと照れる僕に対し、このプロジェクトのリーダーPARTY川村さんの背中を見ていていつも凄いなと思うのは、言葉がいつも素直で明快だ。面白いもんを作ろうとしていて、お金が足りないのだから、それを望んでいる人達から募れば良い。そういったシステムがあるのだから活かすべきだ。…誠に正しい。クリエイターとして表に立つ事の責任と覚悟をいつも教えてもらっている。

GREENFUNDINGの沼田さんに頼まれて、クラウドファンディングとは何か?という映像を作っている最中にこの企画がスタートしたのだが、ぼや〜っとコンテを考えている段階で気づいた事がある。クラウドファンディングって凄く画期的なシステムのように聞こえるけど、結構普通のお金のやりとりじゃない?ということ。もともとお金は価値を交換する為の道具でしかない訳で、作りたいものがある、それを望む人がいる、だから価値を交換する。まるで当たり前の事の様で不思議なのだ。映像をつくれる能力がある僕が作品に込めれる価値と、お金を払える能力がある投資家さんが作品に込めれる価値の、イコールを可視化できるという、インターネットを持って現代に蘇った、超古典的な価値のトレードだと理解している。

何よりも、僕がこのクラウドファンディングの先に見る可能性は、この『直接』的な両者のやりとりにある。『間』という概念がない。この業界において、この『間』というものが力を弱めたら、どれだけの事が変わってくるだろうと身震いが起きるのだ、が、、何もこの業界の社会的構造をぶちこわして末端でモノ作りをしているクリエイターが儲けようぜ!と言うつもりはない。大事なのは、作り手が、自分が作るモノが一体誰に望まれて作っているものなのか、一体どれだけの価値があるのかのリアリティーを把握できる という事にあると思う。

僕の同期や後輩のデザイナーが、今やっている仕事の予算がいくらの仕事なのか、会社にどれほどの利益をもたらすのか、知らないで作っていると聞いてビックリする事がある。よくそれで作り続けれるなぁと、そのモチベーションの在り方に関心してしまったりするのだが、仕事に追われる毎日、とにかく忙しいのだからそこまで気が回らないのも頷ける。しかしそのクリエイティブを与えられている感じがヤバいと思うのだ。どんな価値を生む仕事なのか、自分がやるべき仕事なのかが判断できない。構造に従うということは、未来にも同じ構造を作り上げているという事を理解して欲しい。これって誰が得するの?という仕事が渦のように業界を駆け巡っている事態は、何者でもない僕ら作り手が生んでいる事だと思うのだ。

今一度、自分が作る事の意義を皆が再確認し、必要とされるモノを作る!無駄なモノは作らない!そんな気持ちがよいモノづくりの環境を、作り手から意識していければよいなぁと思っている。そうしたらきっと、緊張感を持ってモノを作る、すなわち良いモノが生まれる、=ハッピーな良いモノづくりの循環が生まれてくると思うのです。必要とされたモノを作り、それが喜ばれる事こそ、作り手にとって一番嬉しい事だと思うから、クラウドファンディングを沢山の人たちに利用してもらって、是非盛り上げて欲しいなぁーと思っている。このプロジェクトの成功が、そんな一つのキッカケになってくれれば幸いだ