グーテンアーベント!!!!
ということで大好評海外お役立ち情報満載yang02ブログですが、1月末にミュンヘン行ってバルセロナ帰ってきて2日後に今度はベルリンに2週間ほど行ってきたのでどんなんだったか書いときます。主な目的はTransmedialeで、ヨーロッパの主要メディアアートフェスティバルについて調査という名目の立派な研修の一環でります。
街歩いてみた印象、高いとこに巨大なボムがたくさんあったし、表現の幅も多様で量もハンパじゃなくて、バルセロナよりストリート盛り上がってる感じだった。


 

今回もopodoで航空券探して、一番安かったeasyjetの€70ぐらいのやつを購入。最初easyjet使った時どこがeasyなんだと超腹立ててたけど、iPhoneアプリ経由でいろいろやると超楽。チェックインがけっこう前からオンラインでできて、それやっとけばカウンターとか行く必要なくて、iPhoneでボーディングパス表示させてゲートで見せればOKなので離陸1時間前ぐらいに空港到着とかでも余裕。
滞在は、(今はなき)葵ビルベルリン支部こと菅野さん+イタルくん家にお世話になった。(ありがとうございました!)
Transmedialeの時期ということもあって、ベルリン滞在中は毎日何かしらのイベントに足を運んでいて、とにかくイベントが多くて非常に充実した滞在になった。
 
  

Sonice Deveropment スタジオ訪問&インタビュー

今回の滞在では、展示見る機会と同じぐらい、オープンスタジオや個人的なつながりなどで、スタジオに訪問する機会が多くて、その中でも今回の滞在成果の筆頭となるのがこのSonice Developmentへのインタビュー。
すでにCBCNETでちゃんとしたインタビュー記事上がってるのでまだ読んでない人は是非。長いです。

http://www.cbc-net.com/topic/2014/02/sonice-development/
 
「こんなに似たような形式で似たような考え方で似たようなことやってる人たちがいるのかうおーーー!」てなって英語インタビューというか、インタビューすら初めてだったけど次の日から勢いでがーっと文字起こしはじめて、でも思いの外すごい大変で記事できるまで3日ぐらいかかった。

記事には技術的にどうこうみたいな話は一切乗せてなかったんだけど、その辺の興味深い話もちょこちょこ聞いていて、例えば彼らの新作で壁に吸い付く形態のドローイングマシン「Vertwalker」の底の円形の部分は壁に接する表面積が大きいほうが、実はしっかり吸い付くようで、重さのことを考えて最初は円の径を小さくしてたんだけど上手く吸い付かなかったみたいな話を聞いて二人で「へーーー」てなったりした。あとモーター何使ってんのーとか、外装どうやってプリントしてんのーとかそういった話。

海外の(あるいは海外で活動してる日本人の)同じ世代の同じようなことしてる人たちは、どういう風なモチベーションでどうやって活動(survive)してるかというのはとても気になるし、単にスタジオ見せてくださいっていって訪問してもちゃんといろいろ話せなかったりするので、今後も自分が興味持った人には”インタビュー”という形でどんどん突撃していきたい。と思った。外人だとすごい英語の勉強にもなるし。
 
 

Art Hack Day (非公式参加)

今年のTransmedialeの目玉イベントがこのArt Hack DayというイベントでCBCNETブログのこちらの記事に詳しく書いてありますが

「Art Hack Day」はトランスメディアーレとは別のLEAPという団体が主催しており、過去に何度も開催しているワークショップ・実験的なイベント、ハッカソンのようなものだろうか。今回のトランスメディアーレのテーマである「Afterglow」に沿って、100名近いアーティスト・ハッカーたちが集い、3日間コラボーレションをしながら作業をし、最終的には展示に持っていく、というなかなか気合が入っているイベント。そしてその展示が、トランスメディアーレのオープニングと合わせて披露される、というものだ。日本からはエキソニモ、萩原俊矢さん、渡邉朋也さん、谷口暁彦さん、毛利悠子さん、BCCKSもやっている松本弦人さんが参加。
http://www.cbc-net.com/log/?p=7850

ということで、ぼくも菅野さんもヨーロッパにいるし、一応メディアアート的なことやってるからもちろんこんなイベントには是非もんで参加したかったわけです。で、2年前に「DRAWING IN THE AGE OF ELECTRONIC」というLEAPが企画したグループ展に呼ばれて参加してたし、日本から参加する人たくさんいるし、オープンコールもしてたし、参加できないわけがないぐらいに思ってていざ現地入りして、最終的にもらった回答は「Nein」(ノー)。
しょうがないことだけど、これには自分も菅野さんもけっこうショックを受け、だけどこれがメインの目的で来たといっても過言ではなく、何もしないものちょっと悔しかったので、事前に準備して持ってきてた中身空っぽの監視カメラ風にしつらえたKinectを使ってArt Hack Dayをハックするということをやってみた。
 

カメラに映る物体との距離を測れるセンサーカメラとして知られるKinectは、Xboxの非接触型コントローラーとして発売され、当初からメディアアート界では新しい可能性を秘めたディバイスなんつって注目されてて、多くのハッカーやアーティストが我先にとこぞってライブラリをオープンソースで作成し、今では多くのプログラミング言語で比較的容易に扱えるようになっていて、インタラクションを有するメディアアート作品にはデファクトスタンダードな存在になってきてます。
ので、(特にメディアアートの展示会場においては)Kinect自体のあの横に長い独特な形が「ジェスチャーが入力になって何か起こります」という意味を持った記号になるわけです。中身からっぽの偽Kinectでも。
Art Hack Dayオープン当日は人の数がものすごくて諦めて、次の日、この偽Kinectを動いてない作品のところに勝手に設置。お客さんは、カメラにむかって手をふったり、コレ系のメディアアートでおなじみの通称”メディアアートポーズ”キメたりしてて、反応が予想通り過ぎて単純に見てて面白かった。
来てるお客さんはさすがにリテラシーが高い人が多いようで、一人すごいギークそうなおじさんがコードがどこにもつながってないことに気付いて、隣にいた友達に「これ無線でコンピュータとつながってるぞ!」的なことを言っててビックリした。

ちょっとたち悪いイタズラみたいにも見えるけど、メディアアート作品 = インタラクションみたいな感じで、とりあえず鑑賞者からの入力を得て反応するみたいな形骸化した作品が世の中には多いので、インタラクションそのものについて考えるきっかけを与えるという意味で、こういう試みは有効なのではないかと思う。
 
 

インターネットヤミ市 in ベルリン


その後、Transmediale最終日に開催された「インターネットヤミ市 in ベルリン」に参加し、偽Kinectを世界初の「Fack 3D Security Camera」としても機能するプロダクトとして販売。(元々バルセロナで、blablabLABが「Be Your Own Souvenir!」というプロジェクトで使ってたKinectの外装を捨てようとしてたものをもらって、世界初偽3D防犯カメラとして作ってたので。)€30ではなかなか売れず、€10に下げたところ、リアルダウンロードの品に困っていたインターネットおじさんたちが買ってくれた。(ありがとうございました!)
 

あとヤミ市では「ツイート代筆」というサービスを展開。ツイートしたいテキストをヒヤリングして、英語の場合はOS yang02のあまり精度の良くない翻訳機能にかけて日本語にして、ツイートをyang02の書で代筆するというサービス。€0.5という低価格設定が功を奏して、外国人の方々が「What a beautiful calligraphy」なんつって(たぶん)カジュアルに買ってってくれた。外国人をターゲットにしたいやらしい商売と見ることもできます。

てことで、ヤミ市は出展者側だったもんで、インターネットおじさんとカンパニーファックさんが盛り上がってるとことか、他の出展者のブースは十分に見ることができなったのが残念でした。
 
 

その他スタジオ訪問

Sonice Developmentのスタジオの他にも何箇所か行ったので簡単に紹介。
 

Bethanien

http://www.bethanien.de/

ベルリンのアーティスト・イン・レジデンスのスペースとして割と有名らしく、トーキョーワンダーサイトと交換レジデンスプログラムで提携してたりする。ベルリン市内に大きい施設が2つあって、この時行ったのは新しくできたほうのベタニアンのオープンスタジオ。3階建の建物で、一階が割と広いギャラリースペースになっていて、上の階にアーティストのアトリエ兼寝泊まりできる部屋がたくさんある。所属してる作家に日本人が何人かいたっていうのもあるだろうけど、ヨーロッパでは一つの場所にこれだけ多くの日本人が集まってるの見たことないってぐらい日本人たくさんいてビックリした。ホントにキレイでしかりしたアート施設といった印象で、賃料はけっこう高いらしい。けどその分活動のサポートも手厚くしてくれるらしい。
 

ETIB (Electronic + Textile Institute Berlin)

http://etiberlin.wordpress.com/

ファビエンヌとビクトリアが主催するニットギークのための組織。菅野さんがニッティングマシンのハックを依頼されて、作業場としてもよくつかってるらしく連れてってもらった。噂通り、おびただしい数の見たことないようなニッティングマシンがゴロゴロしてて(というかニットマシン自体あまり見たことなかったけど)、概算で15~20台ぐらいのニッティングマシンがあった。
詳しくはこちらのブログに → http://www.cbc-net.com/blog/kannoso/2013/10/23/etib/
 

Studio+Plus “running jumping or flying”

http://studioplusberlin.com/


こちらは滞在4日目に行った、日本人アーティスト4人でシェアしてるスタジオのオープンスタジオ兼グループ展。高嶺格さんとか、メディ芸術祭香港展で一緒だった田口さんとかも出展してて(現場にはいなかったけど)、所属してるアーティストは二人ほど作品知ってる人だったし、他のアーティストの作品はベタニアンで見たようなものすごいコンセプチュアルな感じのとっつきにくい作品ではなく、(同じ日本人だからなのかもしれないけど)個人的には見易い展示で良かった。
 

NODE Berlin

http://nodeberlin.com/

今どき珍しく、紙媒体のデザイン仕事をぶれずにしっかりやっている、硬派だけどオシャレなデザイン事務所(というイメージ)。栗田さんに誘われて連れて行ってもらいました、ありがとうございます。ボスのサージは気取らない感じですごい良い人だった。あと、自分が滞在してるバルセロナのHangarに所属してるアーティストの本のデザインしたことあるらしく、本見せてくれてビックリした。It’s a small world!!


記念撮影
 
 

展示&イベント

展示、ライブイベントもいろいろ行ったけど、いくつかかいつまんで簡単に。
 

N.K.

http://www.nkprojekt.de/

ベルリンのノイズ箱として知られる(?)N.K.(Natur-Katastrophe, Non Korrosiv, Neue Kölln)。

NK is an artist run independent non-profit organization that is dedicated to Sound Arts.

とのこと。見に行ったのはかなり実験的な即興演奏のノイズイベントで、大学の学部時代、サウンドアートコースに所属してた時にさんざん聞いてた感じの類の音で、すごい懐かしい気持ちになった。ものすごいノイズなのに、耳が聞き慣れてるようで非常に聞きやすかった。
 

CTM @Berghain

http://www.ctm-festival.de/festival-2014/editorial/

毎年Transmedialeと同じ会期でやってる、音にフォーカスしたフェスティバル。Transmedialeと提携した形で開催してるけど、一応別ラインのイベント。Transmediale会期中は毎日何かしら、どこかでコンサートやクラブイベントが開催されてて、滞在中一度だけ、刀根康尚さんが出演する「Editions Mego III」というライブを見に行った。刀根さんのライブは本来尺1時間あったはずなのに、これから盛り上がってくるだろうなっていう30分ぐらい経過したとこでいきなりブツっと音が切れてシレっと終わってしまったけど、あれは機材トラブルかなんかに違いないと思っている。一番最後のraster-notonに所属してるCOH + Tina Frankて二人組のライブ(上の動画)がめちゃくちゃかっこよかった。
 

ANALOG @Blain|Southern Gallery

http://www.blainsouthern.com/exhibitions/2013/analog

カールステン・ニコライが参加してた、サウンドアート系のグループ展。ギャラリーという言葉から創造する所謂狭いスペースのこじんまりとした感じではなく、ひろくて天井がものすごい高くて、ギャラリーの空間そのものがまず良かった。ニューヨーク行った時KAWSの巨大彫刻を見たMary Boone Galleryに近い印象。展示内容も個人的に好きな感じで良かった。
 

Boros Collection

http://www.sammlung-boros.de/

ベルリンのメディア王が個人で持ってる現代美術のコレクションを一般に公開してるところ。完全予約制で古屋さんが予約してて一人分空いてるとのことだったので動向させてもらった。昔シェルターだった建物で、戦争後若者が不法占拠してレイブパーティー開いてたりしてた場所らしく、館内にはよく見ると落書きの跡があったりする。ちなみに建物の一番上の階にメディア王が実際に住んでるとのこと。
展示作品はまぁ有名な現代アーティストの作品がずらーりといった感じで、でかいものも多く、下手な現代美術館より見応えある感じだった。
 

Hamburger Bahnhof

http://www.smb.museum/museen-und-einrichtungen/hamburger-bahnhof/home.html

ベルリンの現代美術館といえばここ!的なとこで(自分的には)ベルリン来ると絶対行く美術館。今回は行くタイミング逃し続けててヤミ市の合間にササッと見に行った感じだったので、すごい疲れてたし作品が全然頭に入ってこなかった。体調悪い日にビール飲んでて全然入ってこないみたいな感じ。あんまり覚えてない。
 
 

その他

その他、アートだなんだといったとこではないけど、印象的だったところ。
 

Monster Ichiban Karaoke

http://www.karaokemonster.de/

ヤミ市の後、ベルグハイン行ってエントランスでフリーパスでの入場お断りされて、もうベルグハインいっかーってなってグリッチニットアーティストのジェフが連れて行ってくれた(というかたぶん適当に選んで入った)ベルリンのカラオケバーが凄まじかった。日本の所謂カラオケボックスとは違い、小さいライブハウスぐらいのステージがあって観衆の前で誰でも歌えるといった形式で、基本みんなで大合唱みたいな感じ。そして客層があからさまにギークorナード系の人が多く(太ってる人が多かった)ベルリンにいるとは思えない気分を味わえた。アートとか全く関係ない世界の人たちの楽しい空間といった感じで非常に新鮮で面白かった。すぐ出たけど。
 

DONG XUAN CENTER

http://dongxuan-berlin.de/


代筆ツイート用の墨汁を現地調達しようとして、売ってそうな場所探したけど全然見つからなくて、最後にネットで探し当てた場所がここ。
ハンパじゃなく広大に敷地に巨大倉庫8棟ほど並んでて、中は中華系の雑貨や食料品を売るお店でぎっしり。ザ・リトルチャイナといった感じでしょうか。ここなら絶対墨汁見つかるだろうと踏んで、トラムで30分ぐらいかけて行って、2時間ぐらい探しまわったけど結局見つからず。。。倉庫の中に入居してる店はだいたい食料、なんでも雑貨(ちょっとした家電)、衣類、あとなぜかネイルサロン、ヘアーサロンのどれかに分類できるていうぐらい全く同じような店がズラズラ並んでキレそうになった。面白かったけど。しかし書は中国からきた文化なので墨汁と筆ぐらいは売っててほしかった。
 

ささや

http://sasaya-berlin.de/

リアル日本食屋。ヨーロッパの日本食屋は中国人が経営してるフェイクなのが多いけどここはリアル。うまい。
 
 
ということで、長くなりましたが以上滞在報告になります。
チュ~ス