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《multiple – roadside tree no. 03》 2016 Courtesy of Yutaka Kikutake Gallery


彫刻家・飯田竜太とグラフィックデザイナー・田中義久によるアーティスト・デュオNerholの展覧会が金沢21世紀美術館にて8月28日まで開催中。

紙、印刷物の彫刻作品に取り組んできた飯田と、平面/視覚情報と向き合ってきた田中、その二人の邂逅から生まれたNerhol。物質とイメージといった別の角度から、互いに「紙」という日々大量に消費される流通物と向き合ってきた二人の協業は、大量の像を刻んだ紙の彫刻作品を生み出し、独特の立体感を持つヴィヴィッドな姿とともに見るものに鮮烈な印象を与えてきた。

Nerholは本展覧会にて、街路樹を少しずつ輪切りにししながら撮影された一枚一枚の写真を、大きく引き伸ばして束にし、刻み込んで制作された新シリーズ「multiple – roadside tree」や鏡面紙を用いた新作を発表する。美術館全体を遊歩の場としてとらえ「プロムナード」と名付けられた本展では、見る角度や距離によって多様な表情を見せる新作を通して、回遊することから現れてくる作品との関係について問いかけていく。

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また、金沢21世紀美術館からすぐ近くのギャラリーSLANTでもNerholの新作展「roadside tree」が7月17日まで開催されている。
本展は、21世紀美術館で発表される作品と対比されるように構成されている。ここでは、輪切りにされた街路樹をもとのように積層させ、その姿を8×10カメラによって撮影した写真作品が展示される。
その姿には、紙の原料でもある樹木の本来の生々しい在り方と、彫り刻むという人間の原初的な行為、そしてそれら全てを平面へと還元する芸術的「変異」といった彼らならではの要素が、一枚の写真の中に瀟洒かつ圧倒的な迫力をもって凝縮されていると言える。

同時期に金沢で開催中の二つの新作展に、ぜひご注目頂きたい。


Information

Nerhol Promenade / プロムナード
https://www.kanazawa21.jp/data_list.php?g=17&d=1739
期間:2016年5月21日(土)〜2016年8月28日(日)
10:00〜18:00(金・土曜日は20:00まで)
会場:金沢21世紀美術館 長期インスタレーションルーム
休場日:月曜日(ただし7/18、8/15は開場)、7/19
料金:入場無料

Nerhol roadside tree
http://slant.jp/roadside-tree/
会期:2016年5月21日(土)~7月17日(日)
時間:12:00-18:00
会場:SLANT 
石川県金沢市広坂1-2-32 2F/TEL:076-225-7746
時間:12:00-18:00
休廊日:月曜、火曜休廊(6/2〜6/7まで休廊)

Profile

20160603_nerhol-promenade03 Nerhol
彫刻家 飯田竜太(b.1981)とデザイナー 田中義久(b.1980)によるアーティスト・デュオ、2007年結成、東京在住。国内外の美術館やギャラリーの展覧会に参加し、現代の経済活動が生み出し続ける消費と生成、忘却という巨大なサイクルの急所を突くような作品を一貫して制作している。2014年には、Foam Talent Call 2014に選出。主な展覧会として、Foam Photography Museum(Amsterdam, 2015)での個展やYoungeun Museum of Contemporary Art(Korea, 2015)、L’Atelier Néerlandais(Paris)、Festival Images 2014(Switzerland)、など。
http://www.nerhol.com/