ある日、5歳の娘が仕事部屋に入ってきて、
置いてあった新品のマウスの箱の前で立ち止まり、
マウスに目を落としながら、低めのトーンで聞いてきた。

「パパ、なんでこれ、壊したの?」

一瞬、何の話だか分からなかったけど、必死で記憶を検索、
1件ヒットしたことは、ベルリンのトランスメディアーレでのこと。

トークの前にパフォーマンスとして「DesktopBAM」という、マウスカーソルが勝手に動きまわってライブをするというものをやったのですが、
人間がマウスを破壊するとその後、勝手にカーソルが動き始めるという演出があって、そのとき客席に娘もいたのでした。

↓これがまさにその時の映像(インターネットおじさんのドキュメンタリーに収録されてた。再生ボタンを押すとその位置から再生されます)


自分はあんまり意識してなかったけど、しっかり娘に見られていたみたいです。

日頃、「モノは大切に」みたいなことを親ってよく言うじゃないですか。
何かを乱暴に扱ったりした時に、僕も注意したりしていると思うんですよね。
その全くの逆の行為を、人がたくさん見ている前で、これみよがしに親がやってるわけですよ。

なんて説明すればいいんだこれ?!あわわわ、、、と、しどろもどろに、
「ええと、あれは、あの、“パフォーマンス”って言ってね、わざとやって見せてるんだよ。その方が、ええと、効果的というか、、、意味があるというか、うーん、、あのつまり、、」

5歳の子供に、全然説明できないw

とっさに「パフォーマンス」なんて言って、横文字で逃げた訳だけど、
でも単純に「人をびっくりさせようとした」とか「いたずらだ」とか5歳の子供にわかるように説明するのもなんか違う気がし、親がやってることが、ただのいたずらだと思われたくないというかw 世の中にはわからない謎がある方が面白いんじゃないか、というか。。

その場はなんとなく「ふーん」みたいな冷たい反応で通り過ぎていったわけだけど、しばらく経ったある日、また別の場所でマウスを見た時に娘が言いました。

「パパ、これパフォーマンスで壊すんでしょ?」

パ、パパ、パフォーマンスなんて言葉まで正確に覚えている!?

よっぽど印象に残っているらしい。恐るべし!
こっちも開き直って、
「そうだよ。パフォーマンスだとなんでやっていいのかなぁ?不思議だね」と、むしろ説明するよりも人生に謎を増やす方向にシフト。

しかし、その直後に
「でも、壊しちゃダメでしょ!」と叱られて返す言葉なし…

一昨日くらいには「ママは料理をする人、パパは、、、パフォーマンスする人」なんて言われて、まだ染み付いている!

そして今日、
幼稚園で遠足があって水族館に行って、イルカやアシカのショーを見てきたらしい。
ということで、すかさずチャンスとばかりに、

「イルカとアシカの“パフォーマンス”どうだった? いい“パフォーマンス”してた?」

と、イルカとアシカの力で“パフォーマンス”自体のイメージアップを図るという姑息な手を使い出しています。

アートって難しいなぁw