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渡邉朋也の関西初となる個展「信頼と実績」が京都のARTZONEにて開催される。

渡邉は、コンピュータやインターネットといったメディアテクノロジーをベースに、インスタレーション、映像作品、ダジャレ、エッセイなどを制作する作家。
最先端技術などにより無意味な行為を膨大に反復し、荒唐無稽な与太をなすことで、現代の技術革新における合理性や簡便さに疑問を投げかけるような作品を制作している。フライヤーのメインビジュアルとなっている《荒んだ食卓を極力直そう》は、3Dプリンタによって、なくした割り箸の片割れを手元に残った割り箸から作りあげたもの。本作で渡邉は、荒んだ世界を目の前の食卓から少しでも直そうとしており、高度なデジタルファブリケーション技術によって非合理的に割り箸の秩序を回復している。

タイトルとなる「信頼と実績」は、行為の積み重ねによって信頼を勝ち得てきたことを表す常套句だが、転じて、「信頼を得たいときの宣伝文句」ともなってきた。渡邉の作品は一見寡黙で、何の情報も観賞者に与えないように思る。しかし彼の作品は、途方もない反復行為やたゆまぬ技術修練によって、偶然の出来事を再現するという奇跡の実現でもあり、常態化しつつある様相を創造的に反復することで達成される批評行為でもある。

本展は、インターネットとリアルとを区別しないポストインターネットのその先とも言える2010年代の作品を中心に、これまで断片的に紹介されてきた、立体や映像、平面など、約130点が展示される。また、渡邉自身が出展作について今回キャプションを制作しており、これまでの実績を直に精査できる貴重な機会となるだろう。

1月29日には、渡邉朋也、秋庭史典、水野勝仁(司会)、他が出演するトークショー「アートと計算(コンピュテーション)」も予定されているので、展示と合わせてお楽しみ頂きたい。


Information

渡邉朋也個展「信頼と実績」
http://artzone.jp/?p=2773

会期: 2017年1月7日(土) – 1月29日(日)
時間: 平日 13:00-20:00/土日祝 12:30-20:00 会期中無休・入場無料
会場: ARTZONE(京都府京都市中京区 河原町三条下ル一筋目東入ル大黒町44 VOXビル1・2F)
企画: きりとりめでる


◇関連イベント
トークショー
「アートと計算(コンピュテーション)」
日程:2017年1月29日(日) 18:00–
入場料:無料
会場:ARTZONE
登壇者:渡邉朋也氏、秋庭史典氏、水野勝仁(司会)他


Profilw

渡邉 朋也 WATANABE Tomoya
1984年東京生まれ
2006年多摩美術大学 美術学部 情報デザイン学科 卒業

コンピュータやインターネットといったメディアテクノロジーをベースに、インスタレーション、映像作品、ダジャレ、エッセイなどを制作する。近年の主な展覧会に、「フィットネス. | ftnss.show」(東京/2016)、「みえないものとの対話」(福岡/2015)、「マテリアライジング展Ⅲ」(京都/2015)、「Affekte」(エアランゲン,ドイツ/2014)、「光るグラフィック展」(東京/2014)などがある。