大友良英とSachiko Mの共同作曲による「世田谷パブリックシアター」のためのオーケストラ作品が、3月10日に公演される。

本作品では、2008年山口情報芸術センター[YCAM]内図書館にて行われたサウンドインスタレーション「Filaments」をモチーフに、今回は舞台を「劇場」に移し、演奏家を迎え、新たな形の「Filaments Orchestra」として公演する。

会場は、ステージが客席に、客席がステージとなり、演奏家たちは座席に点在し、時には移動しながら「音」の光を醸し出す。その全貌を観客は「ステージの客席」から一望する。
客席とステージを逆転させることから生まれた生演奏による「劇場型サウンドインスタレーション」だ。

出演者は、大友良英、Sachiko M、勝井祐二、石川高、大口俊輔、佐藤芳明、さや(テニスコーツ)、植野隆司(テニスコーツ)、坂田学、高良久美子。

劇場の観え方、聴こえ方、あり方まで全て取り入れた、一日限りの特別な「演目」に、ご注目頂きたい。

“filaments” – YCAM Otomo Yoshihide / ENSEMBLES from YCAMArchives on Vimeo.


YCAM内の図書館全館を使用したサウンドインスタレーション「Filaments」は、図書館の広範囲の本棚に設置された、バラバラに点滅を繰り返す小さなLEDライトと、ランダムに流されるFilament(大友良英 & Sachiko M)による静かな音源の作品。ほとんど気づかないような音量、可聴域ぎりぎりの周波数の音の断片、さらには光の点滅がランダムに絡み合い、閉館後の暗い図書館を彩った。

Information

Filaments Orchestra
http://www.setenv.net/event/filaments_orchestra/

日時:
2013年3月10日(日)
【2回公演】
・13:30 開場 / 14:00 開演
・17:00 開場 / 17:30 開演

*多くの即興的要素を含みますので、同一の演奏ではございません。
 演奏時間は各回1時間程度を予定しております。

会場:
世田谷パブリックシアター
東京都世田谷区太子堂4-1-1 キャロットタワー3F
Tel. 03-5432-1526
三軒茶屋駅[東急田園都市線(渋谷より2駅・5分)・世田谷線]直結
http://setagaya-pt.jp/

チケット:
【整理番号付き自由席・税込】
前売:2,500円
当日:2,800円
*14:00の回のチケットをお持ちの方は、17:30の回を1,500円でご覧いただけます。
(逆も可、枚数限定、当日券窓口にて取扱い)。
*未就学児童はご入場になれません。
http://setagaya-pt.jp/ticket_buy/

出演:
大友良英:ギター、他
Sachiko M:sinewaves
勝井祐二:バイオリン
石川高:笙
大口俊輔:アコーディオン
佐藤芳明:アコーディオン
さや(テニスコーツ):ヴォーカル、他
植野隆司(テニスコーツ):ギター
坂田学:ドラム、パーカッション、他
高良久美子:パーカッション

クレジット:
作曲・演出:Filament(大友良英 & Sachiko M)
音響:小林高治(WAVES)
照明:森規幸(balance,inc.DESIGN)
舞台監督:中原和彦
宣伝美術:近藤一弥
主催・企画・制作:SETENV[セットエンヴ]
提携:公益財団法人せたがや文化財団/世田谷パブリックシアター
後援:世田谷区
機材協力: LINE6

お問い合わせ:
SETENV ( email: contact@setenv.net )

Profile

Filament: 大友良英 & Sachiko M

photo: MIE


1997年、聴取と発音行為の徹底的な分析と解体の末に生まれたFilament。大友良英 & Sachiko Mによる独特な作曲方法を軸に、従来の「作曲」や「即興」によって作られた音楽とは根本的に異なる音響体験を追求している。

われわれもまた、フィラメントが行なっていることを正確に説明できるような言葉を、いまだ持ってはいない。(中略)それはおそらく『作曲』とも『即興』とも『演奏』とも微妙に、だが決定的に違う。いや、それは、それらのすべてと微妙に近接しつつも、いわば斜めに横切っていくような、一種の『運動』としてあるのだ、とでもいうべきなのかもしれない。

佐々木敦『テクノイズ・マテリアリズム』(青土社)より