日本におけるメディアアートの草分けとして知られる、造形作家であり、元多摩美術大学学長の高橋士郎による展覧会『「自由芸術展」〜レイモン・ルーセルの実験室〜』が3月3日より3331 Arts Chiyodaにて開催される。

高橋は1960年代末より作家として活動を開始し、70年代に早くもコンピュータ制御による作品を発表、80年代からは空気膜造形によりアー トとエンターテイメントを接続するなど、常に次世代の動向を先取りしてきた。同時に多摩美術大学でデザイン研究を先導した大学人でもある。

本展は高橋が近年とくに注力してきたフランスの作家レイモン・ルーセルの研究をテーマに、その世界観を、キネティック・アートで現実の世界に立ち上がらせた世にも奇妙な展覧会。
マルセル・デュシャンやシュルレアリズムに深い影響を与えたルーセルの作品をメディアアートの先駆けととらえる本展は、高橋の思想のひとつの到達点である「自由芸術」の概念を明快に表すものであると同時に、「自由芸術論」の名講義を広く社会に公開するという意味でも、待望の機会である。
子供から大人まで、美術と教育に興味をもつすべての人々と、芸術の夢を共有する展覧会になるだろう。

3月17日には、高橋士郎 × 岡谷公二氏(フランス文学、美術研究者) + モデレーター:港千尋(本展キュレーター)が出演するトークイベント「レイモン・ルーセルをめぐって」も予定されているので、展示と合わせてお楽しみ頂きたい。




All photo by : Chihiro Minato

Information

高橋士郎「自由芸術展」〜レイモン・ルーセルの実験室〜
http://www.3331.jp/schedule/001863.html

日 程 : 2013 年 3 月 3 日(日)~3 月 30 日(土) 12:00-19:00
会場:3331 Arts Chiyoda 1F Gallery B
東京都千代田区外神田6-11-14
休場日 : 火曜日休場
入 場 : 無料
会 場 : 3331 Arts Chiyoda 1F Gallery B
主 催 : 「自由芸術展」実行委員会
共 催 : 学校法人 多摩美術大学
協 力 : 多摩美術大学 情報デザイン学科研究室 / アンスティチュ・フランセ東京 / 3331 Arts Chiyoda


■関連イベント
トークイベント 「レイモン・ルーセルをめぐって」
出演:高橋士郎(本展アーティスト)× 岡谷公二氏(フランス文学、美術研究者。ルーセル「アフリカの印象」翻訳者) + モデレーター:港千尋(本展キュレーター)
日程:3 月 17 日(日)17:00 – 19:00
場所:3331 Arts Chiyoda 1F Gallery B
入場無料、予約不要、定員 50 名


Profile

本展アーティスト
高橋士郎(たかはし・しろう)

造形作家。1943年東京生まれ。多摩美術大学大学院修了。多摩美術大学教授。当時として極めて先進的であったコンピューター制御によるアート作品『立体機構シリーズ』を大阪万博EXPO’ 70など多くの展覧会で発表した後、風船を素材として扱った 『空気膜造形シリーズ』を考案、世界各地で展開する。芸術の分野にコンピューターやテクノロジーを浸透させた立役者の一人として知られている。
http://www.tamabi.ac.jp/idd/shiro/RR/roussel4/roussel4.html

レイモン・ルーセル
フランスの小説家、詩人。1877生- 1933没。実験的な文体や奇想を取り入れた極めて先進的な小説を発表するものの、作品はほとんど評価されず、ほぼ無名のまま死去。現在では後の前衛芸術やシュルレアリズム運動に大きな影響を与えた立役者として再評価が進んでいる。代表作に本展のモチーフにもなった「アフリカの印象」「ロクス・ソルス」など。

本展キュレーター
港千尋(みなと・ちひろ)

写真家、文筆家。1960年神奈川県生まれ。早稲田大学卒。多摩美術大学教授。1985年よりパリを拠点に写真家・文筆家として活動を開始。写真集や著作にて「サントリー学芸賞受賞」「 伊奈信男賞」など多く受賞歴を持つ。また第52回ベネチア・ビエンナーレ日本館コミッショナーを努めるなど、展覧会キュレーターとしても精力的に活動を行なっている。