CBCNETでも既に紹介した、3月10日から始まる日本科学未来館 企画展『世界の終わりのものがたり~もはや逃れられない 73 の問い』において、ATAKやportから先鋭的なサウンドを発信し続ける奇才サウンド・アーティストevala が、会場全域にわたりサウンドデザインを手がける。

昨年「void-inflection」(YCAM/2011)での半屋外5.1chや、三上晴子氏の新作「Eye-Tracking Informatics」(YCAM/2011)でのバイノーラル小型スピーカ+振動子、また現在も開催中の渋谷慶一郎氏との共作「for maria anechoic room version」(ICC/2011)での無響室24.4chなど、様々な音響システムを駆使してインスタレーションを発表してきたevalaが、本年初の実空間サウンドデザインで使用するのは多面体スピーカーによる10.2ch。

システムをともに手がけるのは、奈良を拠点におくsonihouse。12面体スピーカー「scenery」や14面体スピーカー「sight」をはじめとするオリジナルならびにオーダースピーカーの設計・製作する工房であり、最近では音響エンジニアzAk氏も活用するなどひそかに話題を集めている新鋭メーカーである。

「世界の終わりのものがたり」の題された本展の会場内は4つのセクション「予期せぬ終わり」「わたしの終わり」「文化の終わり」「ものがたりの終わり」に分れており、evalaが音の終わり(残響)から音響合成し本展のために書き下ろした楽曲プログラム群や、フィールド・レコーディングと立体音響システムによるサウンドスケープ・プログラムなどが、会場全域のポイントにわたり仕込まれる。sonihouseスピーカーとともに、生成変化しながら響きわたる、人工でも自然でもないevalaの独創的な音空間も本展の目玉のひとつになるだろう。

ぜひ、音にも注目しながら、展覧会をお楽しみ頂きたい。

Information

日本科学未来館 企画展
「世界の終わりのものがたり ~もはや逃れられない73の問い」

http://www.miraikan.jp/sekainoowari/

会期:平成24年3月10日(土) ~ 6月11日(月)
開催時間:10:00~17:00 (入館は閉館の 30 分前まで)
場所:日本科学未来館 1 階 企画展示ゾーン a
休館日:毎週火曜日 (ただし、3月20日、27日、4月3日は開館)
入場料:大人 1,000 円、18 歳以下 300 円
団体(8名以上) 大人800円、18 歳以下240円
※常設展示入場可 ※小学校未就学児は無料
※障害者手帳保持者は当人および付き添い者1名まで無料

主催・企画・制作:日本科学未来館
協力:臨海副都心まちづくり協議会、東京臨海副都心グループ

空間・展示デザイン:株式会社乃村工藝社、中原崇志

展示制作・施工:株式会社乃村工藝社
サウンドデザイン:evala (port, ATAK)

照明デザイン:岡安泉照明設計事務所


Profile

evala
サウンドアーティスト。port主宰、ATAK所属。先鋭的な電子音楽作品を発表し、国内外のフェスティバルやクラブでのライブ・パフォーマンスや、美術館でのインスタレーションをおこなう。また立体音響システムや先端テクノロジーを用いた実空間へのサウンド・デザインや舞台音楽、広告メディアへの楽曲/音楽プロデュースなど、音を主軸にその活動は多岐にわたる。近作には、CD『Sacrifice Soundtrack for “Seiji” / V.A.』(ATAK/2012)、インスタレーション『void-inflection』(山口情報芸術センター/2011)など。
http://evala.jp/

sonihouse
奈良を拠点に、鶴林万平(スピーカーデザイン)と長谷川アンナ(グラフィックデザイン)が主宰する、音とそれにまつわる場とデザインについて考え実践する工房。12面体スピーカー”scenery”をはじめとするオリジナル/オーダースピーカーの設計・製作。それぞれの空間と目的に合う最適な音響機器の提案。また演奏家と料理人を招いての音と食の家庭的おもてなしイベント「家宴 -IEUTAGE-」や、 音にまつわる展示やワークショップなどを開催している。
http://www.sonihouse.net/