NTTインターコミュニケーション・センター [ICC] が半年間の休館を経て,10月22日より長期展示「オープン・スペース 2011」および特別展「三上晴子 欲望のコード」を開催する。

「オープン・スペース 2011」は年度ごとに展示内容を変えながら入場無料で公開しており、国内外の著名アーティストや新進アーティストによるメディア・アート作品、現在進行中のプロジェクトを展示するほか、社会とメディア、アートの関わりの変遷をまとめたテーマ展示コーナーも展開される。

出品作家は岩井俊雄、重田祐介、渋谷慶一郎+evala、鈴木康広、津島岳央、寺田尚樹+野老朝雄+長岡勉+鳴川肇、グレゴリー・バーサミアン、デイヴィッド・ボウエン、真鍋大度+石橋素、IAMASサーフェイス・インターフェイス・デザイン・プロジェクト

右:IAMAS サーフェイス・インターフェイス・ デザイン・プロジェクト
左:やくしまるえつこ《ルル》MVより 監督:真鍋大度 ロボットアーム制御:石橋素
右:鳴川肇《平行カメラ》2011(参考図版)※「ICCキッズ・プログラム 2011 トランス・スケール〈ものさし〉をかえてみよう」展示風景 撮影:木奥恵三
左:津島岳央《石の見た夢》2010


また、同時にオープンする特別展として、2010年に山口情報芸術センター [YCAM] にて委嘱制作し公開された、三上晴子による大規模なインタラクティヴ・インスタレーション《欲望のコード》の新ヴァージョンも発表される。

三上晴子は、「情報環境と身体」をテーマに、コミュニケーション・テクノロジーとその情報生態系が生み出す相互作用の中で自身の芸術表現を行なってきたアーティスト。

この作品では「現在の情報化された環境と知覚に生きるわたしたちの新たな欲望とはなにか」を問題意識として、映像、音響、データなど、さまざまなネットワーク環境からの情報を、自律的なシステムを持つコードによって再構成することで制作されている。

また、関連展示として、三上晴子により1996年にキヤノン・アートラボで制作発表された視覚の実験である《モレキュラー・インフォマティクス―視線のモルフォロジー》がYCAMでの再制作ヴァージョンとして発表される。
この作品は,体験者の視線を視線入力装置によって感知し、それによって描かれる形態を、仮想の3次元空間内に生成していくインスタレーション。「視ることそのものを視る」「無意識と意識の連鎖」というふたつのコンセプトから、空間と身体の対応関係を再考しようとしたものだ。

震災以降、待ちに待った展示再会となるICC。
オープンスペースと特別展、どちらもお見逃しなく。



Information

オープン・スペース 2011
http://www.ntticc.or.jp/Press/2011/9/0927_01_j.html

会期:2011年10月22日(土)―2012年3月18日(日)
会場:NTTインターコミュニケーション・センター [ICC] ギャラリーBほか
開館時間:午前11時―午後6時
休館日:月曜日(月曜が祝日の場合翌日),年末年始(12/26―1/4),保守点検日(2/12)
入場無料
主催:NTTインターコミュニケーション・センター [ICC]

出品作家
岩井俊雄《マシュマロスコープ》2002年
重田祐介《がそのもり》(新作)
渋谷慶一郎+evala《for maria anechoic room version》2010年
鈴木康広《自身と分針》2009年 システム制作:冨樫政徳(東京大学相澤研究室) Courtesy: Digital Public Art Project
津島岳央《視界のデフラグ》2008年,《石の見た夢》2010年
寺田尚樹+野老朝雄+長岡勉+鳴川肇「トランス・スケール 02」2011年
グレゴリー・バーサミアン《ジャグラー》1997年
デイヴィッド・ボウエン《ソナー・ドローイング・デヴァイス》2003年,《フォトトロピック・ドローイング・デヴァイス》2003年,《テレプレゼント・ウォーター》2011年
真鍋大度+石橋素「オープン・スペース 2011」のための新作
IAMASサーフェイス・インターフェイス・デザイン・プロジェクト

■テーマ展示「アート&コミュニケーション・テクノロジーの50年」
今年生誕100周年を迎えたマーシャル・マクルーハンは,中枢神経を外在化した最初のテクノロジーとして「電信」(Telegraph)を挙げています.コンピュータ・ネットワークが全世界をつなげている現在は,マクルーハンのいう「電信の発明以来,わたしたちは人間の脳と神経を地球全体に拡張させてきた」時代であるといえるでしょう.このテーマ展示は,テキストや図版,ICCが収蔵するヴィデオ・アート作品とインタヴューなどの映像などによって構成されます.メディア・テクノロジーと社会,さらにそのインターフェイスとして存在してきたメディア・アートの関わりをたどります.

■新進アーティスト紹介コーナー「エマージェンシーズ!」
エマージェンシーズ!017
江島和臣《ストリングス・フォー・ハーモニー》2011年
展示期間:2011年10月22日(土)―12月18日(日)

■関連イヴェント
○ギャラリーツアー
会期中の毎月第二土曜日開催予定
ICC学芸スタッフが「オープン・スペース 2011」の展示作品について解説します.
*関連イヴェントについて,詳しくはホームページなどで最新の情報をお知らせいたします.

特別展「三上晴子 欲望のコード」

http://www.ntticc.or.jp/Exhibition/2011/Desire_of_Codes/index_j.html
会期:2011年10月22日(土)―12月18日(日)
会場:NTTインターコミュニケーション・センター [ICC] ギャラリーA
開館時間:午前11時―午後6時
休館日:月曜日
入場料:一般・大学生500(400)円/高校生以下無料
    ※( )内は15名様以上の団体料金
主催:NTTインターコミュニケーション・センター [ICC]
協力:マイクロビジョン,多摩美術大学 情報芸術コース
特別協力:山口情報芸術センター [YCAM]

■関連イヴェント
○アーティスト・トーク
日時:2011年12月16日(金)午後6時より
定員:200名(当日先着順)
入場無料

○アーティストによるギャラリーツアー
出展作家三上晴子が作品を解説します.
日時:2011年12月17日(土)午後6時より
定員:50名(当日先着順)
入場料:展覧会入場チケットが必要です.

■関連展示
《Eye-Tracking Informatics――視線のモルフォロジー》

会期:2011年12月9日(金)―18日(日)
会場:NTTインターコミュニケーション・センター [ICC] シアター
休館日:月曜日
* ご覧になる場合は,展覧会入場チケットが必要です.