グラフィックデザイナーの稲葉英樹による展覧会「Now Printing 〜不明なアルバム〜」が、7月1日よりCCC(静岡市クリエーター支援センター)で開催される。

機械工学専攻、会社勤務という異例のキャリアをもつ稲葉は、今やグラフィックデザインだけに留まらず雑誌や広告界など活躍の場は幅広い。
90年代後半の「+81」や「SAL magazine」などの革新的デザインは今見ても新鮮だ。

今年の文化庁メディア芸術祭の審査委員会推薦作品への選出も記憶に新しい「Burst Helvetica 2」。また前身となる「Burst Helvetica」など、近年ではグラフィックを飛び越えたアート的な展開も見せており、積極的に展示も行っている。
(参考:CBCNET内 – グラフィックデザイナー稲葉英樹 個展『HIDEKI INABA 9010』 – フォトレポート


今回の展覧会タイトルは「Now Printing」。
アートの世界でいうプリントとは複製品のことであり、無価値なものの代表となるが、デザインの世界ではそれこそが成果物を生み出す制作の最終段階だ。またサブタイトルには「〜不明なアルバム」と題しており、iTunesなどで誰もが目にしたことのあるこのワードが選ばれたのは「既存のアーカイブに照合できない『不明なアルバム』」という意味を持つためだ。

このようにタイトルとサブタイトルからも、グラフィックともアートともカテゴライズしがたい稲葉の新たなアプローチを予感させるものとなっている。

本展はCCCの2Fと3Fの二部構成となり、稲葉の現在進行形の作品であると同時に現実に立脚したコミュニケーションとしてのグラフィック表現を見ることが出来そうだ。
また、7月1日には大橋二郎とのギャラリートークも予定されている。
是非とも実際に足を運んでみたい展覧会である。


Information

稲葉英樹「Now Printing 〜不明なアルバム〜」
http://www.c-c-c.or.jp/future/nowprinting.html

会期:2011年7月1日(金)- 7月30日(土)(日・祝休み)
時間:10:00-20:30(日・祝休)
会場:静岡市クリエーター支援センター(CCC)2F、3F
   (静岡県静岡市葵区追手町4-16
   http://www.c-c-c.or.jp/
入場料:無料

主催:静岡市クリエーター支援センター (CCC)

関連企画:ギャラリートーク
演題:「受注芸術。~の為の」
日時:2011 年 7 月1 日(金)18:30 ~ 20:00
出演:稲葉英樹、大橋二郎
会場:静岡市クリエーター支援センター(CCC)3F
入場料:無料
※トークショーの模様は Us t r e a m にて中継いたします。
www.ustream.tv/user/CCCshizuoka

Profile

稲葉英樹 HIDEKI INABA
http://www.hidekiinaba.com/

1971年静岡県生まれ。理工学部卒業後、1997年よりグラフィックデザイナーとして活動をはじめ、雑誌「+81」、「sal magazine」のアートディレクションを手がけ、その革新的なグラフィック表現で一躍注目を浴びる。2004年「NEWLINE」展を開催。ドイツred dot awardコミュニケーション部門最高賞を受賞。07年にはshu uemuraとの共作によるコレクション「BTB24-graphic design by hideki inaba」を発表。同年「GRAPHIC LINE」展を開催。自身の作品がアートブックの老舗Taschenの人気書籍「Graphic Design Now」のカバーに選ばれるなど国際的評価を受ける。08年、南アフリカ・ケープタウンにて開催された国際デザイン会議「デザインインダバ11」に招聘。パリ・ルーブル宮のフランス国立装飾美術館「KANSEI」展に「Print Line」を出品。2010 年、三菱地所アルティアムにて「9010 HIDEKI INABA」展を開催。展示作品は第14回文化庁メディア芸術祭の審査委員会推薦作品に選定された。