2012年GIFった事とか
明けましておめでとうございます。もう年度末ですね。
さて、昨年は『インターネット アート これから』 という展覧会にインターネットリアリティ研究会のメンバーとして参加してたんですが、今年に入って再びインターネットリアリティ研究会が活動し始めまして、先日その活動再会第一弾の座談会『インターネット アート あれから』に参加してきました。その中で、2012年を振り返って気づいた事を取り上げて話す機会があったのですが、個人的な活動で振り返ってみると、GIFしかしてないなー、GIFってたなーと。
ということで2012年に作ったり書いたりしたGIF関係の活動をまとめてみます。
そもそもなんでGIF?
GIFはjpgとかpngとかと同じような画像ファイルフォーマットの一つなんですが、透過や、アニメーションが出来ることなどから、他の画像ファイルフォーマットとは一線を画す存在なんですね。で、そのGIFが一部のデフォルト的な新しいネットアーティストたちの作品形態の一つとなってたりしてました。(また、その流れとは別に、ファッションショーのblogやtwitterによる現地リポートにGIFアニメが用いられたり、オリンピックやアメリカ大統領選のニュース記事などにGIFアニメが使用されたりもして、GIFが一つの流行になりつつありました。)
で、2012年の2月とか3月頭に行われた『インターネット アート これから』展の座談会、『お絵描き掲示板のインターネット・リアリティ』とか、『ポスト・インターネットを考える(β)』の中でもこのGIFの特殊性について少し触れて議論していて、「GIFってちょっと面白いな」という気持ちが芽生えてました。(この座談会の採録は近く ここ で公開されます!お楽しみに!)
GIF 3D Gallery
てなわけで2012年の8月ごろに GIF 3D Gallery というサイトを作りました。これは、3Dで再現されたギャラリー空間に置いてある展示台に、好きなGIFやGIFアニメを配置して立体的に観賞できるサイトです。
実はこの GIF 3D Gallery を作る前に、似たような The Online Gallery というオンラインのギャラリーを作っていました。海外で近年活発に開かれているオンラインの展覧会のなかに、単にwebページ上ではなく擬似的なギャラリー空間を作って、そこで作品を展示しているものがいくつかあって、( barmecidal projects とか put it on a pedestal とか print fiction とか the widget art gallery とかとか… このあたり、以前萩原君もblogに書いてますね )これらのギャラリー空間のもつ疑似的で嘘っぽいリアリティの面白さが気になっていて、じゃあ自分でもギャラリーを作ってみて、実験してみようと。(過去のテスト展示アーカイブはこちら)で、その後に The Online Gallery をみんなで使えるGIFのギャラリーに改造したのがこの GIF 3D Gallery です。
公開後、TRIANGULATION BLOG や Rhizome に紹介されたり、Anthony Antonellis や Chris Timms といったアーティストが GIF 3D Gallery を使ってくれました。
Designing Tumblr
で、GIFじゃなくてTumblrの本なんですが、TumblrとGIFは切っても切れない関係にあるのでGIFについて、「GIFアニメの質感」というコラムを寄稿しました。また、他ページでもGIFっぽかったりヘンテコなtumbrlをいくつか紹介しました。詳細こちら
cloaque
で、その後しばらくして11月ごろにDesigning Tumblrでも取り上げていた cloaque に参加しました。cloaque は、 Carlos Sáez と Claudia Maté が主催しているtumblrをベースにしたプロジェクトで、様々なアーティストのグラフィック作品がtumblrの1ポストとして延々と繋がっていくようになっています。ちなみに “cloaque” は掃き溜めとかゴミ捨て場とかいう意味で、なるほどインターネットの掃き溜め感すごくてナイスなプロジェクトです。最近1周年を迎えたそうで、1周年記念ムービーが公開されてます。こちらもかなりナイスですね。
僕はGIFアニメを用いた8ポスト分の作品を制作しました。僕の作品はここから見れます。
Dazed Digital NICOPANDA GIF RIOT
で、これも11月ごろに制作したもの。ファッション・デザイナーのニコラ・フォルミケッティが期間限定でDazed Digitalのサイトを乗っ取るみたいな企画でニコラ・フォルミケッティのニコパンダっていうキャラクターを使ってGIFアニメを作ってくれというオファーでGIFアニメをいっぱい制作&インタビュー。これはcloaqueと違ってファッション業界のGIFの流行から来た感じ。とにかくGIF使いたい!っていう感じのオファーでした。 こちらからどうぞー
GIF Wrapping
そいで、12月には Gif Wrapping というイベントに参加しました。これは、“GIFT Wrapping” をもじった駄洒落で、クリスマスプレゼントの交換会をGIFでやろうみたいな企画。主催してるのはAnthony Antonellisらが立ち上げた netartnet.net という世界各地(?)のネットアートギャラリーの情報を集めたポータルサイトで、このGIF Wrappingでも世界中から多くのアーティストが集まってみんなでGIFを作って交換しました。僕は Lilly Handley というアーティストにGIFを送ることになって、なんとなく彼女の作品を意識しつつこんなGIFアニメのページを作って送ってみました。で、確かこのイベントのちょっと前に米オックスフォードが選ぶ「今年の新語/流行語」的なやつでGIFが選ばれて発表されてたと思います。
GIF BOOK
で、年が明けて今度は1月に「GIF BOOK」というGIFだけの、GIFについての本が出まして、こちらでも2000年代から現在に至るまでのGIFの歴史についての文章を寄稿しました。詳細はこちら〜
TEXT.GIF
で、1月の終わり頃、もうGIFはいいかな〜と思ってたけどphpの勉強がてら作ったのが TEXT.GIFこれは、とにかく入力した文字がGIFアニメになるっていうシンプルなもの。API的にも使えるから、
http://okikata.org/study/test78/textgif.php?t=こんなふう.gif
なURLで
なGIFアニメが生成されます。誤字があっても修正一瞬で済むから便利ですね。この記事の冒頭のGIFアニメーションもこれ。
正直まだこれ作品でも習作でもない断片みたいなものなんだけど、なんかちょっと面白い。この感じでAPIとしての作品を今はなんとなく構想してます。あとなんか Nicolas Boillot ってアーティストがこのTEXT.GIF試してくれて、「ウリポを思い出したよ」って感想くれたのが嬉しかったです。ちなみにNicolas Boillot は複数の時間軸や異なる映像ソースを合成したGIFアニメとかの映像作品が面白いので要チェックです。
おわり
とくにまとめ的な終わりは考えていないんですが、やはり2012年はGIFが流行った年だったなーと思います。けれど、じゃあ流行が去ったらすぐ居なくなってしまうかというとそうでもないと思ってます。GIFはインターネットの普及以前から存在しているフォーマットで、この20年ほどのコンピュータ、インターネット環境のめまぐるしい変化のなかで淘汰されることなく(進化もしてないけど)生き延びてきたっていう堅牢さも持ってるし、それにピクセルを一つ一つ集めて紡いだようなジャギの物質感とかは他の画像/動画ファイルフォーマットにはないものだなあと思います。今後またコンピュータやインターネット環境がめまぐるしく変化していって日の目を浴びなくなっても、シーラカンスみたいに深海でひっそり暮らしてたり、ゴキブリみたいに家具の隙間でカサカサ生きて動き続けるんじゃ無いかなーと。とか言ってると突然いなくなってしまうかもしれませんが。なんにせよ2012年はいろいろGIFったなーと2013年はもう1/6おわりそうですが、どんな年になるかなー告知
3/15から個展やるよ!谷口暁彦 個展 「思い過ごすものたち」