常に注目すべき活動を繰り広げている、音楽家/アーティストの渋谷慶一郎と、チェルフィッチュ主宰の演出家/劇作家/小説家の岡田利規によるオペラ公演「THE END」が山口情報芸術センター[YCAM]にて開催される。

1973年生まれという世代を共有する彼らが、「終わり」をテーマに初のコラボレーションを発表する。「THE END」は、初音ミクによるオペラ。悲劇的ストーリーやアリア、レチタティーボといった従来のオペラが持っていた形式はそのままに、人間の歌手もオーケストラも登場しないボーカロイド・オペラという初の試み。

ステージの四面を覆うマルチ画面映像と照明、マルチチャンネル音響を駆使した、YCAMのプロデュース/滞在制作による最新作。オペラが結びつけられてきたヨーロッパ的人間中心主義と、生と死/パブリックとプライベート/部分と全体/線と層といった対立項の解体が試みられ、終わりとはなにか?死とはなにか?と問いかける。

参加アーティストには、映像/キャラクターデザイン/共同演出として、ミュージックビデオなど独自の映像世界で注目を集める映像作家のYKBX(a.k.a Masaki Yokobe)。舞台美術に、建築集団OMAニューヨーク代表であり、カニエ・ウエストやマリナ・アブラモビッチとの共同制作で知られる建築家の重松象平。劇場を包み込むサウンドプログラムは、サウンドアートの最前線を担うevala。ボーカロイド・プログラミングには、個性的なメロディと歌詞で人気のピノキオP。数多くのVJシーンで活躍する筒井真佐人がプログラマーで参加。YCAMの充実した施設や共同開発を行うYCAM InterLabを含め、強力な制作陣となっている。

また、インパクトある初音ミクのキービジュアルはYKBXが描きおろしたイラストを、アート・ディレクター吉田ユニのディレクションのもと、写真家・鈴木心が撮影している。

現在可能な最も先鋭的なオペラ、果たしてどのような公演となるのだろうか。

公演は12月1日と2日の2回公演、日本を代表するメディア・アート・センターであるYCAMへ訪れる絶好の機会となるだろう。

Information

渋谷慶一郎+岡田利規 新作オペラ公演「THE END」
http://www.ycam.jp/performingarts/2012/12/the-end.html

2012 年12 月1 日(土) 19:00- / 12 月2 日(日) 15:00-(30 分前開場)
山口情報芸術センター [YCAM] スタジオA

料金:[全席指定] ※未就学児童入場不可
前売 一般 3,000円/any 会員・特別割引 2,500円/25歳以下 2,300円
当日 3,500円
チケット発売日: 9/29(土)any会員先行予約 10/6(土)一般発売
電話/窓口:
山口市文化振興財団チケットインフォメーション
083-920-6111
(YCAM内/10:00-19:00 ※火曜休館・祝日の場合は翌日)
インターネット:http://www.ycfcp.or.jp/
(24時間受付※要事前登録)
セブンイレブン店頭:セブンコード019-530

主催:公益財団法人山口市文化振興財団
後援:山口市、山口市教育委員会
協賛:株式会社資生堂、株式会社コルグ
機材協力:カラーキネティクス・ジャパン株式会社
特別協力:クリプトン・フューチャー・メディア
協力:ATAK、precog
制作協力:A4A
モーションキャプチャー制作協力:九州大学大学院
芸術工学研究院源田研究室
共同開発:YCAM InterLab
企画制作:山口情報芸術センター [YCAM]
平成24年度文化庁優れた劇場・音楽堂からの創造発信事業
本公演は宝くじの助成を受けて実施しています。
©Crypton Future Media Inc.
※VOCALOID ならびにボーカロイドはヤマハ株式会社の登録商標です。

関連イベント

11月24日(土)15:00 – 16:30 ワークショップ
講師:渋谷慶一郎、岡田利規
会場:山口情報芸術センター[YCAM] ホワイエ
対象:一般(高校生以上)定員:50名 参加無料 
※要申込、申込受付中(先着順)
アーティストが、制作中の作品の発想やアプローチについてのプレゼンテーションを行い、テーマについて参加者とのディスカッションを実施します。
申込方法:FAX またはe-mailにて、下記項目をご記入の上、お申し込みください。
1.名前(ふりがな) 2.性別 3.生年月日 4.郵便番号/住所 5.電話番号、FAX番号等連絡先
応募先:山口情報芸術センター [YCAM]
FAX:083-901-2216 e-mail:workshop@ycam.jp

関連展示「Making of『THE END』

会期:11月10日(土)~1月7日(月)10:00~19:00
会場:山口情報芸術センター[YCAM]/ホワイエ 入場無料
映像作家YKBXと建築家重松象平による、オペラ「THE END」のメ
イキング展示です。YKBXが「THE END」の映像制作過程で描いた
初音ミクのドローイングや絵コンテと、重松象平による舞台美術プ
ランの資料を公開します。
展示構成監修:重松象平

公演クレジット

コンセプト:渋谷慶一郎、岡田利規
音楽:渋谷慶一郎
台本:岡田利規
共同演出:岡田利規、渋谷慶一郎、YKBX
出演:渋谷慶一郎、初音ミク
舞台美術:重松象平
映像:YKBX
音響プログラム:evala
ボーカロイド・プログラム:ピノキオP
テクニカル・サポート:筒井真佐人
プロデューサー:東市篤憲(A4A)
技術監督:伊藤隆之(YCAM InterLab)
舞台監督:尾崎聡
キュレーター:阿部一直(YCAM)
特別協力:クリプトン・フューチャー・メディア
協力:ATAK、precog
制作協力:A4A
共同開発:YCAM InterLab
企画制作:山口情報芸術センター[YCAM]
モーションキャプチャー制作協力:九州大学大学院芸術工学研究院
源田研究室 松永康祐
モーションキャプチャーモデル協力:安藤真理

宣伝物制作
アートディレクション:吉田ユニ
撮影:鈴木心

プロフィール



photo: 新津保建秀
渋谷慶一郎
音楽家。1973 年生まれ。東京芸術大学作曲科卒業。2002 年に音楽レーベルATAK を設立、国内外の先鋭的な電子音響作品をCD リリース。代表作に『ATAK000+』、『ATAK010 filmachine phonics』『ATAK015 for maria』など。2010年には『アワーミュージック 相対性理論+渋谷慶一郎』を発表。多数の映画音楽を担当する一方、国内外でマルチチャンネルによるサウンドインスタレーションを発表、コンサートを行うなど多彩な活動を展開している。
http://atak.jp/


photo: Nobutaka Sato
岡田利規
演劇作家/小説家/チェルフィッチュ主宰。1973 年生まれ。1977年に『チェルフィッチュ』を横浜で結成。活動は従来の演劇の概念を覆すとみなされ国内外で注目される。2005年『三月の五日間』で第49回岸田戯曲賞を受賞。デビュー小説集『わたしたちに許された特別な時間の終わり』が2008年、第2回大江健三郎賞受賞。2012年4月、最新作『現在地』を発表。
http://chelfitsch.net