a lower world

アーティスト平川紀道の新作による展覧会「lower worlds」が11月8日より恵比寿limArtにて開催される。

近年、平川は独自のコンピュータ・プログラムによって行われる高速のリアルタイム演算が生み出すビットの振る舞いを、ある種の現象として捉えるという視点で、インスタレーションを制作してきた。

ビットの振る舞いが、様々な出力装置を通して実空間に立ち上がるとき、それは我々の五感で捉えることのできるインスタレーションとしてこの世界に現れる。 その一方で、我々の五感とは関係なくRAM上を冷たく流れていく時間を、いかに実世界のマテリアルに定着させることができるのか?
それは、プログラムによるリアルタイム性を追いかけてきた平川が提出する1つの問いであり、本展はその問いに対する挑戦でもある。

今回はNerholの活動などでも知られるグラフィックデザイナーの田中義久とともに多様なマティリアルの作品で構成される展示となる。
展示に合わせてMirrorより発売されるアートブック「a lower world」を用いたインスタレーションを含め、平川の原点である映像/音響インスタレーションとは違った素材を用いた作品が発表される。

アートブック「a lower world」は特設ウェブサイト上での完全受注生産となっており、平川がプログラミングによって定めたルールに従って運動する粒子群を、時間軸に沿ってまとめたもの。キューブ状に配置された粒子が見せる爆発を思わせる一連の動きには、初期エネルギーの分布の違いによって、無限とも言えるバリエーションが存在する。エネルギーの初期分布を決定する乱数の発生系列を、本が購入された時刻をもとに設定することで、その瞬間にしか生成され得ない演算結果が生まれ、全ての本に異なるディティー ルが与えられる。いわば、それぞれの本は並行したパラレルワールドの1つであり、購入者は無数にある世界の一つを所有することになる。
この本は展示会場limArtにて先行販売される。

また、展示会に合わせ、 平川紀道と田中義久共同制作による、 ポスターも限定販売される。

果たして、どんな作品と展示に仕上がるのか。
CBCNETでは展示に向けて、その詳細も追って伝えていく予定。





Information

平川紀道 / lower worlds
http://www.lowerworlds.com/

会期: 11/8(火) ‒ 11/20(日)
休廊 : 月曜日
会場 : limArt
〒150-0022 東京都渋谷区恵比寿南 2-10-3-1F
– Google Map
http://www.limart.net

企画・運営 :Mirror
http://www.m-i-r-r-o-r.jp

Book Outline

平川 紀道 / a lower world
size: 396×297mm
page: 512p + ケース付
部数:全てがユニーク作品となります。
アートディレクション & デザイン : 田中義久
11/8 (火) 発売
価格 : 未定
http://www.a-lower-world.com
特設サイトにて完全受注生産、limArt(恵比寿)他、 全国のセレクトショップにて本の展示と購入も可能。

Profile

平川紀道
1982年生まれ。コンピュータ・プログラミングによるリアルタイム処理 を用いた映像音響インスタレーションを中心とした作品群を国内外の美術展、メディア・アート・フェスティバルで発表。2004年度文化庁メ ディア芸術祭優秀賞、アルス・エレクトロニカ2008準グランプリ他受賞 多数。池田亮司のコンサート・ピース制作への参加、大友良英+木村友紀 +Benedict Drewとのコラボレーション、ミラノ・サローネでのレクサスのアートエキシビションへの参加、Typingmonkeysとしてのライブ・パ フォーマンスなど、活動は多岐にわたる。
http://counteraktiv.com