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神戸アートビレッジセンター主催の若手芸術家・キュレーター支援公募企画「1floor(ワンフロア)」にて選ばれた、内田聖良と貴志真生也による展覧会「またのぞき」が11月1日より、神戸アートビレッジセンターにて開催される。

本公募は2008年より開催しており、今回が7回目。展覧会実施における様々な要素と対話しながら展覧会を創り上げていく。公式ページでは展覧会の制作過程がアーカイブされている。

内田聖良は、既成概念から作られる「枠」から距離を置く方法、その感覚を鍛えることをテーマに、身の回りにあるメディアを用いた作品を制作している。第19回 学生CGコンテストで優秀賞を受賞した、本の余白への書き込み、しみなど、人の手による「手垢」を価値付けした古本を販売するオンラインプロジェクト《余白書店》を共同で運営し、「手垢=価値を下げる」という暗黙のルールを遊び、間違って使うことで、私達の生活の中に自由な行為を許容する「余白」を作る一つの方法を提案している。

一方、貴志真生也は、建物、看板、人、あるいは社会そのものといった、人によって作られた環境をモチーフとし、その意味を問い直す作品を制作している。発砲スチロール、角材、ブルーシートなどの工業資材を見立てることで作品とし、素材は規格そのままに、作家の手の痕跡を残さないよう意識され、不要な意味を排除したシンプルな形態へと落とし込まれる。作品を前にして私達はその意味を読み解くことをはぐらかされ、新たな空間と対面する。

タイトルの「またのぞき」とは、股の間から天橋立を見る名称として有名だが、本展では視点を切り替えることで新しい価値観を発見することを示唆し、内田と貴志両者の作品性に通ずる言葉として導かれた。

本展は、内田による《余白書店》の派生企画として、「手垢」のアーカイブ並びにそれらを使ったプロジェクトと、貴志による家具・器具類に見立てた作品および構造的なインスタレーションから構成される。展示空間を視点を切り替えて「また」「のぞく」ことで、新たな価値観に出会える機会となるだろう。

11月2日には出品作家によるオープニングトーク、11月2日には内田によるワークショップ「あなたの余白書店をつくろう」、11月23日には小説家 福永信を招いてのゲストトークも予定されているので、合わせてお楽しみ頂きたい。

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内田聖良《余白書店》2013年
共同制作者:余白工事の会


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貴志真生也 グループ展「リアル・ジャパネスク」(2012年)より
展示風景 国立国際美術館、大阪 提供:児玉画廊


Information

若手芸術家・キュレーター支援企画 
1floor 2014「またのぞき」

http://www.kavc.or.jp/art/1floor/14/

出品作家:内田聖良、貴志真生也
会期:2014年11月1日(土) ‒11月24日(月・祝)12:00‒19:00 火曜日休館
会場:神戸アートビレッジセンター1F (ギャラリー、1room)
主催:神戸アートビレッジセンター(指定管理者:大阪ガスビジネスクリエイト株式会社)
協力:トンカ書店、メガネヤ

関連イベント

地域交流プロジェクト ひと×間(ひとま)「hanaso -ハナソ- vol.15 オープニングトーク」 
日時:11月1日(土)19:00 –20:00(30分前受付)
出演:内田聖良、貴志真生也(出品アーティスト)
会場:KAVCギャラリー・1room
料金:無料 ※要予約(078-512-5500 / art@kavc.or.jp)
終了後、21:30までオープニングパーティーを開催。
ケータリング:geco-ya食堂

KAVC倶楽部のひとつぼワークショップ 「あなたの余白書店をつくろう」
本のシミや文字の書き込みなどの「手垢」をあなたの視点でセレクトして、オリジナル「余白書店」を開店しましょう。
日時:11月2日(日)13:30‒16:30(30分前受付)
講師:内田聖良 (出品アーティスト)
会場:KAVCギャラリー・1room
料金:1,300円(倶楽部会費1,000円/材料費300円)
定員:8名 ※要予約(078-512-5500 / art@kavc.or.jp)
持ち物:書き込みやシミ、落丁などがあり処分に困っている本

ゲストトーク 
小説家の福永信氏をお招きしたゲストトーク。出品アーティストとの対話を繰り広げます。
日時:11月23日(日)18:00‒19:30(30分前受付)
ゲスト:福永信(小説家)
会場:1room
料金:無料
定員:40名 ※要予約(078-512-5500 / art@kavc.or.jp)