日本最大の舞台芸術のフェスティバル「フェスティバル/トーキョー」が10月27日より、いよいよ開幕する。

東京芸術劇場など池袋界隈の文化拠点を中心に繰り広げられる本フェスティバル。
2009年2月から、過去4度にわたって開催され、75作品、609公演、のべ2,555名の出演者・スタッフ、そして22万人を超す観客/参加者を集めている。 国内外から集結した先鋭的なラインナップとフェスティバルならではの参加型プログラムで大きな話題を集め、東京、日本、そしてアジアを代表する国際芸術祭として毎年開催されている。
今回は、主催プログラム12演目、7企画の他に、11演目の公募プログラム、8つの連携プログラムが予定されている。

今年のコンセプトは「ことばの彼方へ」。
昨年の、震災後「私たちは何を語ることができるのか」というテーマに引き続き、今回も芸術や演劇によってこの現実をどう語るか、どう掴み直すかという根本的な問いかけを継続する。過酷な現実を忘却する事なく未来へ繋ぐこと。震災後により明らかになった社会の諸問題、それらを批評的に捉える勇気ある表現に目を向け、その声に耳を澄ますこと。戦後かつてない危機に直面した今こそ、日本の外部との対話の回路を強く太くもつこと。

F/T 12 ではそのような信念のもと、世界の最先端の演劇作品と震災後の日本から生まれる独自の表現が出会う場として、国内外の多数の作品を紹介する。

プログラム紹介

オープニングを飾る注目の演目として、『たったひとりの中庭』ジャン・ミシェル・ブリュイエールを紹介したい。


フランスの鬼才、ジャン・ミシェル・ブリュイエール率いるLFKsは、メディアでは報じられない複雑な現実を、観る者の知覚を直接刺激する”体験”へと変換し、提示する。
本作は、不法滞在者やロマ族が暮らす移民キャンプの実態をアーティスティックな視点で再構成した、展覧形式の演劇。
教室から体育館、校庭まで、にしすがも創造舍全体を巡回し、パフォーマンスを鑑賞しながら、観客は否が応にも、移民をめぐる諸問題に想いを馳せ、自らの”他者への視線”を意識することになるだろう。



また、ノーベル賞作家エルフリーデ・イェリネク三作連続上演のひとつ、戯曲『光のない。』は、東日本大震災と福島第一原発の事故への応答として発表された作品で、メディアを中心に無防備で時に狂騒的な多弁が増殖する世にあって、「発語すること」「聞くこと」、その主体性を鋭く問う。 今回の日本初演の演出は、戯曲を文節単位にまで解剖し、俳優の声、身体と繫ぎ直す地点の三浦基。『中部電力芸術宣言』(2010年)など、電気と人間、音楽の関係を問う論考でも注目される作曲家・三輪眞弘を音楽監督に迎え、哲学から大衆文化まで、さまざま文脈を持つイェリネクのテキストの「声」や「音」が生まれる場所に接近する。

F/T12 イェリネク三作連続上演「光のない。」イメージ(c)Naoya Hatakeyama

主催プログラムでは他にも、韓国現代演劇を牽引する演出家、ユン・ハンソル率いるグリーンピグによる「ステップメモリーズ―抑圧されたものの帰還」や、日常に根ざした言語・身体を、その柔軟な発想で、劇的で鮮烈な表現へと変換、昇華する岡崎藝術座(作・演出:神里雄大)「隣人ジミーの不在」、その研ぎすまされた思考と身体、美術や照明にまで行き渡る美意識で、世界のダンス/アートシーンを牽引し続ける勅使川原三郎による「DAH-DAH-SKO-DAH-DAH」など、注目作品が目白押しだ。

また、ジェローム・ベル、井手茂太、KENTARO!!、白神ももこ、小野寺修二といった、気鋭のダンサーが振付・演出し、会期中の毎週土日に、池袋西口公園をダンサーや一般参加者達のフラッシュ・モブでジャックする「F/Tモブ」というユニークなプログラムにも要注目だ。

F/Tによるフリーペーパー「TOKYO / SCENE」では各プログラムしながら様々なコンテンツを発信している。PDFでも閲覧可能なので是非ご覧になってもらいたい。

他にもたくさんの作品・イベントが予定されているので、詳しくは公式サイトをチェックしてみてほしい。

Information

フェスティバル/トーキョー12
http://festival-tokyo.jp/

■会期 平成24(2012)年10月27日(土) ~ 11月25日(日)(予定)
■会場 東京芸術劇場、あうるすぽっと、にしすがも創造舎、シアターグリーン ほか

■主催
フェスティバル/トーキョー実行委員会
東京都
豊島区
東京文化発信プロジェクト室(公益財団法人東京都歴史文化財団)
公益財団法人としま未来文化財団
NPO法人アートネットワーク・ジャパン