21_21 DESIGN SIGHTにて、企画展「田中一光とデザインの前後左右」が9月21日より開催される。

日本を代表するグラフィックデザイナー・田中一光(1930〜2002)は、伝統の継承から未来の洞察、東と西の国々との交流など、田中自身の言う「デザインの前後左右」を見すえたアートディレクターでもあった。
琳派、浮世絵、伝統芸能など、市民の文化を熟知し、それらを視覚表現の主題として現代の創作に活写した田中の影響は、同時代のデザイナー、企業人、社会に広がっていった。
また、グラフィックのみならず、出版・編集デザイン、ギャラリー空間での発表、商品などへの企画提案、そして茶道への眼差しを含めた仕事の成果は、現在の社会に定着するものとなっている。

本展では、田中一光の著書『デザインの前後左右』に根ざし、その発想の広がりと表現の着地するさまを多彩にとりあげる。残された膨大な数の作品や資料を検証し、田中を日本独自の視覚表現の推進者と位置づけ、仕事の主軸となるグラフィックデザイン作品を中心に、映像や図版、記録資料など、活動の実際を示す貴重なアーカイブも紹介。それらを通して、田中一光というクリエイターの人と仕事に迫り、デザイン思想がどのように展開し、表現されたかを探る。

また、田中一光のデザイン思想の流れを汲み、インスピレーションを受けたデザイナーたちによる新作も公開される。Semitransparent Design によるインタラクティブアート、三宅一生+Reality Lab.による衣服、田中がディレクションした150色の紙と100色のカッティングシートを使った廣村正彰によるインスタレーションを展示。

その他、連動企画として、生前の田中一光を知る関係者から集めた貴重な思い出の写真や資料を紹介する連載「私の一光さん」 も公開されているので、是非、チェックしてみてほしい。

戦後からの激しい時代を伸びやかに生き抜いた田中一光の創作の軌跡をたどる本展は、現代社会へのメッセージに満ち、これからのクリエイションの新しい方向性と可能性を示唆するものとなるだろう。


Information

田中一光とデザインの前後左右
http://www.2121designsight.jp/program/ikko_tanaka/index.html

会期:2012年9月21日(金)〜2013年1月20日(日)
休館日:火曜日(10月30日、12月25日は開館)、年末年始(12月27日〜1月3日)
開館時間:11:00〜20:00(入場は19:30まで)
入場料:一般1,000円、大学生800円、中高生500円、小学生以下無料
会場:21_21 DESIGN SIGHT
主催:21_21 DESIGN SIGHT、公益財団法人 三宅一生デザイン文化財団